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第1部

第32話「闇医者をファックしてぼくのことを聞く顛末」

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 ウェンディの診療所は今夜も休診の看板が下がる。

 大きな円形の診察台の上で、天井から吊られた輪っかを掴むウェンディを、仰向けのぼくが下から突き上げる。ユリアとエレナがウェンディの乳首に吸い付き、ぼくは両腕をひろげて二人の割れ目に指を出し入れする。
 三人はウェンディをハブにして有線ケーブルでつながり、感覚を共有する。蓮形の香盆こうぼんから天然ドラッグの煙が上り、甘い香りが診察室に立ち込め、濡れた粘膜の音と、ぼくたちの甘い嬌声が響く。

「あーっ、リオ、あっ、あたし、また……イっちゃう、イクっ、ひっ」

 ウェンディが腕に力を入れて、全身をガクガク震わせる。白目をむく。
 天井の照明は落とされ、床の保安灯が絶頂するウェンディの身体を妖艶に照らす。午後に診療所を訪れてから八時間以上、クスリでセックスにどっぷり溺れ、ウェンディもユリアもエレナも、それにぼくも、数えるのがバカバカしくなるくらい、なんどもなんども絶頂する。
 円形の診察台には大量の精液が満遍なくぶちまけられ、床にしとしと滴り落ちる。

 外は豪雨で、風雨が窓を震わせ、向かいのパーツショップは早めに閉店したけど、ディルドーショップはまだやっていて、デジタルサイネージにディルドーを出し入れする女達の広告動画が流れる。

 絶頂が落ち着いたウェンディから陰茎を引き抜く。起き上がって、今度は後ろから挿れる。根元まで挿れると、ウェンディの下腹部が膨らむ。引き抜く。お尻の穴に挿れる。
 膣と違って、入り口でぎゅっと引き絞られるような締付けがあって、ぐっとおしこむと、根元までちゅるんと飲み込まれてしまう。出し入れする。引き抜く。口を開けたままの膣にぶち込む。腰をしゃくりあげて、ウェンディのヴァギナを撹拌かくはんする。

「ふー、うっ、あっ、あっ、あっ、リオ、あえ……あ、また……あ……、あぐ……」
「ウェンディ、まだ、イっちゃだめだよ」とぼく。
「あっ、あっ、あたし、あたまが、はーっ」

 待合室からサチが入ってくる。ソフトモヒカンの髪とレザージャケットが濡れていて、中華飯店の紙袋を抱える。春巻きを咥える。

「まだヤってんのかい、飽きないね」
「あっ、あっ、あっ、日付、変わる……まで、ヤらせて、くっ……れるん、でしょ?」
「そろそろ喋ってくれないと、アンタの大好きな生チンポ連れて帰るぜ」
「いやっ、ぃ……ヤダ、もっとしたい」

 サチが診察用の椅子に座る。聴診器を首にかけて、丸いチェストピースをウェンディに向ける。

「あんときさあ、なんか変だなって思ってたんだよ。どーしてアンタが、初めて会ったリオをフェラーレだって気づいたのか。みただけじゃわかんねーだろ」

 ウェンディは輪っかから手を離して、精液で濡れた診察台にうつ伏せになる。ぼくはウェンディの子宮を突き下ろす。ユリアとエレナを両脇に抱いて、乳首を舐めさせる。
 ウェンディを乱暴に突くたびに、身体がリンクしているユリアとエレナも切ない声を絞り出す。ぼくの名前を囁く。乳首を舌先で抉る。卑猥な言葉が次々溢れる。

「リオのこと、知ってたんだろ」
「知ってたわ、知りすぎてた」
「なんであんたがゲラルディーニ病院にいたの?」
「雇われよ……病院が、人間を使って……奴隷を作る、手伝い」
「奴隷?」
「リオは……あ……、はーっ、またイク」

 ウェンディがお尻を前後に激しく振って、子宮頸がぎゅぎゅっと引き攣る。エレナがぼくのお尻に指を挿れて、パンパンの精嚢をゴリゴリ抉る。なかに出してぇ、とユリアが耳元で囁く。我慢できない。
 ウェンディの胎内に噴射する。逆流した精液が、結合から泡を吹いて溢れ出し、診察台にドボドボと流れ落ちる。

 シースルーのテディを来たアンドロイドナースが、ジアルジアのボトルを開けて、ぼくの口に運ぶ。こうやって、セックスしながらセックスドラッグの粉末食をガブガブ飲まされるのだから、出しても出してもきりがない。
 性欲も快楽も張り詰めたまま、女の芳香と柔肉と粘膜にズブズブと酩酊し、いつまでも酔いが覚めない。終わらない快楽の拷問があるとしたら、これがそうだ。

「奴隷って、なんだよ。穏やかじゃない響きだけど……」

 うつ伏せのままウェンディが力尽きて潰れる。陰茎がちゅるりと滑り抜ける。ユリアとエレナが濡れた陰茎に舌を巻きつける。わざとちゅるちゅる音を響かせる。

「リオは……電脳も埋められていない、生身の身体だった」とうつ伏せのウェンディが言う。
「十七歳だぜ」とサチ。
「そうよ、どこで生まれ育ったのか、全然わからない少年で、かろうじて生きていたけれど、死にかけてた。だから培養槽で組織置換を施術して、電脳を埋めた」
「リオはフェラーレだろ?」
換式かんしき細胞で造られたバイオユニットのことを、フェラーレ博士の名前を取ってフェラーレって言うのよ、今じゃブランド名になってるけど。女性への施術しかできなかったんだけど、特別なオーダーがあって、リオを実験台にしたんだ」
「特別なオーダーって?」

 ウェンディが仰向けになる。ユリアとエレナが愛撫する陰茎に指を巻きつける。

「男のフェラーレプロトタイプが欲しいって、あたしと一緒に組んでた闇医者のマオ・ユーハンが……。リオ以外にも実験体は何人もいたんだけど、リオは十三人目で初めて成功したの。なのに、西部ゲリラのゴリラどもが……」
「ぼく、人造人間ですか?」
「ウフフ……ちょっと違うわ。人造細胞で置き換えた、限りなく生身に近い身体」

 ウェンディがぼくの陰茎を自分の秘花はなに導く。ぼくは根元まで突き入れる。ユリアとエレナを抱いて、身体を波打たせて、ウェンディの子宮をぶっちゃぶっちゃと打ち鳴らす。サチは黄金色こがねいろに光る液体が入った煙管を吸う。

「リオの身体は最初から病院に?」
「私は知らないわ」
「誰なら知ってる?」
「院長のモーリス・ゲラルディーニ……どうして?」
「リオのルーツを探してる」

 サチが立ち上がる。聴診器を耳にかけて、チェストピースをウェンディの下腹部に当てる。ウェンディの身体は精液に濡れてぬらぬらと輝く。

「フェラーレのチンポはこんな音がするんだね」
「あたし、フェラーレの男とセックスするのが……夢だったんだ」
「知ってるよ」
「セクター4の女だったら誰だってそう。フェラーレの男なんて……この世に、存在……しないものと、生でファックできるなら、死んでもいい。ああ、リオ、あなたがあたしの待ち望んだピーターよ、もっと突いて、抉って、あなたのペニスで、あたしの凝り固まった倦怠けんたいをほぐして……リオ……」
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