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おいかけて、マグロ丼

おいかけて、マグロ丼編5

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 「危ない!!」
 僕はとっさに、倒れてくる大森さんを抱き止め。ミィちゃんは姉さんにダイブした。
 「大丈夫ですか?大森さん??」
 「はひぃー!?」
 大森さんはバッと僕から跳び退き、「すみません。すみません。」と何度も頭を下げて謝る。
 変な所でも触ってしまったのだろうか?もしかして、やってしまった!?僕も何度も謝った。
 「ミィちゃん。よかったね~。無事で~。怪我もなさそうだし。お腹減ってないかな?」
 謝り合戦をしている、僕と大森さんを尻目に、姉さんはマイペースにミィちゃんにおやつをあげていた。
 そして、ミィちゃんが助かったのを見て安心したのか…。白猫は、にゃー。と、一言発して何処かへ行ってしまった。
 あの白猫は、やはり、僕達にミィちゃんの居場所を教えてくれたのだろう。そんな事を思いながら、僕達は森を出た。

 「随分、汚れちゃいましたね。早苗ちゃん。」
 ミィちゃんを抱いた姉さんは大森さんの姿を見て素直な感想を述べる。
 流石に猫を追いかけて走ったり、木登りをしたりした事もあり、大森さんは結構、汚れていた。
 「はい。かなり汚れちゃいました。」
 大森さんは、自分の姿を見て溜め息をつく。
 「そうだ!早苗ちゃん。良かったらだけど、私達のお家でお風呂に入ったらどう?鉄男さん達はまだ仕事から帰ってくるまで時間もあるし、ミィちゃんも預かっておかないといけないから。」
 確かに、鉄男さん達が帰宅するまで、結構な時間がある。
 一緒に探してくれたお礼もしたい。
 「良い考えだね。大森さんが宜しければですけど……あっ!?」
 僕は思った。大森さん、着替えなんか持って来てないよね?こんなに汚れるとは思ってもいないだろうし?姉さんのを着ればいいかもしれないけど、下着もとなると……。
 「……着替えなんて、持ってきていませんよね?」
 僕の質問に大森さんはうつむき、赤くなって答える。
 「……持ってきています。何時も、お仕事の時、よく水に落ちたりしちゃったり、水溜まりに転んじゃう事もあったり……。今日の木登りの最後みたいに、最後にやらかしちゃう事がよくあるんです。何時もの癖で、何かあったらいけないと思って……」
 恥ずかしそうに下を向く。確かにテレビで観る時、よく衣装が変わっていたりする。それはそのためか!
 「……どうかな?早苗ちゃん。私達のお家に来ない?」
 姉さんの懇願するような目。犬に例えるなら、チワワだろう。あの、うるうるとして、何とかしてあげたくなるような目。
 大森さんはその目に負けたのか、了承してくれた。
 
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