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<ミオside>

 王都の中央通り。昼は沢山の人々が行き来し、商売も盛んに行われている。しかし夜になると、昼間の賑わいが嘘かのように静かになる。誰も家から出ようとしない。王都は治安が良いと言われるが全く良くない。平気で人殺しなどが行われるくらい荒れた所なのだ。

 私はいつも通りの日常を過ごしていたはずだった。いつも通り教会が鳴らす鐘の音で起きた。そしていつも通り前の日に仕込んでいたパンを焼く。いつも通り開店し、沢山の客がうちのパンを買ってくださった。そしていつも通り閉店し、旦那であるジャックと夕食を食べて寝る。それが私の日常。

 しかし、その日は違っていた。パンの売れ行きが悪く、店の外は何やら騒がしかった。ジャックと話し合いその日は早めに閉店することになった。そして夕食を食べ、次の日のためにも早めに寝ることにした。もう月が真上に来た頃だったか。外は大雨で雷も仕切りなしに鳴っていた。私は目が覚めた。そして、言葉では表しきれない焦燥感にかられていてもたってもいられなくなった。

『あの子を救ってあげなければないない』
 気がつくと私は自然にそこに導かれていた。靴も履かず傘もささずにだ。
 

 そこには使がいた。

 肩まである煌めく金色の髪。誰かに殴られたのであろうか。顔は痛々しいことになっている。服を見る限り、彼は随分前からそこにいたのだろう。

 気がつくと後ろにジャックがいた。彼はそっと天使のような少年を抱きかかえて運んだ。
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