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第一章 若きヴァンパイア

たった2人の夜

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夜が訪れるたび、ヴィンセントとリリスは互いを求め、闇の中に溶け合っていた。冷たい月光が部屋を薄く照らし、彼の黒いマントがまるで影そのもののように揺れる。二人の赤い瞳が暗闇の中で輝き、静寂を切り裂く熱情がそこに渦巻いていた。
ヴィンセントのマントは、リリスの細い指に掴まれたまま滑り落ちる。彼の堂々とした肩と首筋が露わになると、リリスの唇が悪魔のような笑みを浮かべた。「そのマントに隠されたものを見せて、ヴィンセント。私だけのものよ。」
「欲しいなら奪えばいい、だが君も逃れられない。」
彼の声は低く冷たいが、その瞳の奥には燃え盛る欲望が隠せなかった。



リリスが首を差し出すと、ヴィンセントは一瞬ためらうように視線を落とした。だが、その白い肌に浮かぶ青い血管を見た瞬間、彼の牙は抑えきれない衝動に突き動かされた。黒いマントが彼の動きに伴って広がり、闇の翼のようにリリスを包み込む。
鋭い牙がリリスの肌に食い込み、赤い血が彼の唇を染める。彼は一滴たりとも無駄にしないように喉を鳴らしながら飲み干し、リリスは苦痛と快楽の境界で震えた。血を吸われる感覚が彼女を狂わせ、彼女の細い指はヴィンセントの背中に爪痕を残すように強く掴む。



だが彼女もただ奪われるだけの存在ではない。リリスは素早く身を翻し、ヴィンセントの首元に牙を突き立てた。その瞬間、彼の身体はビクと震え、リリスの熱い吐息が彼の耳元に触れる。黒いマントが二人の身体を包み込み、周囲の闇と一体となったようだった。
「まだ足りないわ、ヴィンセント。」リリスが血の香りを漂わせながら囁く。
「君が欲しいのは血だけではないだろう。」



彼の冷ややかな声に、リリスの目がさらに妖しく光る。二人は激しく絡み合い、互いの血を奪い合い、満たされない渇望を埋めるように求め続けた。血が流れるたび、二人の身体に薄い赤い線が刻まれ、狂気にも似た愛が月光の下で結ばれる。
やがて夜明けが近づくと、ヴィンセントはリリスの身体を抱き寄せ、黒いマントを広げたままベッドに倒れ込む。彼女の髪をそっと撫でながら、まだ滴る血の香りを楽しむように目を閉じる。
それでも、彼らの渇望は消えない。明日もまた、この狂おしい夜が続くだろう。黒いマントが闇を裂き、二人の禁じられた愛の証となるたびに。



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