釣りはじめました

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エギング編

エギング編5

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 「ソラちゃん!頑張ろう!!」
 「うん!ヒロお兄ちゃん、がんばろう。」
 僕達は固く握手をした。
 こうなったら、勝しかない。
 釣って、釣って、釣りまくってやるだべ!!
 ……しかし、現実はそんなに甘くなかった。
 僕達もヨシさん達も一向に釣れる気配がない。
 残り時間五分になった。
 このままドローになるのか?
 そう思った時!待望のアタリがソラちゃんのロッドに!!
 「やった!やった!!ヒロお兄ちゃん!きたよ!きたよ!!」
 「うん!うん!!ソラちゃん、慎重に!」
 ソラちゃんは慎重にリールを巻く……。
 上がってきたのは、クサフグだった。
 ………。
 ソラちゃんは可愛い!などと言っているが、これ、カウントに入れて良いのだろうか?良いのなら、これ、このままだと、僕達の勝ちよね?
 僕はヨシさんを見る。ヨシさんは頷いた。
 ソラちゃんはクサフグの写真を撮り、海へ返してあげた。
 そして、このまま試合終了。
 何と厳しい試合だったのだろう?しかし、結果的に僕達の勝利。ソフトクリーム、ゲットだぜ!
 「よし!そんじゃ、片付けばしようかね~。」
 島田社長の一声で片付けを始めようとした矢先、最後の最後でドラマが起きた。
 重松さんのロッドにアタリが!
 おお!結構引いてる!
 重松さんは、「わわわ」と分かり易いリアクションをする。
 ドラグはアジの時もあったので少し緩めているけど、ラインはそんなに出る気配はない。
 島田社長はタモを用意する。
 海面に浮かんできたのは、何とも言えない柄の魚だった。
 僕はこの魚に見覚えがあった。必死に思い出す。
 ……あっ!そうだ!!この魚、『初心者にも分かる、堤防釣り』にも載ってた魚じゃない!?
 ほい。っと島田社長はタモで魚をすくう。
 重松さんは大喜びするが島田社長はそんなに喜んではいなかった。
 やはり、この反応は……。
 「この何とも言えない、金色に斑点があるような魚は何ですか?」
 重松さんが写真を撮りながら聞く。
 「バリたい。」
 「アイゴっても言うね。こっちではバリ。」
 「へぇ~。バリって言うんですね~。」
 重松さんが触ろうとした瞬間、島田社長が止めた。
 「いかん!重松。この魚には毒があるけん触ったらいかん。」
 寸前の所で重松さんは触らずに済んだ。
 あっ、やっぱり、毒ありなのね。
 「バリは背びれとかに毒があるんよ。まず、持って帰るなら、そのトゲを全部切ってやらんといかん。」
 どうする?と島田社長は重松さんに聞く。
 「美味しいんですか?」
 僕も知りたかった質問を重松さんはする。
 「味は美味かよ。でも、持ち帰り方で食べれたもんじゃなくなるね。」
 確かに、本にも美味しいと書いてあった。
 「食べてみたいですね。」
 重松さんは言った。
 島田社長は、よし!と言ってハサミを取り出した。サクサクっと背びれなどを切り落とし、頭の所も切り。そして、頭と一緒に内臓も引っ張り出す。
 「この内臓が臭いんよね。これが破裂すると最悪なんよ。アンモニア臭がキツくてね。持って帰るなら、この内臓ば出してやらんといけん。」
 胸骨の所もハサミで切った。
 そして、袋を何重かにして縛ってクーラーボックスに入れる。
 これは、今日の打ち上げの楽しみが増えたぞ。
 いいサイズのアジも結構釣れたし、想像するとよだれが出そうだった。
 片付けを終えて、車に乗り、この前のお店へ向かう。
 僕はもちろん、マグロづくし丼大盛り。
 他の皆は思い思いのものを注文する。
 やはり、激ウマだった。腹も満たされ、帰路につく。
 今回も島田社長がお金をだしてくれた。ありがとうございます。
 途中にあるソフトクリーム屋さんにより、ヨシさんは皆の分のソフトクリームを買ってくれた。
 皆、お腹が満たされたのか、ソフトクリームを食べたら寝てしまった。
 毎回のごとく、僕はラジオをお供に会社までの道のりを安全運転で帰った。
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