釣りはじめました

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キス釣り編

キス釣り編13

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 ちょっと変な形をした金属の棒だった。
 ヨシさんは、見ててな。と言いながら、棒の先っぽにハリのついたラインを通し、キスの口の中へ入れた。そして、横にある突起物にそのラインを一巻きして、キスの口の奥へ何回か差し込む。
 すると、ハリが見事に外れた。
 「これは、針外しって言ってな、魚が飲み込んでしまったハリを外す道具なんだ。」
 そんな道具まであるんだ。簡単な構造にも見えるけど、凄く便利な道具だと思った。
 しかし、キスはビクともしなくなった。
 ヨシさんは、一応、丸々揚げて食べれるからお持ち帰りだね。とクーラーボックスへ入れる。
 極力逃がせるのは逃がすのだろうけど、ああやって死んでしまったりしたやつは、仕方ないから持ち帰って食べるだるんだ。と勝手に思った。
 ありがとうございます。と言って、釣り場に戻る。
 そこからは、小さいキスばかりが釣れるようになった。
 たまに、飲み込んでしまったやつも釣れるので、針外しを借りて、躊躇しながらハリを外し、クーラーボックスへ、ゴー。
 小さいキスの数は増えるけど、キス御膳の主役をつとめるサイズのキスは釣れない。
 僕と違って、ヨシさん達は小さいのをたまに釣るけど、主役サイズが多いように見えた。
 何でなんだろう?今日はそう思う事が頻繁だ。
 また、ヨシさんにアドバイスを貰いに行くことにする。
 「ん?小さいサイズを釣れなくする方法?そりゃまた、難しい事を。」
 ヨシさんは笑いながら答える。
 「無理なんですかね?」
 「減らす事は可能かな?絶対ではないけど。」
 「本当ですか?どうやればいいんですか?」
 そんな方法があるなんて思ってもみなかった。聞いてみるもんだ。
 「山下釣具で、大きいハリも買っただろう?あれに変えればいいよ。小さいのはハリ掛かりしにくくなるから。」
 え?そんな簡単な事??ハリのサイズを変えるだけ??
 「キスは餌を吸い込んで食べるから、小さいキスはハリが大きいと吸い込めないんだ。絶対釣れない訳ではないけど、結構有効な手段だよ。その代わり、アタリも減って楽しくは無くなるな。小さいハリの方が、俺はいいと思ってるけど。」
 あれ?これって結局は難しくなってないだろうか?ハリが小さくても、大きなキスは掛かる訳だし、針を大きくすれば、小さいのは掛かりにくくなるけど、アタリも減るからチャンスも減るわけで……、現にこの仕掛けでも20cmくらいのは釣れている訳だし……。分からなくなっちゃったよ。
 今日買った仕掛けを眺めてみる。
 ハリのサイズを一つ上げて、ラインの太い物にしてみよう。
 また、釣りを開始する。
 しかし、結果は同じで小さいキスは釣れるばかり。
 気が付けばもう、太陽は真上近くだった。
 「もうそろそろ、帰ろかね?」
 島田社長の声に、ヨシさんは反応する。
 僕は『ラスト一投』お願いして、投げる事にした。
 直ぐ反応があった。
 あっ、小さいのが掛かったな。そんなもんだよな~。と回収しようとした瞬間、ガツン!と今までにない、今日一番のアタリがきた。 
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