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キス釣り編
キス釣り編15
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なぜか三人みんな、マグロづくし丼だった。しかも、大盛り。
でも、美味しかった。僕は、がっついて食べていたと思う。それぐらい、うまかった。
ここのお会計も、島田社長が出してくれた。
ありがとうございます。と言い車に乗る。
もう、そこからは何時ものパターンだった。あっという間に車内はいびきに包まれる。無理もない、昨日の夜は殆ど寝ていないだろうから。
体力は若いのかな?と思わせるくらい眠くならなかった。実際に若くはあるけど……。
車で流れるラジオは平日とは違い、東京の番組が流れる事が多い、何時も新鮮な気分になる。ラジオを聴きながら、会社に着いた頃には、夕方の五時を回っていた。
着きましたよ。と毎度おなじみのセリフで起こす。
「よし!今日も打ち上げばするばい!」
背伸びをしながら、島田社長は言い、これも何時ものように家に帰り、新聞紙とビニール袋を持ってきた。
ただ、違うのは、今日は奥さんと息子君が一緒に出てきた。
「ヒロくん。ヨシさん。お帰りなさい。疲れたでしょ~。」
「ヒロ兄ちゃん、ヨシおっちゃん、お帰りなさい。釣れた~?」
「奈緒(なお)ちゃん、海人(かいと)ただいま~。」
「奈緒さん、カイくん、ただいまです。」
僕は奈緒さんはそのままで、海人君はカイくんと呼んでいた。海人君は自分の事をカイくんと昔言っていたので、それを使わせてもらっている。
奈緒さんはとても美人だ。黒髪のロングにくっきりした二重瞼。唇も艶っぽくていい。スレンダーなのに出るところは出ていて……島田社長が羨ましいと思えるくらい、性格的にも素晴らしい人だ。
カイくんは島田社長と奈緒さんの良いとこ取りみたいな容姿。心配するべきは、将来、島田社長みたいにツルツルにならないかくらいだろう。人懐っこく、ちゃんと挨拶も出来る良い子。そして、ゲームが好きだった。
二人はクーラーボックスを見て驚いたようだった。
「わ~。大きい魚入っとるやん。見て見て、海人。凄くおっきかよ~。これ、誰が釣ったと?」
奈緒さんとカイくんは大はしゃぎする。
「海人。ヒロ兄ちゃんが釣ったとばい。すごかろ~?」
島田社長はカイくんの頭を撫でながら言う。
ヒロ兄ちゃん、すげぇ!ヒロ兄ちゃん、すげぇ!!と僕の方へやってきて、足元にまとわりつく。
「ヒロくん、やったね!」
奈緒さんも親指をグッと立てて祝福してくれる。ここらへんの仕草は、島田社長とよく似ていると思った。
「とりあえず、数えようかね。」
島田社長は新聞紙の上にドバドバとキスをひっくり返す。
…1、2、3……。
小さいのふくめて、62匹。釣れてないと思っていたのは、僕だけだったらしい。いや、実際に僕は20cmくらいのは二匹しか釣ってないし、小さいのも数えるくらいだろう。正確に言うと、釣れてないのは僕だけだった。……悲しい。
何時もどおり三等分に分けようとした所で僕は言った。
「あの~。今日と明日、両親が旅行に行って居ないので、魚は打ち上げで食べませんか?」
「あら?おらっさんとね?マゴチはどぎゃんすると?打ち上げで食べてよかとね?」
はい。と頷く。
ヨシさんも「あっ、俺も今日は少しでいいよ。」と10匹だけ持って帰ると言う。
「んじゃ、打ち上げで食べようかね。今日は家の方でするけん、七時位に来てはいよ。」
迷惑じゃないんですか?と奈緒さんに聞いたら、奈緒さんは美味しい魚が食べれると喜んでいた。カイくんも、ヒロ兄ちゃんとゲームが出来ると喜んでいたので、有り難くお邪魔する事にした。
帰ってシャワーを浴びたら、時間的にも直ぐに出発する時間だった。
今日は、奈緒さんにカイくんも居るので、ケーキ屋さんに寄って、ケーキを買う事にした。
あれもこれも美味しそうに見える。和菓子もそうだが、ケーキって不思議な魔力が有るような気がする。
ケーキを選んでいると、ふっと思いだした。
前に話した時、奈緒さんはケーキなら食後でも最低、三個は食べれる!と言っていた。そう言えば、島田社長も甘いものは大好き、カイくんも大好き。ヨシさんはどうやらあんまり好きではないようだった。
迷惑かもしれないけど、島田社長には何時もご飯なんかご馳走になっている。
よし!いっぱい買おう。
あれも!これも!と買っているうちに、美味しそうな物、全部買いをしていた。
箱が大変な事になっている……。少し多めに保冷剤を入れて貰って、何時ものスーパーにより、サササッとビールなどを買い。会社へ急いだ。
少し七時を回ったくらいに島田社長宅へ着いた。車を止めて、一回では持てないので二回に分けて行くことにする。
チャイムを押して、「こんばんは」と挨拶をしたら、カイくんが走ってお出迎えしてくれた。
「ヒロ兄ちゃん、いらっしゃい!早くゲームやろ~!!」
僕の手を引っ張り、急かす。
その後に、奈緒さんがパタパタと小走りでやってきて、「ヒロくん、いらっしゃい。」と迎えてくれる。島田社長は料理中らしい。
後一回、車に戻ってケーキを取って来ないといけないので。と言い、奈緒さんとカイくんに飲み物などを渡して、車へ戻った。
そして、ケーキを持って戻る。
箱が箱なので中身は想像出来ただろう。奈緒さんはそれでも箱を受け取った時、目をキラキラさせていた。
「ヒロくん。これ何?これ何??」
もちろん、中には色とりどり、美味しそうなケーキが大量に入っている。
それを開けた瞬間の奈緒さんの顔は素晴らしかった。宝石を見るような目と言っていいのかもしれない。キラキラ輝いている。
いや~ん。すご~い。かわい~。パパ~みて~。海人みて~。ヒロくん。ありがとう~。など一通りテンションを上げたあと、少しドスの利いた声で「今日は、リミッター解除だわ!」と呟いていた。
ヨシさんは既に来ており、「ヒロ、いらっしゃい。」と声を振り向いて掛けてくれたが、カイくんとゲームだったので直ぐに視線をテレビに戻した。
「瀬高。すまんね。気ばつかわせて。もう少し待っといてな。キスもマゴチも、もうそろそろ捌き終わるけん。」
僕は見てていいですか?といい島田社長の捌くのを見に行った。
「キスは天ぷらとフライにするけん、背開きにするんよ。」
「背開きですか?」
「そぎゃん。背開きにすると背びれも取れるけん、食べれる時に食感を邪魔せんとよ。」
既に頭やウロコを取られたキスはほとんど背開きにされ、奈緒さんの手により天ぷらとフライになっていった。
残りもあっという間に捌き終わり、マゴチの番になる。
「背びれとか危なかけん、ハサミで切ります。」
島田社長は軍手をし、ハサミで背びれなど切り、ウロコ取りでウロコを取った。
「お尻から包丁ば入れます。」
その後、肛門から包丁を逆さにして入れ腹を割く。次に胸びれからザクザクとひっくり返して、切れ目と同じようにザクザク。頭が取れた。
はらわたを出して綺麗に血が残らないように洗う。
そして、水気を取り、なんて言うんだろう横に立てる感じでマゴチを起こし頭の方から慎重かつ一気に切る。半身の完成だ。
今度は切った方が下になるため、ズパパンと一気に切る。三枚おろしの完成だ。
骨と頭はぶつ切りにし、アラ汁を作るらしい。
「マゴチは腹の骨がやっかいやけんね。大胆に切るばい。」
そう言いながら、島田社長はシーバスを捌いた時のように真ん中から切った。そうして、下身になった腹骨の所を大胆に切り分けた。
「これは唐揚げにするばい。残りは薄造りにするけん。」
皮を剥ぎ、薄く切る。とても綺麗だった。
やはり、ただのハゲたおっさんでは無かったか、島田社長!
島田社長の包丁さばきを見ていると飽きない。そう思っていたら、ヨシさんから助けを求める声がした。
「……ヒロ~。俺と代わってくれ~。海人にボロボロにやられる~。」
ヨシさんは、カイくんにゲームでボロボロにやられたらしい。
「ヨシおっちゃん、よわ~い。ヒロ兄ちゃん、やろ~よ~。」
僕はヨシさんと代わり、カイくんとゲームを始める。
五歳児にしてはやりおるわ!?だが兄ちゃんは負けんぞ!
なかなかの死闘を繰り広げ、ちょうど疲れた頃に、「ご飯よ~。」と奈緒さんの声でゲームは一旦休憩となった。
宴の始まりだ。
でも、美味しかった。僕は、がっついて食べていたと思う。それぐらい、うまかった。
ここのお会計も、島田社長が出してくれた。
ありがとうございます。と言い車に乗る。
もう、そこからは何時ものパターンだった。あっという間に車内はいびきに包まれる。無理もない、昨日の夜は殆ど寝ていないだろうから。
体力は若いのかな?と思わせるくらい眠くならなかった。実際に若くはあるけど……。
車で流れるラジオは平日とは違い、東京の番組が流れる事が多い、何時も新鮮な気分になる。ラジオを聴きながら、会社に着いた頃には、夕方の五時を回っていた。
着きましたよ。と毎度おなじみのセリフで起こす。
「よし!今日も打ち上げばするばい!」
背伸びをしながら、島田社長は言い、これも何時ものように家に帰り、新聞紙とビニール袋を持ってきた。
ただ、違うのは、今日は奥さんと息子君が一緒に出てきた。
「ヒロくん。ヨシさん。お帰りなさい。疲れたでしょ~。」
「ヒロ兄ちゃん、ヨシおっちゃん、お帰りなさい。釣れた~?」
「奈緒(なお)ちゃん、海人(かいと)ただいま~。」
「奈緒さん、カイくん、ただいまです。」
僕は奈緒さんはそのままで、海人君はカイくんと呼んでいた。海人君は自分の事をカイくんと昔言っていたので、それを使わせてもらっている。
奈緒さんはとても美人だ。黒髪のロングにくっきりした二重瞼。唇も艶っぽくていい。スレンダーなのに出るところは出ていて……島田社長が羨ましいと思えるくらい、性格的にも素晴らしい人だ。
カイくんは島田社長と奈緒さんの良いとこ取りみたいな容姿。心配するべきは、将来、島田社長みたいにツルツルにならないかくらいだろう。人懐っこく、ちゃんと挨拶も出来る良い子。そして、ゲームが好きだった。
二人はクーラーボックスを見て驚いたようだった。
「わ~。大きい魚入っとるやん。見て見て、海人。凄くおっきかよ~。これ、誰が釣ったと?」
奈緒さんとカイくんは大はしゃぎする。
「海人。ヒロ兄ちゃんが釣ったとばい。すごかろ~?」
島田社長はカイくんの頭を撫でながら言う。
ヒロ兄ちゃん、すげぇ!ヒロ兄ちゃん、すげぇ!!と僕の方へやってきて、足元にまとわりつく。
「ヒロくん、やったね!」
奈緒さんも親指をグッと立てて祝福してくれる。ここらへんの仕草は、島田社長とよく似ていると思った。
「とりあえず、数えようかね。」
島田社長は新聞紙の上にドバドバとキスをひっくり返す。
…1、2、3……。
小さいのふくめて、62匹。釣れてないと思っていたのは、僕だけだったらしい。いや、実際に僕は20cmくらいのは二匹しか釣ってないし、小さいのも数えるくらいだろう。正確に言うと、釣れてないのは僕だけだった。……悲しい。
何時もどおり三等分に分けようとした所で僕は言った。
「あの~。今日と明日、両親が旅行に行って居ないので、魚は打ち上げで食べませんか?」
「あら?おらっさんとね?マゴチはどぎゃんすると?打ち上げで食べてよかとね?」
はい。と頷く。
ヨシさんも「あっ、俺も今日は少しでいいよ。」と10匹だけ持って帰ると言う。
「んじゃ、打ち上げで食べようかね。今日は家の方でするけん、七時位に来てはいよ。」
迷惑じゃないんですか?と奈緒さんに聞いたら、奈緒さんは美味しい魚が食べれると喜んでいた。カイくんも、ヒロ兄ちゃんとゲームが出来ると喜んでいたので、有り難くお邪魔する事にした。
帰ってシャワーを浴びたら、時間的にも直ぐに出発する時間だった。
今日は、奈緒さんにカイくんも居るので、ケーキ屋さんに寄って、ケーキを買う事にした。
あれもこれも美味しそうに見える。和菓子もそうだが、ケーキって不思議な魔力が有るような気がする。
ケーキを選んでいると、ふっと思いだした。
前に話した時、奈緒さんはケーキなら食後でも最低、三個は食べれる!と言っていた。そう言えば、島田社長も甘いものは大好き、カイくんも大好き。ヨシさんはどうやらあんまり好きではないようだった。
迷惑かもしれないけど、島田社長には何時もご飯なんかご馳走になっている。
よし!いっぱい買おう。
あれも!これも!と買っているうちに、美味しそうな物、全部買いをしていた。
箱が大変な事になっている……。少し多めに保冷剤を入れて貰って、何時ものスーパーにより、サササッとビールなどを買い。会社へ急いだ。
少し七時を回ったくらいに島田社長宅へ着いた。車を止めて、一回では持てないので二回に分けて行くことにする。
チャイムを押して、「こんばんは」と挨拶をしたら、カイくんが走ってお出迎えしてくれた。
「ヒロ兄ちゃん、いらっしゃい!早くゲームやろ~!!」
僕の手を引っ張り、急かす。
その後に、奈緒さんがパタパタと小走りでやってきて、「ヒロくん、いらっしゃい。」と迎えてくれる。島田社長は料理中らしい。
後一回、車に戻ってケーキを取って来ないといけないので。と言い、奈緒さんとカイくんに飲み物などを渡して、車へ戻った。
そして、ケーキを持って戻る。
箱が箱なので中身は想像出来ただろう。奈緒さんはそれでも箱を受け取った時、目をキラキラさせていた。
「ヒロくん。これ何?これ何??」
もちろん、中には色とりどり、美味しそうなケーキが大量に入っている。
それを開けた瞬間の奈緒さんの顔は素晴らしかった。宝石を見るような目と言っていいのかもしれない。キラキラ輝いている。
いや~ん。すご~い。かわい~。パパ~みて~。海人みて~。ヒロくん。ありがとう~。など一通りテンションを上げたあと、少しドスの利いた声で「今日は、リミッター解除だわ!」と呟いていた。
ヨシさんは既に来ており、「ヒロ、いらっしゃい。」と声を振り向いて掛けてくれたが、カイくんとゲームだったので直ぐに視線をテレビに戻した。
「瀬高。すまんね。気ばつかわせて。もう少し待っといてな。キスもマゴチも、もうそろそろ捌き終わるけん。」
僕は見てていいですか?といい島田社長の捌くのを見に行った。
「キスは天ぷらとフライにするけん、背開きにするんよ。」
「背開きですか?」
「そぎゃん。背開きにすると背びれも取れるけん、食べれる時に食感を邪魔せんとよ。」
既に頭やウロコを取られたキスはほとんど背開きにされ、奈緒さんの手により天ぷらとフライになっていった。
残りもあっという間に捌き終わり、マゴチの番になる。
「背びれとか危なかけん、ハサミで切ります。」
島田社長は軍手をし、ハサミで背びれなど切り、ウロコ取りでウロコを取った。
「お尻から包丁ば入れます。」
その後、肛門から包丁を逆さにして入れ腹を割く。次に胸びれからザクザクとひっくり返して、切れ目と同じようにザクザク。頭が取れた。
はらわたを出して綺麗に血が残らないように洗う。
そして、水気を取り、なんて言うんだろう横に立てる感じでマゴチを起こし頭の方から慎重かつ一気に切る。半身の完成だ。
今度は切った方が下になるため、ズパパンと一気に切る。三枚おろしの完成だ。
骨と頭はぶつ切りにし、アラ汁を作るらしい。
「マゴチは腹の骨がやっかいやけんね。大胆に切るばい。」
そう言いながら、島田社長はシーバスを捌いた時のように真ん中から切った。そうして、下身になった腹骨の所を大胆に切り分けた。
「これは唐揚げにするばい。残りは薄造りにするけん。」
皮を剥ぎ、薄く切る。とても綺麗だった。
やはり、ただのハゲたおっさんでは無かったか、島田社長!
島田社長の包丁さばきを見ていると飽きない。そう思っていたら、ヨシさんから助けを求める声がした。
「……ヒロ~。俺と代わってくれ~。海人にボロボロにやられる~。」
ヨシさんは、カイくんにゲームでボロボロにやられたらしい。
「ヨシおっちゃん、よわ~い。ヒロ兄ちゃん、やろ~よ~。」
僕はヨシさんと代わり、カイくんとゲームを始める。
五歳児にしてはやりおるわ!?だが兄ちゃんは負けんぞ!
なかなかの死闘を繰り広げ、ちょうど疲れた頃に、「ご飯よ~。」と奈緒さんの声でゲームは一旦休憩となった。
宴の始まりだ。
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