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第七章 盛夏の逃げ水
第百四十四話 盛夏の逃げ水(9)
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結論からいうと休憩の判断は誤りだった。
いくら疲れていても安全を確認できていない場所で野宿するのは避けるべきだったのだ。
エリッツが後から知った話だと、アルヴィンは元気そうに見えて実のところ早朝から例の指揮官のすさまじい訓練メニューをこなしており、かなり疲弊していた。思い返せばあの底なしの体力を持つアルヴィンが「疲れた」と言うのは相当のことだったのだ。エリッツに関してはいわずもがなである。
さらに悪いことにはアルヴィンは軍服のまま出てきていた。エリッツはそのまずさには気づいていなかったが、アルヴィンはわかっていた。実はアルメシエでレジスの軍服はひどく目立つものなのだ。
本人の談によると、兵舎の自室から持ち出した鞄にはきちんと私服が入れてあり、明るくなる前に着替えるつもりだったようだが、それすら忘れて寝入ってしまうほどの疲労困憊ぶりだったようだ。
「どこへ向かってるのかな」
「知らないよ」
多くの判断ミスを自覚しているのかアルヴィンは少し不機嫌だ。この状況で上機嫌だったら、それは余程どうかしているのだが。
どうやら幌のかかった馬車の荷台である。エリッツもアルヴィンも両手両足をしっかりと縄でしばられ身動きがとれない。さらにアルヴィンの左手は術士用の枷がかけられているらしい。それに対して「指を落とされなかっただけマシだ」とアルヴィンは毒づいた。
目が覚めたらこの状態だ。
二人とも木陰で泥のように眠りこんでしまい、驚いたことに捕らえられたことにすら気づかなかった。そしていまだに誰に捕らえられたのかもわからない。
アルメシエ領にレジス兵が、しかも木陰で寝ていたとなると、実はかなり目立つのだ。レジス兵は紛争との関わりを嫌って国境を越えてこない。それがアルメシエの人々の中での常識だった。国境を大勢で警備しているので、この辺りに住んでいればよく目にするがけっして触れる距離には近づいて来ない。それがレジス兵という存在なのだ。
「レジスの方じゃなくてアルメシエの奥地に向かってる」
アルヴィンがむっすりと口を開いた。
「何でわかるの?」
「そっちから日がさしてるからだよ。少なくとも西の方へ進んでる。さすがにまだ午前中でしょう」
アルヴィンは視線だけで馬車の斜め後方を指した。後ろが東なら前は西か。確かに、少なくともレジスの方向ではない。
二人は馬車がガタつくたびにあちこち体をぶつけられる。荷運び用の馬車らしく辺りには麻の袋や木箱などがところ狭しと詰められていた。御者台の辺りに人の気配があるが、一人なのか話し声は聞こえない。時おり馬へ向けるかけ声を聞くところによると男のようだ。
二人はしばらく黙って様子を見ていたが、状況に何ら変化はない。エリッツは次第に眠くなってきた。
そこからの記憶はなく木箱に思い切り頭をぶつけてハッとする。打ちつけた頭をさすろうとして、拘束されていることを思い出した。それから首の動く範囲で辺りを見渡したところ、微妙な表情をしたアルヴィンと目が合う。
「信じられないよ。肝の座り方が尋常じゃないね。どうしてこの状態で寝られるんだい」
聞き慣れた嫌味に思わずほっとしてしまう。アルヴィンが一緒でよかった。一人だったら泣いてしまう。
「どこかに着いたの?」
馬車は止まっている。
「僕に聞かないでよ」
辺りは人が何人かいるらしい。どうやら村か町か複数人が行き交うような場所らしい。そしてようやく会話が聞こえてくる。
アルメシエの言葉は理解できないと思いこんでいたが、それはひどく聞き慣れないイントネーションのレジスの言葉だった。
「ああ、黒髪だ。しかもレジスの軍人。まだ若い」
「なんでそんなもんが落ちてんだ? だが上手くすれば高く売れるな。黒髪で即戦力だ。御大尽はよろこぶだろうよ」
「このまま持ってくか」
「それがいい」
アルヴィンを売り飛ばす話をしている。ここにきて術士の希少価値というのを目の当たりにしたわけだが、エリッツの方はどうなるのだろうか。まったく話題にされない。
「おそらく日常的にロイの子供なんかをさらってる連中だよ。紛争を起こしているヤツらに兵力として売り払うんだろうな」
アルヴィンは苦々しい表現を浮かべる。なるほど。術士用の手枷のようなマニアックなものを持っていた理由も納得できる。子供だったとしても術士を捕らえておとなしくさせておくのは大変だ。
「待って。おれは? どうなるの? 売れないの?」
「何だよ、売られたいのかい? 僕に何か聞かないでってば」
外の方は世間話を続けながら馬を繋ぎかえているような気配である。会話からは人身売買を悪いものと考えている様子がない。まるで芋か何かを出荷しに行くかのようななごやかさだ。そもそも周りにも人通りがある。こういうことはこっそりとやるものではないのか。
やがて馬車は動き出し、エリッツは先ほどとは反対側の木箱で頭を打った。ただでさえ頭が悪いのかと心配しているのにもっと悪くなってしまう。
「あれ? ねぇ、ちょっと、ナイフを取られてないんだけど」
あちこち体をぶつけているうちに、上着の内側にしこまれているゼインのダガーナイフがそのままあるのに気がついた。
「ずいぶんと早く気づいたもんだね」
不機嫌なアルヴィンの嫌味がさえわたっている。
「そもそも口をふさがれていないんだ。杜撰な人さらいだよ。ナイフはどこだって?」
小声で話してはいるし、馬車の移動する音で聞こえないはずだが、エリッツは黙って視線だけで上着の左側を指す。
アルヴィンが口でダガーナイフを引き出し、縄で縛られてはいるものの枷ははめられていないエリッツが時間をかけて縄を切っていく。多少苦戦はしたが、何とか売られる前に解放された。馬車はまだ気づくことなく道を進んでいる。問題はこの後どうするかだ。
「あの人、レジスの言葉が通じるんだね」
「きみ、早試に通ったんだろう。歴史の勉強はしなかったの?」
「そういえば、やったような……」
試験では歴史やその他の教養なども問われたが、懸命に勉強したのはやはり実務で役に立ちそうな科目ばかりだ。歴史などは丸暗記ですぐに忘れてしまった。
「確かもともとレジスはアルメシエの一部だったんだよね」
「歴史家によって言い方は違うけどね。アルメシエがレジスの一部だったんだとこだわる人もいる。僕はきみの言い方が正しいと思うよ。今もアルメシエは中で分裂しているけど、レジスの建国時も同じ状態だったみたいだ。レジスを含む巨大なアルメシエという土地から初代のレジス王が国土を定めて建国したと、いわれているね。もう信じられないほど昔の話だけど。それでも言葉は残っている。まぁ、お隣だしアルメシエが落ち着いていた時はわりと交流も深かったから当たり前なのかな。ラインデルとロイみたいに決定的に隔絶されていたじゃない。ただアルメシエ奥地の方は方言がきつくて言葉が通じないとかいう噂は聞いたよ」
「だんだん思い出してきたよ」
丸暗記だったとはいえ、一度は学んだ内容だ。異国でも言葉がある程度通じるのであれば不安がやわらぐ。
「ただ――少し興味があるよね」
「何が?」
「僕が売られる先さ。兵力が必要ということはそこにロイがいるのかもしれない」
アルヴィンは「僕たち」ではなく「僕」と言った。エリッツには値がつかない。縄からは自由になったが、売れないエリッツがなぜついでとばかりに捕まったのか釈然としない。
「もう一回、縄をはめる?」
エリッツがこま切れになった縄の残骸をつまみあげると、アルヴィンは心底嫌そうな顔をした。
「冗談じゃないよ。でも何だか抜けた感じの人売りだし、話を聞いてみるっていうのも手かな」
いくら疲れていても安全を確認できていない場所で野宿するのは避けるべきだったのだ。
エリッツが後から知った話だと、アルヴィンは元気そうに見えて実のところ早朝から例の指揮官のすさまじい訓練メニューをこなしており、かなり疲弊していた。思い返せばあの底なしの体力を持つアルヴィンが「疲れた」と言うのは相当のことだったのだ。エリッツに関してはいわずもがなである。
さらに悪いことにはアルヴィンは軍服のまま出てきていた。エリッツはそのまずさには気づいていなかったが、アルヴィンはわかっていた。実はアルメシエでレジスの軍服はひどく目立つものなのだ。
本人の談によると、兵舎の自室から持ち出した鞄にはきちんと私服が入れてあり、明るくなる前に着替えるつもりだったようだが、それすら忘れて寝入ってしまうほどの疲労困憊ぶりだったようだ。
「どこへ向かってるのかな」
「知らないよ」
多くの判断ミスを自覚しているのかアルヴィンは少し不機嫌だ。この状況で上機嫌だったら、それは余程どうかしているのだが。
どうやら幌のかかった馬車の荷台である。エリッツもアルヴィンも両手両足をしっかりと縄でしばられ身動きがとれない。さらにアルヴィンの左手は術士用の枷がかけられているらしい。それに対して「指を落とされなかっただけマシだ」とアルヴィンは毒づいた。
目が覚めたらこの状態だ。
二人とも木陰で泥のように眠りこんでしまい、驚いたことに捕らえられたことにすら気づかなかった。そしていまだに誰に捕らえられたのかもわからない。
アルメシエ領にレジス兵が、しかも木陰で寝ていたとなると、実はかなり目立つのだ。レジス兵は紛争との関わりを嫌って国境を越えてこない。それがアルメシエの人々の中での常識だった。国境を大勢で警備しているので、この辺りに住んでいればよく目にするがけっして触れる距離には近づいて来ない。それがレジス兵という存在なのだ。
「レジスの方じゃなくてアルメシエの奥地に向かってる」
アルヴィンがむっすりと口を開いた。
「何でわかるの?」
「そっちから日がさしてるからだよ。少なくとも西の方へ進んでる。さすがにまだ午前中でしょう」
アルヴィンは視線だけで馬車の斜め後方を指した。後ろが東なら前は西か。確かに、少なくともレジスの方向ではない。
二人は馬車がガタつくたびにあちこち体をぶつけられる。荷運び用の馬車らしく辺りには麻の袋や木箱などがところ狭しと詰められていた。御者台の辺りに人の気配があるが、一人なのか話し声は聞こえない。時おり馬へ向けるかけ声を聞くところによると男のようだ。
二人はしばらく黙って様子を見ていたが、状況に何ら変化はない。エリッツは次第に眠くなってきた。
そこからの記憶はなく木箱に思い切り頭をぶつけてハッとする。打ちつけた頭をさすろうとして、拘束されていることを思い出した。それから首の動く範囲で辺りを見渡したところ、微妙な表情をしたアルヴィンと目が合う。
「信じられないよ。肝の座り方が尋常じゃないね。どうしてこの状態で寝られるんだい」
聞き慣れた嫌味に思わずほっとしてしまう。アルヴィンが一緒でよかった。一人だったら泣いてしまう。
「どこかに着いたの?」
馬車は止まっている。
「僕に聞かないでよ」
辺りは人が何人かいるらしい。どうやら村か町か複数人が行き交うような場所らしい。そしてようやく会話が聞こえてくる。
アルメシエの言葉は理解できないと思いこんでいたが、それはひどく聞き慣れないイントネーションのレジスの言葉だった。
「ああ、黒髪だ。しかもレジスの軍人。まだ若い」
「なんでそんなもんが落ちてんだ? だが上手くすれば高く売れるな。黒髪で即戦力だ。御大尽はよろこぶだろうよ」
「このまま持ってくか」
「それがいい」
アルヴィンを売り飛ばす話をしている。ここにきて術士の希少価値というのを目の当たりにしたわけだが、エリッツの方はどうなるのだろうか。まったく話題にされない。
「おそらく日常的にロイの子供なんかをさらってる連中だよ。紛争を起こしているヤツらに兵力として売り払うんだろうな」
アルヴィンは苦々しい表現を浮かべる。なるほど。術士用の手枷のようなマニアックなものを持っていた理由も納得できる。子供だったとしても術士を捕らえておとなしくさせておくのは大変だ。
「待って。おれは? どうなるの? 売れないの?」
「何だよ、売られたいのかい? 僕に何か聞かないでってば」
外の方は世間話を続けながら馬を繋ぎかえているような気配である。会話からは人身売買を悪いものと考えている様子がない。まるで芋か何かを出荷しに行くかのようななごやかさだ。そもそも周りにも人通りがある。こういうことはこっそりとやるものではないのか。
やがて馬車は動き出し、エリッツは先ほどとは反対側の木箱で頭を打った。ただでさえ頭が悪いのかと心配しているのにもっと悪くなってしまう。
「あれ? ねぇ、ちょっと、ナイフを取られてないんだけど」
あちこち体をぶつけているうちに、上着の内側にしこまれているゼインのダガーナイフがそのままあるのに気がついた。
「ずいぶんと早く気づいたもんだね」
不機嫌なアルヴィンの嫌味がさえわたっている。
「そもそも口をふさがれていないんだ。杜撰な人さらいだよ。ナイフはどこだって?」
小声で話してはいるし、馬車の移動する音で聞こえないはずだが、エリッツは黙って視線だけで上着の左側を指す。
アルヴィンが口でダガーナイフを引き出し、縄で縛られてはいるものの枷ははめられていないエリッツが時間をかけて縄を切っていく。多少苦戦はしたが、何とか売られる前に解放された。馬車はまだ気づくことなく道を進んでいる。問題はこの後どうするかだ。
「あの人、レジスの言葉が通じるんだね」
「きみ、早試に通ったんだろう。歴史の勉強はしなかったの?」
「そういえば、やったような……」
試験では歴史やその他の教養なども問われたが、懸命に勉強したのはやはり実務で役に立ちそうな科目ばかりだ。歴史などは丸暗記ですぐに忘れてしまった。
「確かもともとレジスはアルメシエの一部だったんだよね」
「歴史家によって言い方は違うけどね。アルメシエがレジスの一部だったんだとこだわる人もいる。僕はきみの言い方が正しいと思うよ。今もアルメシエは中で分裂しているけど、レジスの建国時も同じ状態だったみたいだ。レジスを含む巨大なアルメシエという土地から初代のレジス王が国土を定めて建国したと、いわれているね。もう信じられないほど昔の話だけど。それでも言葉は残っている。まぁ、お隣だしアルメシエが落ち着いていた時はわりと交流も深かったから当たり前なのかな。ラインデルとロイみたいに決定的に隔絶されていたじゃない。ただアルメシエ奥地の方は方言がきつくて言葉が通じないとかいう噂は聞いたよ」
「だんだん思い出してきたよ」
丸暗記だったとはいえ、一度は学んだ内容だ。異国でも言葉がある程度通じるのであれば不安がやわらぐ。
「ただ――少し興味があるよね」
「何が?」
「僕が売られる先さ。兵力が必要ということはそこにロイがいるのかもしれない」
アルヴィンは「僕たち」ではなく「僕」と言った。エリッツには値がつかない。縄からは自由になったが、売れないエリッツがなぜついでとばかりに捕まったのか釈然としない。
「もう一回、縄をはめる?」
エリッツがこま切れになった縄の残骸をつまみあげると、アルヴィンは心底嫌そうな顔をした。
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