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第2章︙魔法都市編

初めての任務

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「ちょっと君達、それはなにかな?」

俺がモグモグ食べていると、見知らぬ男の人達が話しかけてきた。
ジロジロと無遠慮に見てくるその失礼な視線に高圧的な口調。まさに『悪いやつ』の感じがする。

しかし俺はできる大人。
いくら態度が悪く嫌な奴だと思っていても、まだ悪口も迷惑行為もしていない人なので嫌な態度は表に出さず丁寧な対応をする。

「これに、なまえなんてないぞ。おれがつくったからな。ほら、わかったならあっちいけ」

優しくシッシッと追い払う仕草をしてここから離れるよう合図してやったのに、何故か男の人達は怒りはじめた。
人の親切な対応にもキレるなんて、短気にも程がある。流石にこれはどうしようもないぞ。

「おいコラガキ!!お前、誰に向かってものを言ってんのかわかってんのか!?」

「だれって……あ、おれのたべるじかんをジャマする、めーわくなやつ?」

「違うわボケ!!俺はB級冒険者のガイスだ!!」


おお!B級冒険者か!!……すごいのか?


「おいダイキ。B級冒険者はベテランの冒険者が多くて強い人も沢山いるクラスだ」

俺が分からないと困っているところ、これまた何故かいち早く気づいたレオンがボソッと教えてくれる。
ベテランさんが多いってことは、そこそこ冒険者稼業も長いと見た。しかし!!俺はこれから最強冒険者になる男。この程度の威圧で屈する程度じゃとてもだが最強にはなれないだろう。
大体公共の場でモラルのない行動をするやつがB級冒険者になれるってことは、もしかしてそれ相応の実力さえあれば人格は無視で昇級できるのか…?

「どうしたガキ?もしかして怖くて声も出ないのか?泣いてチビるのだけはやめとけよー!!」

………は?


「フンッ!!おまえなんて、どうせじつりょくもないくせにいばるなよバーカ!!だからそのランクから、あがらないんだぞザコ!!」

ベテランが多いってことは、ある程度長くやっていればいけるランク。つまり、誰でもいけるランクの最高位ってとこだろう。
おそらくA級冒険者から選ばれた強い者たちが多くなるのかもしれないと思う。

「ごちそさまでした!!ほらレオン、はやくいこ!!」

「わ、分かった。あとこれだけ食べれば完食だから………ほら、さっさと行くぞ」

俺はレオンと俺の皿をさっと回収し、シルに綺麗にする魔法をかけてもらうとポシェットの中に入れた。
そして席を立ってここからすたこら離れるために少し駆け足でこの場から離れていく俺たちに、後ろから男どもが追いかけてくる。

「おい!!お前逃げんじゃねえっ………ひっ!?」

何故か怯えた声が聞こえてきたが、俺はそんなのに構っている暇もないのでさっさと大浴場へ向かうことにした。





「シル、きょうはぼーけんしゃのギルドにいくぞ!!」

「キャンッ!!」


次の日の朝。
たっぷりと大浴場のお湯に浸かり睡眠をとった俺は朝食を食べて元気全開だ。
俺の着替えがなかったので、今回は神様がくれた冒険者セットを着ている。

白色で黒のラインが入った半ズボンにカッコいいブーツ。靴がブーツに変わったのには驚いた。
上は何故か柴犬のイヌミミがついた淡い水色の半袖パーカーというなんとも言えないもので、さらに何故かイヌマークの付いた手袋もついていた。

………これは少しお子様に見えてしまうかもしれない。

まあ、大丈夫だろう。どうせ周りの人なんて俺のことを見もしないだろうしな。うん、大丈夫。

それにこれを着るとなにか効果があるらしいと前に調べたが、今のところ変わった感じはしない。どうせ神様がミスでもしたのかもだな。
冗談はさておき、このデザインで効果なしだったらマジで許さない。

「お前………その服装で冒険者ギルドに行く気か?」

「もちろん!!やはりさいきょーになるため、ぼーけんしゃのしごとは、しっかりやらないとだからな!!」

「えっと……うん。本人が気にしないなら別にいい」


……やっぱりこの服装ちょっとお子様っぽいぞ!!
これはもう神様、確信犯だろ。ちっさくした俺をおちょくってるに決まってる。許さない。

「ひ、ひとはみかけによらないから、こんなかっこーでも、さいきょーになれるから……」

「いや、お前の今の格好ある意味最強だぞ」


ある意味最強……てなんだ?

そんなこんなで冒険者ギルドへの道のりを歩く俺達に、事は起こった。


「あ、昨日の可愛い子じゃないの!!のにその服装、可愛いー!!はい、これでも食べて!!」

「あらあらまあまあ!!なんて素敵なの!可愛いからこれあげる!!」

「なにこれ……こんなの世界に存在して良いの?駄目よね?この罪深き可愛さはもはや神……これはもう改宗するしかないわ」

街のとおりに出ると瞬く間に人に囲まれ、何故か沢山の飴をくれた。
皆が可愛い可愛いと連呼しているのは、おそらくこの服装が可愛くてなのだろうか?
それともまさか……レオンのことか!?

「おい……なにを考えているかだいたいわかるが、それは違う」

「むむ……じゃあ、おれのふくそーがかあいくて、めずらしーからなのか」

「それもそうだけど……違う」

もはや今では俺達のために道を開けてくれてフードの中に飴を貢いでくれるという、意味の分からん状況が出来上がっていた。



「………外がすごいことになっているが、よくお前たちノコノコこれたな」

「す、すみません…」

「きたらダメなのか?だいたいその、いやみったらしーのはなんだ。ハイエルフのくせに、せーかくがわるいんだなおまえ。まあおれ、ハイエルフしらないけど………イタッ!!レオン!!なんでつねる!!」


俺はただ事実を述べただけでなんにもおかしなことは言ってないのに、なんて理不尽なやつ!!
お返しに抓ってやると、またレオンが抓って来やがったので俺はベシっとレオンを叩く。
たちまち取っ組み合いになった俺達を呆れた目で見ていたハイエルフのギルド長が俺達を引っ掴んで引き離す。 

………何故かレオンは手で近づかないよう制しているだけなのに、俺は襟首を掴まれて宙ぶらりんになっているのは解せない。理不尽だ。


「はぁー。このよはりふじんばっかだな……」 

「まだ生まれて間もない子供が何を言っているんだ。大体お前、頭の服の入れ物に大量のお菓子があるのだが、頭大丈夫か?」


………やっぱりこのハイエルフムカつく!!

俺は「離せ!!」と言ってピョンとギルド長の腕から飛び降りると、振り返って今日の用事を伝えた。

「にんむをうけるためにきたんだ。むずかしーくて、はやくランクあがるやつをたのむ」

「き、今日はクエスト受理をするために来たんです。こいつ初めてなので舞い上がっちゃって……とりあえずやる気を無くすために程々に難しいやつをお願いします」


俺がお願いしたのに、何故かレオンの方を向いて頷いているハイエルフのギルド長。

「では、お前たちには採集クエストを頼む。失敗しても報酬はやるから安心しろ。成功したら……そうだな、私の別館をあげよう」

ニヤリと笑いながら提案してくるギルド長。嫌な予感しかしない。

「採ってくるものは幻の果実アンブロシア。ここ数百年見つかっていない植物だが、せいぜい頑張れよ。新人冒険者」



幻の果実アンブロシア。絶対に見つからないと言われるその幻の果実は、通常ならば見つけることなんてできない。
初めての任務クエストにはあまりにも無理難題なものだとは知らずに、俺は威勢よく冒険者ギルドを飛び出した。




----------------

いつも読んでくださりありがとうございます!

夏休みが終わる……終わります。
課題が終わっていない。というかやってない……終わったー!!

とは思いながらもこうして小説を投稿しているのですが、南海トラフが来ると言われるこの頃、防災対策はしっかりとしましょう。

地震は、『来る来る……!!来ないかー。あ、待って来たわ』という感じで、みんなが忘れかけた頃にドカンとくると思っていますので(科学的な根拠はないです)

とにかく!!『備えあれば憂いなし』なので、しっかりと準備はしておきましょう!!


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