釣りはじめました

出逢いは突然に、だけど必然に？

出逢いは突然に、だけど必然に？編10

　待ち合わせ場所は、予想外にも僕の会社の近くの公園だった。
　徒歩で来たのだろうか？古木さんはキャリングカートに荷物を載せて、タックルを２セット持ってきていた。その姿は完璧だ。上は赤、下は黒のダイミョウのウェアに身を包み、頭には可愛らしいニット帽を被っていた。
　いや～！可愛い！！すんげぇ～似合ってる！
　ほころぶ顔を強制的に押し固め、古木さんに挨拶をする。
　「こんにちは。お待たせしてすみません。いい天気で良かったですね。」
　「こんにちは。いえ。私も今来たばかりなので気にしないで下さい。本当に、いい天気で良かったです。初めてのエギングとアジングなので、よろしくお願いしま～す。」
　古木さんは可愛らしくお辞儀をする。
　ぬぉ！？た、、たまらん。可愛さが爆発している！！
　にやけそうになる唇を必死でぎこちない笑顔に変え、荷物を載せて、牛深へ向かった。
　
　あっという間だった。天草の山下釣具まで。出発した時間は丁度、混み合っている昼過ぎで、時間は掛かったはずなのに、スキップしたかのように早かった。車の中は華やかで会話も弾み、楽しかったからか……。
　そんな余韻にひたりながら山下釣具で、一緒にエギやワームなどを選ぶ。声はにこやかなのに、エギなんかを見る古木さんの目は真剣そのものだった。まさに釣り人！と言う目だ。
　納得いくまでエギなどを選び、氷も買って山下釣具を後にする。
　そして、今回の釣り場。牛深に到着した。
　ちょうど日も暮れ始め、夕マズメの時間帯に差し掛かっていた。
　エギをセットして古木さんにレクチャーをする。と、言っても、古木さんは上手かった。キャスティングフォームも綺麗で、シャクリも綺麗だった。教える事なんか無かった。手を握りながら、こうですよ。と教える妄想は呆気なく崩れ去った。
　「古木さんは何時から釣りをやってるんですか？」
　僕は素朴な疑問をぶつける。
　「５歳からですかね？父の影響で始めたんですよ。」
　わぉ！？僕のはるか大先輩じゃないですか。そりゃ、上手いわ。
　教える事もなく、二人でならんで釣りをする。すると、直ぐに僕にアタリがあった。