釣りはじめました

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瀬高君、車買う編

瀬高君、車買う編7

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 結局、あれから何も釣れなかった。
 僕自身、初のボウズである。まあ、難しいとは聞いていたけど、こんな時もあるよね?みたいな感じで帰った。
 「よし!今日も打ち上げばい!!記録更新記念パーティーたい!!」
 島田社長は一人気合い十分で叫んだ。
 家に帰り、道具と一緒に入浴し、スルメと一緒に就寝した。だいぶ大きくなったスルメは今でも甘えん坊だった。
 何時ものように、夕方に出掛ける。今日は奈緒さん達も居るとの事で自宅で打ち上げをするとの事。毎度お馴染みのケーキの大人買いをして、カイ君達の飲み物も買う。
 SNSで連絡があったのだが、重松さんファミリーも呼んであるので、迎えに行って欲しいとの事だった。
 重松さんファミリーを迎えに行くと、凄い凄いと新車の中をソラちゃんは見渡す。中でも目下、釣りガールまいしん中のソラちゃんはロッドホルダーがお気に召したようで、いいな~。いいな~。と連発するのを聞いて、ちょっと嬉しかった。
 島田社長宅に到着して、家に上がってビックリした。
 本当にパーティー仕様に部屋が飾ってあり、しかも、クラッカーまで用意してある。誕生日でも、クラッカーを用意する家は最近少ないのでは?と思ってしまったけど、それは言わないように心掛けた。
 奈緒さんは苦笑いを浮かべながら料理を用意しているが、島田社長は満面の笑顔でまだ飾りを飾っている。ヨシさんもそれに付き合わされ、一緒にかざっていた。時より聞こえる「海人。この飾り曲がっとらん?」「奈緒。これはこの位置でよかろか?」と言う言葉が度々飛び交い、島田社長はまだ僕達が来ている事にも気がつかない様子で、しばらくデコレーションに一生懸命だった。
 デコレーションが完全し、島田社長はみんなにクラッカーを配り、口を開いた。
 「本日は、島田慎之介アオリイカ記録更新記念パーティーにお越しいただき、誠にありがとうございます。新記録、3kgの大台を突破いたしまして、わたくし、島田慎之介、とても嬉しく思っております。今回の……。」
 「そんな挨拶は要らないわよ!早く乾杯しましょう!!料理も冷めちゃうよ。」
 嫁から非難が飛ぶ。
 「そうだよ!パパの自慢話はもういいよ!!」
 息子からも非難が飛ぶ。
 多分、奈緒さんやカイ君は耳にタコが出来るくらいに聞かされたのであろう。
 しかし、それでも島田慎之介はめげなかった。
 「今回のポイントは、天草、西海岸でして、アタリがガツンときた時には、これは!!と思った次第であります!」
 身内からブー!ブー!!とブーイングが飛び始めた。
 それでも止めようとはしない島田慎之介に、嫁が強行手段にでた。
 「それじゃあ、皆さん、お疲れ様でした!かんぱい!!」
 「「「「「「か、かんぱ~い!!」」」」」」
 奈緒さんの一声にみんな反応し、打ち上げは始まった。
 島田社長はぼう然とし、その場にちょこんと座り、小さく「かんぱい」と言った。

 
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