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本編
幸せは続くはずがない
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*血が苦手な人はご注意ください
========
それからの事は覚えていない。
いつの間にか家の前まで送られていた。俺はお茶でもだすのが礼儀かと思い家に入るようにノアール様を誘ったが、「そんな簡単に男を家に誘っちゃだめだよ」と言われ頭を撫でられた。
彼の手が俺の頭から離れてしまった。優しい手が消えて何とも言えない気持ちになる。
もっと撫でられたい。。。
「今日はありがとうございます。久しぶりの休みですごく楽しかったです」
俺はできるだけこの寂しい気持ちを表にださないようように笑顔で言った。
「あぁ。こちらこそありがとう、俺のわがままも聞いてもらったしね。。。それから、気を付けるんだよ」
そう言って彼は帰っていった。俺はその背中をじっと見ていたのである。
「はぁぁぁぁぁ」
意味がわからない。俺は家の中に入り大きなため息をした。
初めて話したあの時から俺は彼にひかれていたのかもしれない。
『僕は婚約を破棄したり白い結婚にするつもりなんて更々ないよ』
この言葉を聞いた時、胸の高まりが止まらなかった。
彼を見るとドキドキが止まらなくなる。
彼が笑っているのを見ると胸が温かくなる。
彼が悲しんでいるのをみると胸が痛い。
なぜ婚約が成立したにも関わらず、俺が婚約者という噂が流れない?
なぜ一か月の間、話すどころか会いにこなかったのはなぜ?
なぜシノ・アイゼンベルクなの?
俺はノアール様のことが、、、
トントントン
家のドアが叩かれた音がした。どれだけの時間自分の世界に入っていたのだろう。
ノアール様と別れたときはまだ夕日で外は明るかった。しかし、今は部屋の明かりだけが光を発している。
こんな時間に誰だろう?もしかしたらさっき別れたノアール様かもしれない。
そう思いドアを開ける。
「はーい。お待たせしました。」
ガンッ!強い衝撃が頭に走った。
俺の意識は深い闇に飲み込まれていった。
「いてぇなあ。ここどこだよ」
あたりを見渡すと何もない部屋であった。窓が一つあり、そこからは明るい光が差し込んでくる。長い間意識を失っていたようだ。
ドアを開けようとするが、案の定開かなかった。何か魔法がかかっているようだ。
「仕事に行かなきゃなんねぇのに」
俺は独り言を言いながら壁際に座り込む。
こんな状況なのに、仕事の事を心配する自分に呆れる。
頭が痛い。あの時ドアを開けると知らないフードをかぶった男がいた。俺はどうすることもできず、頭を殴られて気を失ったのである。
頭からは何か生暖かいものが流れているのがわかる。俺は嫌な予感がし恐る恐る触ってみると、真っ赤な血がベッタリついていたのだった。
うん。見なかったことにしよう。もう一度寝よう。それがいい。だって俺にはどうすることもできないしね。
目を閉じると痛みが少しだけましになる気がした。
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本日も読んで頂きありがうございます。短めですいません。もし、よろしければ『エール』の方お願いします。
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それからの事は覚えていない。
いつの間にか家の前まで送られていた。俺はお茶でもだすのが礼儀かと思い家に入るようにノアール様を誘ったが、「そんな簡単に男を家に誘っちゃだめだよ」と言われ頭を撫でられた。
彼の手が俺の頭から離れてしまった。優しい手が消えて何とも言えない気持ちになる。
もっと撫でられたい。。。
「今日はありがとうございます。久しぶりの休みですごく楽しかったです」
俺はできるだけこの寂しい気持ちを表にださないようように笑顔で言った。
「あぁ。こちらこそありがとう、俺のわがままも聞いてもらったしね。。。それから、気を付けるんだよ」
そう言って彼は帰っていった。俺はその背中をじっと見ていたのである。
「はぁぁぁぁぁ」
意味がわからない。俺は家の中に入り大きなため息をした。
初めて話したあの時から俺は彼にひかれていたのかもしれない。
『僕は婚約を破棄したり白い結婚にするつもりなんて更々ないよ』
この言葉を聞いた時、胸の高まりが止まらなかった。
彼を見るとドキドキが止まらなくなる。
彼が笑っているのを見ると胸が温かくなる。
彼が悲しんでいるのをみると胸が痛い。
なぜ婚約が成立したにも関わらず、俺が婚約者という噂が流れない?
なぜ一か月の間、話すどころか会いにこなかったのはなぜ?
なぜシノ・アイゼンベルクなの?
俺はノアール様のことが、、、
トントントン
家のドアが叩かれた音がした。どれだけの時間自分の世界に入っていたのだろう。
ノアール様と別れたときはまだ夕日で外は明るかった。しかし、今は部屋の明かりだけが光を発している。
こんな時間に誰だろう?もしかしたらさっき別れたノアール様かもしれない。
そう思いドアを開ける。
「はーい。お待たせしました。」
ガンッ!強い衝撃が頭に走った。
俺の意識は深い闇に飲み込まれていった。
「いてぇなあ。ここどこだよ」
あたりを見渡すと何もない部屋であった。窓が一つあり、そこからは明るい光が差し込んでくる。長い間意識を失っていたようだ。
ドアを開けようとするが、案の定開かなかった。何か魔法がかかっているようだ。
「仕事に行かなきゃなんねぇのに」
俺は独り言を言いながら壁際に座り込む。
こんな状況なのに、仕事の事を心配する自分に呆れる。
頭が痛い。あの時ドアを開けると知らないフードをかぶった男がいた。俺はどうすることもできず、頭を殴られて気を失ったのである。
頭からは何か生暖かいものが流れているのがわかる。俺は嫌な予感がし恐る恐る触ってみると、真っ赤な血がベッタリついていたのだった。
うん。見なかったことにしよう。もう一度寝よう。それがいい。だって俺にはどうすることもできないしね。
目を閉じると痛みが少しだけましになる気がした。
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本日も読んで頂きありがうございます。短めですいません。もし、よろしければ『エール』の方お願いします。
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