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シミュレーションワールド
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時は近未来。人類が20世紀に作り出したコンピュータは際限なく進化を遂げ、今やその集大成とも呼べる段階まで到達していた。もはやこの世の全ての情報がインターネット上に存在する時代、その情報を全て超高性能のハイパーコンピュータに叩き込んでネット上にもう一つの現実を誕生させたのだ。早い話が現実世界のコピーワールド。そこで様々なシミュレーションを行うことにより、災害や犯罪などに対して迅速な対応を行えるようになった。
シミュレーションワールドで起こると予測された事は実際に起こる。この予測演算によって地震や台風などの災害の被害は格段に減り、凶悪犯罪の発生すらも抑えられていた。これにより世界はより良い方向に向かっていったように思われた。
「やはり、少し不気味に感じてしまいますね。こうも予測されきってしまうと。いや、ありがたいことではあるのですが」
「そうだな。聞くところによれば、世界の人間一人一人の意識すらシミュレーションしているそうだ。だから犯罪も予測出来るのだと。今の会話すらシミュレーション済みかもしれないな」
「うへえ。でもそれってつまり、シミュレーションワールドの人間も一人一人生きてる、ってことになりませんか?」
「まあ考え方によればそうだな。それに……」
「それに?」
「俺達が誰かにシミュレーションされた存在ではないと、果たして証明出来るだろうか?」
シミュレーションワールドで起こると予測された事は実際に起こる。この予測演算によって地震や台風などの災害の被害は格段に減り、凶悪犯罪の発生すらも抑えられていた。これにより世界はより良い方向に向かっていったように思われた。
「やはり、少し不気味に感じてしまいますね。こうも予測されきってしまうと。いや、ありがたいことではあるのですが」
「そうだな。聞くところによれば、世界の人間一人一人の意識すらシミュレーションしているそうだ。だから犯罪も予測出来るのだと。今の会話すらシミュレーション済みかもしれないな」
「うへえ。でもそれってつまり、シミュレーションワールドの人間も一人一人生きてる、ってことになりませんか?」
「まあ考え方によればそうだな。それに……」
「それに?」
「俺達が誰かにシミュレーションされた存在ではないと、果たして証明出来るだろうか?」
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