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第2章︙モスタニア連合国編
総ギルド戦1
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「総ギルド戦の開幕を、ここに宣言します!」
総ギルド戦が開始された。
総ギルド戦は約三日に渡って行われる。何百と集まるギルドから、全部のギルドを三日で審査することはできないので、ある程度の戦力を誇り、そして事前試合のギルド勝ち抜き戦から選ばれたギルドが今回の大会に参加できる。
また、前回の大会十位までは事前試合をパスすることができる。
私達のギルドは前回三位だったらしいので事前試合は行わなくてもいいが、前回のギルド戦で三位に立ったのだ。
私以外のギルド員、勿論サリアス副団長やアレス団長も、他のギルドから能力をある程度洗い出されている筈。
おそらくサリアス副団長はまだ奥の手がありそうな気配がするけれど……てゆうかあの人がみすみす手の内を見せるような人には見えないので安心だけれど、アレス団長はそんなことをいちいち考える人ではないので、もう何かしらの対策を練られている可能性が高い。
そこで数日前に話し合った私達の計画は「短期決戦」だ。
アロさんいわく、「途中までは適当に蹴散らしておけば勝てる」らしいので、前回はサリアス副団長一人では無理があった、【広範囲全滅魔法】での短期決戦が、私がギルドに入ったことにより可能になった。
なるべく実力を見せずに、そして最小限の戦闘に留めて上位ギルドとの戦いに備えようというわけだ。
「開始!」
拡声魔法で高らかに宣言された瞬間、私達はすぐに見晴らしのいい場所を取り広範囲殲滅魔法を発動させる。
「アイスフィールド」
流石に殺すわけにはいかないので、直撃しても生きていられる出力に抑えて放っているが、そのせいかチラホラと私とサリアスさんの魔法を突破してくる人達がいる。
その場合、ヒュノさんとシュノさんが素早く鎮圧させて、団長とセイズさんがサリアス副団長を、そしてアリスさんが私の護衛をしてくれている。
アロさんは遊撃としていつでも動けるようにしているけれど、今のところ出番はなさそうだ。
「ここまでは順調ね。そろそろ上位ギルドが絞られてくる頃じゃないかしら」
1日目の夜。私達は皆で食卓を囲みながらこれからについて話し合っていく。
今までは広範囲魔法ですぐに片がついたけれど、最後の方の試合では広範囲魔法を撃っても半分くらいの人が残っていた。
私達の試合を見て急遽対策を練ったからかもしれないが、全体的に見てそろそろ通用しなくなってきている。
「特に三大ギルドに加えて、今年はずっと東の国、和国の大和ギルドが参加してます。見慣れない武器の扱いや術がに注意した方が良いですね」
「和国の奴らは厄介な奴が多いからな。注意しておくにに越したことはないだろ」
知らなかった。どうやら和国のギルドが参加しているらしい。
和国の人々は、珍しく魔力を持っていなくて、代わりに武術という肉弾戦に秀でた人たちが多い。
特にカタナという武器を扱っている人は、【抜刀術】なるものを使える人がいる。
歴戦の戦士でさえ反応ができなかったと言われるその技は、十分私達の脅威となるだろう。
「じゃあ次の作戦は各自で対応ってことでいいのかしら」
「いや、それだとシアさんが集中攻撃されたときの不安が残るっす。特に三大ギルドはギルド人数百人を超えるので、さすがのシアさんも襲撃を受けたらキツいんじゃないっすか?」
3大ギルドは大規模なギルドなので、ギルド幹部の実力は勿論、数でも私達のギルドより圧倒的な優位を誇っている。
「そこで一つ私から案があるのですが……」
どうしようかと皆が頭を悩ませていたところ、私は手を上げて静かに発言した。
「うん!たしかにそれが良いかもしれないわね!」
「僕も賛成です。ですが……この場合下手をすれば一気に壊滅しかねませんよ」
「あ、そこは大丈夫です。その場合私かサリアスさんがどうにかできる魔法を身に着けてますから。それに少数ギルドであるのに前回のギルド戦で三位をとったギルドが、余程のことがない限り下手を打つことはないと思います」
私が提案した案に皆が好意的な様子で賛成してくれる。
「じゃあこの作戦に決めましょうか。なにか不都合があった場合は各自臨機応変に対応するということでいいわね?」
「じゃあ明日に備えて各自しっかりと休憩をとるように!」
そしてアレス団長とサリアス副団長の言葉で解散となり、私は自分の部屋に戻ると、ベッドに倒れ込んだ。
「ふぅー。やっと寝れるわ。明日もあるんだから頑張らないと」
たくさん魔力を使ったせいか、すぐに目蓋が重くなっていく。
『契約者。お疲れ様』
グリモワールが出てきて私を労ってくれる姿がぼんやりと見える。
『なんかあの人の気配が……』
グリモワールがなにか言っていた様子だったけれど、私はあまりにも疲れていてすでに夢の世界へ飛び立っていた。
翌朝。
私達は朝食を食べギルド戦の会場に集まると、昨日より沢山の人達がいた。
三大ギルドの団長であるクリシュ様がいつもの様に丁寧に挨拶を述べる。
「みなさんおはようございます!ギルド戦二日目になりました!今日は更に強いギルド同士の戦いが白熱していきます。すごい楽しみですね!
ここで皆さんに嬉しいお知らせです!恐らく知っている方もいらっしゃるかと思いますが、私が元聖女だったこと、そして異世界人です。そこでなんと!私のことを知ったある人が来てくださいました!」
なにか嫌な予感がする。
そしてクリシュさんに案内され姿を表した人に周りの人たちが歓声を上げるなか、私は驚愕で凍りついた。
「皆さんこんにちは。柊木由依と申します。聖女という役割を務めさせていただいています。どうぞ宜しくお願いします!」
総ギルド戦が開始された。
総ギルド戦は約三日に渡って行われる。何百と集まるギルドから、全部のギルドを三日で審査することはできないので、ある程度の戦力を誇り、そして事前試合のギルド勝ち抜き戦から選ばれたギルドが今回の大会に参加できる。
また、前回の大会十位までは事前試合をパスすることができる。
私達のギルドは前回三位だったらしいので事前試合は行わなくてもいいが、前回のギルド戦で三位に立ったのだ。
私以外のギルド員、勿論サリアス副団長やアレス団長も、他のギルドから能力をある程度洗い出されている筈。
おそらくサリアス副団長はまだ奥の手がありそうな気配がするけれど……てゆうかあの人がみすみす手の内を見せるような人には見えないので安心だけれど、アレス団長はそんなことをいちいち考える人ではないので、もう何かしらの対策を練られている可能性が高い。
そこで数日前に話し合った私達の計画は「短期決戦」だ。
アロさんいわく、「途中までは適当に蹴散らしておけば勝てる」らしいので、前回はサリアス副団長一人では無理があった、【広範囲全滅魔法】での短期決戦が、私がギルドに入ったことにより可能になった。
なるべく実力を見せずに、そして最小限の戦闘に留めて上位ギルドとの戦いに備えようというわけだ。
「開始!」
拡声魔法で高らかに宣言された瞬間、私達はすぐに見晴らしのいい場所を取り広範囲殲滅魔法を発動させる。
「アイスフィールド」
流石に殺すわけにはいかないので、直撃しても生きていられる出力に抑えて放っているが、そのせいかチラホラと私とサリアスさんの魔法を突破してくる人達がいる。
その場合、ヒュノさんとシュノさんが素早く鎮圧させて、団長とセイズさんがサリアス副団長を、そしてアリスさんが私の護衛をしてくれている。
アロさんは遊撃としていつでも動けるようにしているけれど、今のところ出番はなさそうだ。
「ここまでは順調ね。そろそろ上位ギルドが絞られてくる頃じゃないかしら」
1日目の夜。私達は皆で食卓を囲みながらこれからについて話し合っていく。
今までは広範囲魔法ですぐに片がついたけれど、最後の方の試合では広範囲魔法を撃っても半分くらいの人が残っていた。
私達の試合を見て急遽対策を練ったからかもしれないが、全体的に見てそろそろ通用しなくなってきている。
「特に三大ギルドに加えて、今年はずっと東の国、和国の大和ギルドが参加してます。見慣れない武器の扱いや術がに注意した方が良いですね」
「和国の奴らは厄介な奴が多いからな。注意しておくにに越したことはないだろ」
知らなかった。どうやら和国のギルドが参加しているらしい。
和国の人々は、珍しく魔力を持っていなくて、代わりに武術という肉弾戦に秀でた人たちが多い。
特にカタナという武器を扱っている人は、【抜刀術】なるものを使える人がいる。
歴戦の戦士でさえ反応ができなかったと言われるその技は、十分私達の脅威となるだろう。
「じゃあ次の作戦は各自で対応ってことでいいのかしら」
「いや、それだとシアさんが集中攻撃されたときの不安が残るっす。特に三大ギルドはギルド人数百人を超えるので、さすがのシアさんも襲撃を受けたらキツいんじゃないっすか?」
3大ギルドは大規模なギルドなので、ギルド幹部の実力は勿論、数でも私達のギルドより圧倒的な優位を誇っている。
「そこで一つ私から案があるのですが……」
どうしようかと皆が頭を悩ませていたところ、私は手を上げて静かに発言した。
「うん!たしかにそれが良いかもしれないわね!」
「僕も賛成です。ですが……この場合下手をすれば一気に壊滅しかねませんよ」
「あ、そこは大丈夫です。その場合私かサリアスさんがどうにかできる魔法を身に着けてますから。それに少数ギルドであるのに前回のギルド戦で三位をとったギルドが、余程のことがない限り下手を打つことはないと思います」
私が提案した案に皆が好意的な様子で賛成してくれる。
「じゃあこの作戦に決めましょうか。なにか不都合があった場合は各自臨機応変に対応するということでいいわね?」
「じゃあ明日に備えて各自しっかりと休憩をとるように!」
そしてアレス団長とサリアス副団長の言葉で解散となり、私は自分の部屋に戻ると、ベッドに倒れ込んだ。
「ふぅー。やっと寝れるわ。明日もあるんだから頑張らないと」
たくさん魔力を使ったせいか、すぐに目蓋が重くなっていく。
『契約者。お疲れ様』
グリモワールが出てきて私を労ってくれる姿がぼんやりと見える。
『なんかあの人の気配が……』
グリモワールがなにか言っていた様子だったけれど、私はあまりにも疲れていてすでに夢の世界へ飛び立っていた。
翌朝。
私達は朝食を食べギルド戦の会場に集まると、昨日より沢山の人達がいた。
三大ギルドの団長であるクリシュ様がいつもの様に丁寧に挨拶を述べる。
「みなさんおはようございます!ギルド戦二日目になりました!今日は更に強いギルド同士の戦いが白熱していきます。すごい楽しみですね!
ここで皆さんに嬉しいお知らせです!恐らく知っている方もいらっしゃるかと思いますが、私が元聖女だったこと、そして異世界人です。そこでなんと!私のことを知ったある人が来てくださいました!」
なにか嫌な予感がする。
そしてクリシュさんに案内され姿を表した人に周りの人たちが歓声を上げるなか、私は驚愕で凍りついた。
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