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第2部
第20話「予定外の取引場所にヴィクトールが苛立つ顛末」
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降り積もった雪がネオンカラーを反射し、夜のドールストリートを極彩色に彩る。その景色を見下ろしながら、窓際のベッドでサチを犯し続ける。
電脳セックスは不思議なもので、快楽だけでなく、すべての感覚を共有するから、ぼくはサチをみつめながら、同時に自分自身をみつめていて、自分の喘ぎ声が、まるで他人の声にきこえて、豊満な乳房がピストンに揺れるのを感じ、子宮を突くたびに感じたことのない快感が衝撃波のように全身に響く。
「あっ、あっ、あっ、サチ……、また、イクっ」
「いいよ、出して、リオ……我慢しないで、あたしの中に、あっ、ぐっ」
「出るっ、くはーっ」
びじゅーっ、びじゅーっ、びじゅーっ、精を噴射する感覚とそれを受け止める感覚が同時に殺到し、同期したサチはつられて絶頂する。もう四時間以上、休みなく愚行を繰り返し、溢れた精液がシーツの上に大きな水たまりを作って、突くたびにちゃぷちゃぷ、ぐちょぐちょと爛れた音を響かせ、映り込んだネオンの造形が乱暴に揺れる。
ぼくの精液の匂いに混じって、サチの身体からクレマチスの甘い香りが漂う。
「ねえ、サチ……これでも、ハルトが好き?」
「いまは……リオが、好きだよ」
「いまだけ?」
「いま……だけに、して……」
「サチ、あいしてる」
「あたしも、あいしてる……リオ、キスして」
サチがぼくを抱き寄せる。舌を絡め合う。お互いの舌をお互いの唇に出し入れする。セックスするみたいに、ちゅるちゅる、くちゃくちゃ。抱き合ったまま濡れたシーツの上を転がって、上下を入れ替わる。
下からサチを突き上げる。サチの乳房を両手で包んで、乳首を指先で摘む。サチもぼくの乳首を摘む。乳首が二重にきもちよくて、お互い肩を震わせる。
「リオ、アンタあたしがヤった中で、一番きもちいい男だよ」
「クスリのお陰?」
「ラックレスでファックしたときから、あんたのちんぽみてると子宮が疼くんだ。あんときから、リオのことが頭から離れないよ」
「ぼくは、もっと前からだよ」
「もっと前?」
「コクーンで襲撃失敗してハルトが撃たれたとき、ヌクイのデータをコピーするために、サチが直に有線したでしょ」
「そうだっけ?」
「あれから、サチの……ことを、意識すっ、するようになって……」
「あっ、あっ、いっ、リオ、我慢しないで」
再びぼくはサチに精を噴射する。溢れた精液が股間からお腹に流れる。サチの膣がぼくの陰茎で乳搾りするように蠕動する。
ネムやライラ、ユリアたちのような圧迫の快感じゃなくて、サチはぼくを吸い尽くそうと吸引するサキュバスのような女だから、ぼくは短い間隔でなんどもなんども絶頂する。サチにならすべて絞り尽くされても構わない。
* * *
「デンバーじゃねえの!?」
電脳通信するヴィクトールが大声を上げる。
ぼくはサチの車の運転席でバイザーをかけて、交渉の結果を伝える。車は自動運転のまま、止まない雪のバイパスをゲリラのキャンプに向かって飛ぶ。助手席のライラはタブレットに眼を落として、教会のマップをぐるぐる回す。後部座席のサチは朝までぼくとセックスに溺れて、ヘトヘトに疲れ果てて、寝息を立てている。
「デンバーが遠いから、エンライ本社近くのユリシナ教会を指定されたんだ。普通の取引なのにゴネると怪しまれちゃうよ」
「教会? どのへん?」
「いま、マップ送る。はい」
「エンライビルの隣じゃん」
「そう言ったよ」
「建物の外で取引するの? それとも中?」
「それは聞いてない」
ライラが顔を上げる。タブレットをぼくに向ける。教会周辺の地図は、ごちゃごちゃした貧民街と狭い一方通行だらけの道ばかり。五十年も経ってるのに、東京の道は何も変わっていない。
「教会は問題ないけど、万が一揉めたら、逃げるの難しいね」とライラがぼやく。
「揉めずに取引できればいいんだけど」
「危ない取引だから、ハ式の二人を連れてきたほうがいいね。居るだけで相手も撃つの躊躇うから」
「ベツとボリス?」
「そう、アタシとリオはまた狙撃でサポート」
またあの狙撃の緊張を思い出す。車が交差点右折待ちで停車する。大雪でも車通りは変わらない。
ほんの半年前まで発表会で弾く曲で悩んでいたのに、いまは対物狙撃銃を構えて凍てつく空気の中、岩のように固まっていなければならないあの鬱々とした時間のことを悩んでいる。
映画やアニメやゲームと違って、実際の銃は恐ろしく重いし、撃ったときの爆音も衝撃もすごいし、硝煙の臭いもキツくて全然かっこいいものではなかった。初めて銃を撃ったときはドローンを撃墜したけれど、二度目は人を殺した。
あっさりと人の命を奪ったことよりも、それだけ簡単に自分も殺されるかもしれないという事実に気づいて、心底畏れた。できれば銃なんか握りたくない。
電脳セックスは不思議なもので、快楽だけでなく、すべての感覚を共有するから、ぼくはサチをみつめながら、同時に自分自身をみつめていて、自分の喘ぎ声が、まるで他人の声にきこえて、豊満な乳房がピストンに揺れるのを感じ、子宮を突くたびに感じたことのない快感が衝撃波のように全身に響く。
「あっ、あっ、あっ、サチ……、また、イクっ」
「いいよ、出して、リオ……我慢しないで、あたしの中に、あっ、ぐっ」
「出るっ、くはーっ」
びじゅーっ、びじゅーっ、びじゅーっ、精を噴射する感覚とそれを受け止める感覚が同時に殺到し、同期したサチはつられて絶頂する。もう四時間以上、休みなく愚行を繰り返し、溢れた精液がシーツの上に大きな水たまりを作って、突くたびにちゃぷちゃぷ、ぐちょぐちょと爛れた音を響かせ、映り込んだネオンの造形が乱暴に揺れる。
ぼくの精液の匂いに混じって、サチの身体からクレマチスの甘い香りが漂う。
「ねえ、サチ……これでも、ハルトが好き?」
「いまは……リオが、好きだよ」
「いまだけ?」
「いま……だけに、して……」
「サチ、あいしてる」
「あたしも、あいしてる……リオ、キスして」
サチがぼくを抱き寄せる。舌を絡め合う。お互いの舌をお互いの唇に出し入れする。セックスするみたいに、ちゅるちゅる、くちゃくちゃ。抱き合ったまま濡れたシーツの上を転がって、上下を入れ替わる。
下からサチを突き上げる。サチの乳房を両手で包んで、乳首を指先で摘む。サチもぼくの乳首を摘む。乳首が二重にきもちよくて、お互い肩を震わせる。
「リオ、アンタあたしがヤった中で、一番きもちいい男だよ」
「クスリのお陰?」
「ラックレスでファックしたときから、あんたのちんぽみてると子宮が疼くんだ。あんときから、リオのことが頭から離れないよ」
「ぼくは、もっと前からだよ」
「もっと前?」
「コクーンで襲撃失敗してハルトが撃たれたとき、ヌクイのデータをコピーするために、サチが直に有線したでしょ」
「そうだっけ?」
「あれから、サチの……ことを、意識すっ、するようになって……」
「あっ、あっ、いっ、リオ、我慢しないで」
再びぼくはサチに精を噴射する。溢れた精液が股間からお腹に流れる。サチの膣がぼくの陰茎で乳搾りするように蠕動する。
ネムやライラ、ユリアたちのような圧迫の快感じゃなくて、サチはぼくを吸い尽くそうと吸引するサキュバスのような女だから、ぼくは短い間隔でなんどもなんども絶頂する。サチにならすべて絞り尽くされても構わない。
* * *
「デンバーじゃねえの!?」
電脳通信するヴィクトールが大声を上げる。
ぼくはサチの車の運転席でバイザーをかけて、交渉の結果を伝える。車は自動運転のまま、止まない雪のバイパスをゲリラのキャンプに向かって飛ぶ。助手席のライラはタブレットに眼を落として、教会のマップをぐるぐる回す。後部座席のサチは朝までぼくとセックスに溺れて、ヘトヘトに疲れ果てて、寝息を立てている。
「デンバーが遠いから、エンライ本社近くのユリシナ教会を指定されたんだ。普通の取引なのにゴネると怪しまれちゃうよ」
「教会? どのへん?」
「いま、マップ送る。はい」
「エンライビルの隣じゃん」
「そう言ったよ」
「建物の外で取引するの? それとも中?」
「それは聞いてない」
ライラが顔を上げる。タブレットをぼくに向ける。教会周辺の地図は、ごちゃごちゃした貧民街と狭い一方通行だらけの道ばかり。五十年も経ってるのに、東京の道は何も変わっていない。
「教会は問題ないけど、万が一揉めたら、逃げるの難しいね」とライラがぼやく。
「揉めずに取引できればいいんだけど」
「危ない取引だから、ハ式の二人を連れてきたほうがいいね。居るだけで相手も撃つの躊躇うから」
「ベツとボリス?」
「そう、アタシとリオはまた狙撃でサポート」
またあの狙撃の緊張を思い出す。車が交差点右折待ちで停車する。大雪でも車通りは変わらない。
ほんの半年前まで発表会で弾く曲で悩んでいたのに、いまは対物狙撃銃を構えて凍てつく空気の中、岩のように固まっていなければならないあの鬱々とした時間のことを悩んでいる。
映画やアニメやゲームと違って、実際の銃は恐ろしく重いし、撃ったときの爆音も衝撃もすごいし、硝煙の臭いもキツくて全然かっこいいものではなかった。初めて銃を撃ったときはドローンを撃墜したけれど、二度目は人を殺した。
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