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第七章 盛夏の逃げ水
第百四十七話 盛夏の逃げ水(12)
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「前置きはなしで聞くけど、レジス軍は何をたくらんでるの? アルメシエのこの状況にどうして介入してこないんだ?」
アルヴィンとエリッツは黙った。
前置きがないから想像するしかないが、ライラたちはアルメシエが混乱していればレジスが介入してくるのが当然だと思っているらしい。
ゼインの話の感じではアルメシエの内乱にレジスは関わりたくないようだったが、アルヴィンが黙っているのでエリッツも余計なことはいわない。
「うーん、黙ってるってことはやっぱり裏で動いてるってことか?」
ライラは探るように漆黒の目を光らせる。耐えかねたようにアルヴィンが口を開いた。
「――あのさ、考えてもみなよ。きみが知ってるかはわかんないけど、レジスはちょっと前に帝国軍に国境を侵されてるんだ。もしアルメシエに介入して隙ができたら今度こそ危ないよ。関わってる余裕はないってのが事実じゃないかな。言いそびれたけど、僕は新兵だからね。きみの欲しがるような重要な情報は持ち合わせていないと思うよ」
ライラは何かを深く考えているようにじっと目を閉じている。しばらくしてスッと目を開いた。
「あんた、どこにいたの?」
「レジスとアルメシエの国境だよ」
アルヴィンのことばを吟味するような間をあけてから、ライラは意味深げにエリッツの方をちらりと見た。思わずエリッツは目をそらす。
「ふぅん。あんた、アルヴィンだっけ、あんたが知ってるかあたしもわかんないけどさ、アルメシエがごちゃごちゃするたびにレジスはこっそりと裏側から介入してきたんだよ。大っぴらに軍を動かしたりはせず、たぶん間諜だね。今回もそのパターンなんだろうな」
間諜が。
――であれば、ゼインが知らないわけがない。もしかしてマリルもシェイルのことだけではなくアルメシエの内乱に介入するために動いているのか。
「騙された」
思わずエリッツの口から言葉がもれた。
「きみはちょっと黙っててくれるかな」
即座にアルヴィンがエリッツの発言を封じる。アルヴィンはエリッツの性分をよく理解していた。思ったことが顔からも口からも盛大にもれ出てしまう。
しかし思わず騙されたと口から出てしまったものの、ゼインは西で起こっていることとシェイルとのつながりに関して断定はしていなかった。すべて推測の話で、情報次第で一八〇度変わるというようなことをわざわざ付け足したのだ。それはつまりあの時点ではマリルがアルメシエに入ることに確信はあっても、シェイルがどこへ消えたのかは言葉通り情報不足だったのではないだろうか。――ということは、ライラのいうことが本当だったとして、今回裏からこっそりアルメシエに介入させられているのはシェイルなのかもしれない。
「はあー」
エリッツは自身の考えに一人で納得のため息をもらす。これはけっこう核心をついているのではないか。
「黙っててってば」
アルヴィンはあきれたように、自分の思考に没頭しているエリッツを見る。気づいたらもうエリッツの分の干した果物がない。ずっと話をしていた気がしたがいつの間に。
仕方なくエリッツはお茶を一口飲んだ。甘い香りがしていたが、その中にもすっとするような不思議な香りが混じっている。外国っぽい。お茶をよくたしなんでいるラヴォート殿下はこのアルメシエのお茶を飲んだことがあるだろうか。
「すっごいまったりしてるとこ悪いんだけど、エリッツくん?」
帰る前にどこかの町でこのお茶をお土産に買って帰れないかとぼんやり考えていたところで話しかけられたので、ハッと背筋を伸ばす。
「待って。エリッツに話しかけないでくれる?」
エリッツが何かをいう前にアルヴィンがさえぎるように声をあげる。
「どうして?」
「軍にいたぼくの方が詳しい」
「聞いてみるくらいいいだろ」
アルヴィンはエリッツが確実にまずいことをいうと考えている。そしてライラはエリッツの方が御しやすいと見破っている。なかなか壮絶な心理戦だ。そしてエリッツを抱えているアルヴィンが不利。
「ねぇ、こういうのはどうかな。協力するんだ。お互い」
エリッツのぬるい意見に二人は萎え切った表情をする。
「あのさぁ……」
二人の言葉が見事に重なった。やはり気が合うのではないか。
そもそも情報交換しようという感じではじまったのに、いつの間にか二人がいかに情報を渡さずに自分が情報を得るかで争っているような雰囲気になってしまった。これだから頭のいい人たちは困る。
アルヴィンとライラがさらにエリッツに何か言おうと同時に口を開きかけたところで、エリッツはめずらしくそれをさえぎった。
「ライラ、おれとアルヴィンは人を探しに来たんだ。詳しくは話せないけどレジスに住むロイの人だよ。アルメシエの内乱に巻き込まれているんじゃないかと思ってる。探すための情報が欲しいんだ。しかも事情があって急ぐ必要がある。だから兵力として協力できるかどうかも情報次第なんだ」
アルヴィンとライラは気まずそうに顔を見合わせる。しばらくテント内がしんと静まり返った。外で遊んでいる子供たちのはしゃぐ声が小さく聞こえてくる。
「――エリッツの言う通りかもね。お互いさっき会ったばかりで信頼できないのは仕方ないけど、このままじゃ話が進まない」
はじめにライラが口を開いた。
「偶然だね。僕も同意見だよ。ちょっと非合理的だったかもしれない。ここはフェアに情報交換といこう」
アルヴィンもてらいなくそう言った。頭のいい人たちは切り替えも早い。そして切り替えたとたんにライラが口を開いた。
「そっちの事情はわかった。ある程度は協力できると思う。でもその前にこっちの話もしていいかな」
アルヴィンが頷きながら手のひらで先を促す。
「あたしたちはね、さっきも言ったけどレジスがどう動くのか知りたいの。予想がついてると思うけど、あたしたちがこの国を取るつもり。あたしたちには居場所が必要なんだ」
アルヴィンとエリッツはとりあえず理解したという意味でうなずく。
「でもレジスが動くなら勝ち目がない。手を打たないとならないんだ」
エリッツはアルヴィンを見て、それからライラを見た。そして意を決して小さく手を上げる。
「あの、レジスが動くというのはどこかひとつの組織にレジスが加担して、それが確実にライラたちの邪魔をすると決まってるの?」
てっきり二人にバカにされるとばかり思っていたが、それは考え過ぎだった。
「レジスが加担するとしたら決まっている」
ライラがきっぱりと言い切る。
「エリッツ、まず普通に考えて隣の家に素性の知れない人が住みはじめたらどう思う? よく知っている人が住むよりも居心地が悪いんじゃない?」
確かに怖そうな人が隣に住んだら、毎日不安である。
「あ、もしかしてレジスはアルメシエの前政権を握っていた組織に加担するということ?」
「そう。これまでも危なくなるたびにそうだった。アルメシエ王の一族と、旧アルメシエ軍の一部だ。」
ライラはエリッツの理解に満足したようにうなずく。「旧アルメシエ軍の一部」という呼び方がいろいろと物語っている。クーデターか何かがあったんだろうか。エリッツは最近読み飛ばしていた国官報の記事を思い出そうと首をかしげたまま、ぼんやりと宙を見る。
アルメシエに関する記事は多くあったと記憶している。このように内乱状態なったのはエリッツが必死に試験勉強をしているさなかだった。その頃は時事問題の対策のためにきちんと国官報に目を通していたので記憶違いではないと思う。ただ試験が終わったとたんに気が抜けて記憶まで抜けてしまった。内乱の原因が思い出せない。とにかくレジスとは違ってたびたび国内が乱れる国だという印象だ。それでもここまでアルメシエの王族が支配できていたということはレジスが裏で関わっていたからだという話に納得せざるを得ない。レジスは隣人問題以外にもアルメシエと親密にする利益があるのだろう。そうでないとあの風変わりなレジス国王陛下がそこまでする理由が思い浮かばない。
いや、ちょっと待って。このままではアルメシエ王一族に加担する側、つまりレジスと敵対することになってしまうのではないか。それはエリッツの想像通りであった場合、シェイルそしてマリルと敵対するという構図になる。まずい。このままライラに協力していたらまずいことになる。
エリッツは先ほど「お互い協力しよう」と提案した舌の根も乾かぬ内に後悔に沈み込んだ。アルヴィンのやる通り、できるだけこちらの情報を渡さずにライラから情報を引き出してさっさと逃げるのが正解だったのではないか。多少申し訳ない気持ちになるだろうが、シェイルの邪魔をすることになるくらいならマシだった。
「――エリッツ? 大丈夫なのか」
「気にしなくていいよ。考え事をしているときは口があいているんだ。懸命にたくさんのことを理解しようとしている」
アルヴィンがライラに妙なことを説明している。
アルヴィンとエリッツは黙った。
前置きがないから想像するしかないが、ライラたちはアルメシエが混乱していればレジスが介入してくるのが当然だと思っているらしい。
ゼインの話の感じではアルメシエの内乱にレジスは関わりたくないようだったが、アルヴィンが黙っているのでエリッツも余計なことはいわない。
「うーん、黙ってるってことはやっぱり裏で動いてるってことか?」
ライラは探るように漆黒の目を光らせる。耐えかねたようにアルヴィンが口を開いた。
「――あのさ、考えてもみなよ。きみが知ってるかはわかんないけど、レジスはちょっと前に帝国軍に国境を侵されてるんだ。もしアルメシエに介入して隙ができたら今度こそ危ないよ。関わってる余裕はないってのが事実じゃないかな。言いそびれたけど、僕は新兵だからね。きみの欲しがるような重要な情報は持ち合わせていないと思うよ」
ライラは何かを深く考えているようにじっと目を閉じている。しばらくしてスッと目を開いた。
「あんた、どこにいたの?」
「レジスとアルメシエの国境だよ」
アルヴィンのことばを吟味するような間をあけてから、ライラは意味深げにエリッツの方をちらりと見た。思わずエリッツは目をそらす。
「ふぅん。あんた、アルヴィンだっけ、あんたが知ってるかあたしもわかんないけどさ、アルメシエがごちゃごちゃするたびにレジスはこっそりと裏側から介入してきたんだよ。大っぴらに軍を動かしたりはせず、たぶん間諜だね。今回もそのパターンなんだろうな」
間諜が。
――であれば、ゼインが知らないわけがない。もしかしてマリルもシェイルのことだけではなくアルメシエの内乱に介入するために動いているのか。
「騙された」
思わずエリッツの口から言葉がもれた。
「きみはちょっと黙っててくれるかな」
即座にアルヴィンがエリッツの発言を封じる。アルヴィンはエリッツの性分をよく理解していた。思ったことが顔からも口からも盛大にもれ出てしまう。
しかし思わず騙されたと口から出てしまったものの、ゼインは西で起こっていることとシェイルとのつながりに関して断定はしていなかった。すべて推測の話で、情報次第で一八〇度変わるというようなことをわざわざ付け足したのだ。それはつまりあの時点ではマリルがアルメシエに入ることに確信はあっても、シェイルがどこへ消えたのかは言葉通り情報不足だったのではないだろうか。――ということは、ライラのいうことが本当だったとして、今回裏からこっそりアルメシエに介入させられているのはシェイルなのかもしれない。
「はあー」
エリッツは自身の考えに一人で納得のため息をもらす。これはけっこう核心をついているのではないか。
「黙っててってば」
アルヴィンはあきれたように、自分の思考に没頭しているエリッツを見る。気づいたらもうエリッツの分の干した果物がない。ずっと話をしていた気がしたがいつの間に。
仕方なくエリッツはお茶を一口飲んだ。甘い香りがしていたが、その中にもすっとするような不思議な香りが混じっている。外国っぽい。お茶をよくたしなんでいるラヴォート殿下はこのアルメシエのお茶を飲んだことがあるだろうか。
「すっごいまったりしてるとこ悪いんだけど、エリッツくん?」
帰る前にどこかの町でこのお茶をお土産に買って帰れないかとぼんやり考えていたところで話しかけられたので、ハッと背筋を伸ばす。
「待って。エリッツに話しかけないでくれる?」
エリッツが何かをいう前にアルヴィンがさえぎるように声をあげる。
「どうして?」
「軍にいたぼくの方が詳しい」
「聞いてみるくらいいいだろ」
アルヴィンはエリッツが確実にまずいことをいうと考えている。そしてライラはエリッツの方が御しやすいと見破っている。なかなか壮絶な心理戦だ。そしてエリッツを抱えているアルヴィンが不利。
「ねぇ、こういうのはどうかな。協力するんだ。お互い」
エリッツのぬるい意見に二人は萎え切った表情をする。
「あのさぁ……」
二人の言葉が見事に重なった。やはり気が合うのではないか。
そもそも情報交換しようという感じではじまったのに、いつの間にか二人がいかに情報を渡さずに自分が情報を得るかで争っているような雰囲気になってしまった。これだから頭のいい人たちは困る。
アルヴィンとライラがさらにエリッツに何か言おうと同時に口を開きかけたところで、エリッツはめずらしくそれをさえぎった。
「ライラ、おれとアルヴィンは人を探しに来たんだ。詳しくは話せないけどレジスに住むロイの人だよ。アルメシエの内乱に巻き込まれているんじゃないかと思ってる。探すための情報が欲しいんだ。しかも事情があって急ぐ必要がある。だから兵力として協力できるかどうかも情報次第なんだ」
アルヴィンとライラは気まずそうに顔を見合わせる。しばらくテント内がしんと静まり返った。外で遊んでいる子供たちのはしゃぐ声が小さく聞こえてくる。
「――エリッツの言う通りかもね。お互いさっき会ったばかりで信頼できないのは仕方ないけど、このままじゃ話が進まない」
はじめにライラが口を開いた。
「偶然だね。僕も同意見だよ。ちょっと非合理的だったかもしれない。ここはフェアに情報交換といこう」
アルヴィンもてらいなくそう言った。頭のいい人たちは切り替えも早い。そして切り替えたとたんにライラが口を開いた。
「そっちの事情はわかった。ある程度は協力できると思う。でもその前にこっちの話もしていいかな」
アルヴィンが頷きながら手のひらで先を促す。
「あたしたちはね、さっきも言ったけどレジスがどう動くのか知りたいの。予想がついてると思うけど、あたしたちがこの国を取るつもり。あたしたちには居場所が必要なんだ」
アルヴィンとエリッツはとりあえず理解したという意味でうなずく。
「でもレジスが動くなら勝ち目がない。手を打たないとならないんだ」
エリッツはアルヴィンを見て、それからライラを見た。そして意を決して小さく手を上げる。
「あの、レジスが動くというのはどこかひとつの組織にレジスが加担して、それが確実にライラたちの邪魔をすると決まってるの?」
てっきり二人にバカにされるとばかり思っていたが、それは考え過ぎだった。
「レジスが加担するとしたら決まっている」
ライラがきっぱりと言い切る。
「エリッツ、まず普通に考えて隣の家に素性の知れない人が住みはじめたらどう思う? よく知っている人が住むよりも居心地が悪いんじゃない?」
確かに怖そうな人が隣に住んだら、毎日不安である。
「あ、もしかしてレジスはアルメシエの前政権を握っていた組織に加担するということ?」
「そう。これまでも危なくなるたびにそうだった。アルメシエ王の一族と、旧アルメシエ軍の一部だ。」
ライラはエリッツの理解に満足したようにうなずく。「旧アルメシエ軍の一部」という呼び方がいろいろと物語っている。クーデターか何かがあったんだろうか。エリッツは最近読み飛ばしていた国官報の記事を思い出そうと首をかしげたまま、ぼんやりと宙を見る。
アルメシエに関する記事は多くあったと記憶している。このように内乱状態なったのはエリッツが必死に試験勉強をしているさなかだった。その頃は時事問題の対策のためにきちんと国官報に目を通していたので記憶違いではないと思う。ただ試験が終わったとたんに気が抜けて記憶まで抜けてしまった。内乱の原因が思い出せない。とにかくレジスとは違ってたびたび国内が乱れる国だという印象だ。それでもここまでアルメシエの王族が支配できていたということはレジスが裏で関わっていたからだという話に納得せざるを得ない。レジスは隣人問題以外にもアルメシエと親密にする利益があるのだろう。そうでないとあの風変わりなレジス国王陛下がそこまでする理由が思い浮かばない。
いや、ちょっと待って。このままではアルメシエ王一族に加担する側、つまりレジスと敵対することになってしまうのではないか。それはエリッツの想像通りであった場合、シェイルそしてマリルと敵対するという構図になる。まずい。このままライラに協力していたらまずいことになる。
エリッツは先ほど「お互い協力しよう」と提案した舌の根も乾かぬ内に後悔に沈み込んだ。アルヴィンのやる通り、できるだけこちらの情報を渡さずにライラから情報を引き出してさっさと逃げるのが正解だったのではないか。多少申し訳ない気持ちになるだろうが、シェイルの邪魔をすることになるくらいならマシだった。
「――エリッツ? 大丈夫なのか」
「気にしなくていいよ。考え事をしているときは口があいているんだ。懸命にたくさんのことを理解しようとしている」
アルヴィンがライラに妙なことを説明している。
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