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0章 異世界召喚

2.騎士団長ガド

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 大男に連れてこられた先は小さな小屋だった。
 大男は体をかがめて小屋に入る。
 俺が入るかどうか決めかねていると大男は、入れ、とうながした。

 中はこじんまりとした山小屋のような感じだ。
 何をされるんだろう。
 拷問だろうか。やめて欲しいところだ。

 「座れ」

 気づくと大男は椅子に座っていた。
 全裸で座らせるのかよ
 と思いながら、命令通り椅子に座ると大男を観察した。
 茶髪で彫りが深く、青い瞳をしている。
 いつか見たテレビの中の北欧人みたいだ。というかイケメンだ。

 「改めて、お前は誰だ?」

 敵意はないと思われているが警戒はされているようだ。

 「私は青山零です。突然光に包まれたかと思うとここにいました」

 さっきの言葉を繰り返す。

 「そうか。なぜお前のような子供がここにいるかはわからんが何も知らないのなら仕方がない。家は?」
 「.....子供?」
 「....?子供だろう。」

 大男は部屋の隅にある鏡をとると俺を写した。

 「......ッ!」

 そこに写っていたのは8歳ぐらいの少年。
 俺だ。バカな。
 俺は21歳だったはず。コ○ン君でもあるまいし、体が縮んだということか....!!

 と思ったが別に縮んではいなかった。全くの別人だ。
 俺の顔も彫りが深く、瞳も青紫だった。
 この顔のまま日本に行けばモテモテだな。

 「何を驚いているのかは知らんが親は心配しているだろう。家はどこにある?」

 実は黄金の国ジパングの出身で...
 なんて本物の住所を言っても狂人と思われるだけだしな。さてどうしよう。
 いっそのこと記憶喪失の哀れな少年になってみるか。

 「実は...」

 俺は名前以外の記憶がないこと。そして頼るあてもないことを話す。
 ペラペラとまるで本当のことのように嘘が出てくる。
 実は詐欺師なんです。

 「ふむ、それは不運だったな」

 納得してくれたようだ。チョロい。
 というか彼こそ誰なんだ?

 「あの....」
 「ああ、俺はウルスア領主ファクトリア家守護騎士団団長ガドだ。」

 全てを喋ってくれた。非常に察しがいい大男だ。
 しかし、なんか一杯固有名詞でてきたな。
 全部知らん。やっぱり異世界だな。ここは。
 
 「知らんか。とりあえず今からファクトリア家に帰るがお前も連れて帰ることにする。いいか?」
 「大丈夫です」

 領主ということは金持ちだ。
 マフィアならともかく領主様の部下なら断るものか。やはり異世界転生というのは優遇されてるのか?

 「では行こう」

 ガドは俺に服を着せると小屋の床をベリベリ開け始めた。

 コイツ頭おかしいのか。
 と思ったのもつかの間、床の下には隠し扉があり、その先には小さな小部屋があった。
 奥に魔法陣が書かれてあるのが見える。

 「む、これは見せてはダメだった。」

 ガドはそう言うと目隠しをして来たがもう全部見た。
 これが騎士団長とか大丈夫なんだろうか。
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