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第1章︙精霊編
最上位精霊
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「なーなー、クロスはどこからきたんだ?」
あのあとすっかり打ち解けていた俺達はクロスを質問攻めにしていた。クロスは俺の質問に微笑みながら優しく答えてくれる。なんて優しい精霊さんなんだ。
「あぁ、今の住処のこと?………それなら僕はここ神秘の森に住んでるよ。もうちょっと行けば精霊の都があるから明日連れてってあげるね」
どうやらここは神秘の森というらしい。それに精霊さん達も沢山いるそうだ。
他の精霊さんたちにも早く会ってみたいなーなんて考えているとクロスが話しかけてきた。
「今度は僕から質問があるんだけど、どうやって契約を名付けだけで成立させられたのか教えてほしいんだ。」
いや………そんな事言われても……
「クロスがじゅんびしてくれてたんじゃないのか?」
俺が問いかけるとクロスは驚いたように首を横に振った。
「違うよ。契約ってそんなすぐに準備できるものじゃないんだ。僕でも準備に一時間位かかる……ほら、あの時は出会って一時間も経っていなかったじゃないか。」
ふむ。そう言われても俺がなんでそんな事できたのかよく分かんないな。
俺は知らないなとクロスに言うと、やっぱりそうだと思っていたのかあまり驚いていなかった。
「そうだよね。流石にダイキがそんな事できるわけ……あんなにチョロ可愛いのにできるわけがないな。じゃあやっぱり神が絡んでいるのか?ダイキは神から物を授けられるほど愛されているわけだし……」
何やらボソボソ呟いていたけど、納得したのか一人で満足げな顔をしている。
「じゃあおれそろそろねるから……あ、クロスもおれといっしょにねるか?」
俺は寝ようとクロスも誘ったけど、クロスは首を微かに横に振った。
「僕達精霊は魔力さえ摂取すれば生きられるんだよ。意図的に食べたり寝たりはできるけど……まあとにかく僕は寝る必要はないんだ。…それに僕はこの後やることがあるんだよ。」
そうなのか。俺はクロスに行ってらしゃいと声をかけてからテントに入っていった。
ベッドに寝転ぶと、若返って肉体年齢が幼くなった影響なのかすぐに目蓋が重くなっていった。
翌朝、気持ち良く目覚めた俺はテントの外に出てみるとまだクロスは戻ってきていなかった。
いつ帰ってくるかなと暫く待っていたけれど、このままではいつまでも帰って来ない気配がした俺はクロスを探しに行った。
「いないなー………クロス、どこにいったんだろう……」
俺は森の中を歩きながらぼやくけど、勿論返事なんて帰ってこない。
最初はてくてく歩いていたけど少しずつ足が進まなくなってきた。
俺、まだ朝ご飯を食べてないぞ。
俺のお腹がグーグー合唱を始めたので食べ物を探したけど、見つかったのは昨日の林檎みたいな果実が一個だけ。
仕方なく俺はその果実をもぐもぐと食べて少し機嫌を直し、また出発しはじめた。
歩く。歩く。歩く。
ずいぶんと歩いているけれど一向に見つからないことに俺は段々不安になってくる。
それでも歩いていくと運が悪かったのか小石に躓いて俺は転んでしまった。
………痛いな。
見ると膝と手が擦りむいていて俺は涙目になった。
………まさか俺、見捨てられたのかも。
俺はその場にしゃがみこみ泣いていると、ふと上から声がした。
「ねえあなた。大丈夫?」
俺は顔を上げると綺麗な水色の髪と目をした女の人が俺を心配した顔で覗き込んでいた。
「あなたもしかして………人族?そんなに泣いちゃってどうしたの?」
「おい。俺を置いていくなってばよアクア、まったく……ん?お前、泣いてんのか?」
更に陰から濃い青色の髪と黒目の男の人が現れた。
そして二人とも体が透けている。
俺は突然現れた謎の人物たちに驚いて涙が止まる。
「な、ないてないぞ!おれは……ちょっともりでまよっちゃったから……きゅうけいしようと……」
段々声が小さくなっていくにつれて俺の自信もなくなってきた。
「なんだよお前、誰から見ても泣いてるってわかるのに誤魔化そうとしてるのか?すごい格好悪い……グフッ!」
「あらあらごめんなさいね。こいつ頭が悪いから言っていいことといけないことの区別がつかなくて困っているのよ。あなたの名前を教えてくれる?」
なにか言いかけた男の人の腹に鉄拳を食らわせた女の人は俺に優しく声をかけた。
「お、おれはダイキです。………えっと、よろしくおねがいしましゅ……します」
噛んでしまったのはちっちゃくなってしまったから仕方がない。うん、そうにきまってる。
少し顔を赤くした俺は心のなかで言い訳をしていると、突然女の人がよろめいた。
どうした!と慌てて駆け寄ると女の人は胸を抑えながらも復活した。
「……ダイキって言うのね。私は水属性最上位。これは名前じゃなくて称号のようなものだから気軽にアクアと呼んで頂戴。………なにこの子めっちゃ可愛いんだけど」
最後なんかボソボソ言っていたけどよく聞こえなかったな。
「俺は闇属性最上位。これもアクアとおんなじ称号のようなものだ。お前、森に迷ってるんだな。なんでここにいるんだ?」
あのあとすっかり打ち解けていた俺達はクロスを質問攻めにしていた。クロスは俺の質問に微笑みながら優しく答えてくれる。なんて優しい精霊さんなんだ。
「あぁ、今の住処のこと?………それなら僕はここ神秘の森に住んでるよ。もうちょっと行けば精霊の都があるから明日連れてってあげるね」
どうやらここは神秘の森というらしい。それに精霊さん達も沢山いるそうだ。
他の精霊さんたちにも早く会ってみたいなーなんて考えているとクロスが話しかけてきた。
「今度は僕から質問があるんだけど、どうやって契約を名付けだけで成立させられたのか教えてほしいんだ。」
いや………そんな事言われても……
「クロスがじゅんびしてくれてたんじゃないのか?」
俺が問いかけるとクロスは驚いたように首を横に振った。
「違うよ。契約ってそんなすぐに準備できるものじゃないんだ。僕でも準備に一時間位かかる……ほら、あの時は出会って一時間も経っていなかったじゃないか。」
ふむ。そう言われても俺がなんでそんな事できたのかよく分かんないな。
俺は知らないなとクロスに言うと、やっぱりそうだと思っていたのかあまり驚いていなかった。
「そうだよね。流石にダイキがそんな事できるわけ……あんなにチョロ可愛いのにできるわけがないな。じゃあやっぱり神が絡んでいるのか?ダイキは神から物を授けられるほど愛されているわけだし……」
何やらボソボソ呟いていたけど、納得したのか一人で満足げな顔をしている。
「じゃあおれそろそろねるから……あ、クロスもおれといっしょにねるか?」
俺は寝ようとクロスも誘ったけど、クロスは首を微かに横に振った。
「僕達精霊は魔力さえ摂取すれば生きられるんだよ。意図的に食べたり寝たりはできるけど……まあとにかく僕は寝る必要はないんだ。…それに僕はこの後やることがあるんだよ。」
そうなのか。俺はクロスに行ってらしゃいと声をかけてからテントに入っていった。
ベッドに寝転ぶと、若返って肉体年齢が幼くなった影響なのかすぐに目蓋が重くなっていった。
翌朝、気持ち良く目覚めた俺はテントの外に出てみるとまだクロスは戻ってきていなかった。
いつ帰ってくるかなと暫く待っていたけれど、このままではいつまでも帰って来ない気配がした俺はクロスを探しに行った。
「いないなー………クロス、どこにいったんだろう……」
俺は森の中を歩きながらぼやくけど、勿論返事なんて帰ってこない。
最初はてくてく歩いていたけど少しずつ足が進まなくなってきた。
俺、まだ朝ご飯を食べてないぞ。
俺のお腹がグーグー合唱を始めたので食べ物を探したけど、見つかったのは昨日の林檎みたいな果実が一個だけ。
仕方なく俺はその果実をもぐもぐと食べて少し機嫌を直し、また出発しはじめた。
歩く。歩く。歩く。
ずいぶんと歩いているけれど一向に見つからないことに俺は段々不安になってくる。
それでも歩いていくと運が悪かったのか小石に躓いて俺は転んでしまった。
………痛いな。
見ると膝と手が擦りむいていて俺は涙目になった。
………まさか俺、見捨てられたのかも。
俺はその場にしゃがみこみ泣いていると、ふと上から声がした。
「ねえあなた。大丈夫?」
俺は顔を上げると綺麗な水色の髪と目をした女の人が俺を心配した顔で覗き込んでいた。
「あなたもしかして………人族?そんなに泣いちゃってどうしたの?」
「おい。俺を置いていくなってばよアクア、まったく……ん?お前、泣いてんのか?」
更に陰から濃い青色の髪と黒目の男の人が現れた。
そして二人とも体が透けている。
俺は突然現れた謎の人物たちに驚いて涙が止まる。
「な、ないてないぞ!おれは……ちょっともりでまよっちゃったから……きゅうけいしようと……」
段々声が小さくなっていくにつれて俺の自信もなくなってきた。
「なんだよお前、誰から見ても泣いてるってわかるのに誤魔化そうとしてるのか?すごい格好悪い……グフッ!」
「あらあらごめんなさいね。こいつ頭が悪いから言っていいことといけないことの区別がつかなくて困っているのよ。あなたの名前を教えてくれる?」
なにか言いかけた男の人の腹に鉄拳を食らわせた女の人は俺に優しく声をかけた。
「お、おれはダイキです。………えっと、よろしくおねがいしましゅ……します」
噛んでしまったのはちっちゃくなってしまったから仕方がない。うん、そうにきまってる。
少し顔を赤くした俺は心のなかで言い訳をしていると、突然女の人がよろめいた。
どうした!と慌てて駆け寄ると女の人は胸を抑えながらも復活した。
「……ダイキって言うのね。私は水属性最上位。これは名前じゃなくて称号のようなものだから気軽にアクアと呼んで頂戴。………なにこの子めっちゃ可愛いんだけど」
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