釣り人居酒屋『魚んちゅ~』

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やっぱり夏は夜釣りがいいよね?

やっぱり夏は夜釣りがいいよね?5

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 石?!岩?!
 自分の拳よりも少し大きい石だった。貝などが付着した……。
 「あははは。いいの釣ったじゃないか。アヤカ。」
 フーコさんは楽しそうに笑う。
 ……え?ちっとも良くないんですけど??
 私は無言でそれを外した。
 次は次こそは、タコを釣ってやる!!そう息巻いて釣りを再開するが、この堤防では釣れなかった。
 「それじゃ、次に行こうか。」
 フーコさんの合図で移動をする。時間的には、車で10分くらいだっただろうか?近かった。そして、そこは外灯もあって、なかなか明るかった。それに、釣り人が沢山いた。
 「フーコさん。あの方達は何を釣っているんですか?」
 ユウちゃんはフーコさんにたずねる。
 「あれは、アジゴだね。アジの子供。今の時期は沢山釣れるからね。ファミリーなんか多いんだ。」
 へぇ~。あれか、たまにスーパーでパック売りしてあるやつね。あれって、堤防からでも釣れるんだ。……なら、もしかして、親であるアジも堤防から釣れたりする?
 「親のアジも堤防で釣れるんですか?」
 「ん?そうだね。今の時期は少し厳しいけど、寒くなると釣れるね。」
 フーコさんは私の質問にそう答えた。
 なんと?!アジが!あの美味しいアジが堤防から釣れるのか?!魚んちゅ~に来るお客さんは、船に乗って釣っているのだとばかり思ったけど……。アジが堤防で釣れるなら、釣って新鮮なやつを食べてみたいかも!!
 新鮮なら、どんなに美味しいだろう?刺身はもちろん……タタキになめろう……。ああ……シンプルに塩焼きも良いな。アジフライなんてどうだろう?
 「何ぼ~っとしてるの?アヤカちゃん??フーコさん先に行っちゃてるよ?」
 私がアジの事を考えていると、フーコさんは先に行き始めていた。
 おっと、いけない。私は小走りでフーコさん達の所へ行った。
 
 少し外灯から外れた場所。丁度、堤防が岸と直角になっている角の所と言うべきだろうか?まあ、堤防の隅っこ……かな?そこで、フーコさんは足を止めた。
 「案外、この隅っこで釣れたりするんだよね。どっちか落としてみて。」
 フーコさんはそう言う。どっちかって……。
 私達は顔を見合わせる。そして、当たり前のように譲り合う。そのやり取りが少し続いて痺れを切らしたフーコさんは言った。
 「埒があかないよ。じゃんけんして決めなよ。」
 その提案に従い、じゃんけんをする。そして、私は見事に負けた。
 ユウちゃんは仕掛けをいつの間にかフーコさんと同じに変えている。こういう切り替え、ユウちゃんは早かった。
 ユウちゃんは仕掛けを落とす。そうして、ものの数分だろうか?ユウちゃんは大きくアワセを入れた。
 ええ!!
 「きました!きました!!」
 ユウちゃんはそう言いながら、ハンドルを一生懸命に巻く。
 ユウちゃん、きたの!?
 水面に姿を現したのは、明らかに!タコ~!!フーコさんのよりは少し小さいけど!タコ~~!!
 ユウちゃんは強引に上げる。
 ユウちゃん、いいな~。いいな~。タコ釣れていいな~。
 私が羨ましそうな瞳で見つめていると、アジゴを釣っていたのであろう。兄妹と思われる、小さい子供が二人やってきて、ユウちゃんとタコを凄い凄いと誉めていた。……羨ましかった。ユウちゃん、ヒーローじゃん。
 私は負けじと堤防探索に出掛けるのであった。

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