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初めての別れ ナナ編
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はぐらかす事もない。まさに直球だった。
ワタシがマロンさんに対して、怒っていること、まさにその事である。出会ったその日から、馴れ馴れしく、媚びの大安売り。わざとワタシに見せびらかすように、ご主人さまと仲が良いのだとアピールしているようだった。
「な、何よ!今更!!」
そう。まさに、今更なのだ。
マロンさんとケンカする事で、ご主人さまに怒られるのは、ワタシ。マロンさんはかばわれ、被害者。ワタシは加害者。ワタシに言わせれば、こちらが被害者だ。もちろん、怒りに任せて噛んだりした事は、ワタシが悪い事だとは分かっているけれど、雌ならば嫉妬しない訳がない。
「それでも、ごめんなさい。許してもらえるとは、思っていないわ。でも、どうしても……最後にアナタに謝りたかったの。成仏する前に。」
な、何が、ごめんなさい。だ!!だいたい、何で死んでから謝る?死んでから謝るくらいなら、最初からワタシのご主人さまに手なんて出すんじゃないわよ!!
「死んで、謝りに来るくらいなら、最初からご主人さまにちょっかいなんて出すんじゃないわよ!ワタシがどれだけ辛かったか分かる?!」
約2年。ワタシがどれだけ辛かったか……。当たり前だった毎日。ご主人さまの居る毎日。幸せだった。怒られる事もあったけど、毎日、毎日、ご主人さまはワタシを気にかけてくれて、優しく撫でてくれた。そんな幸せだった毎日を奪ったんだ。この糞雌犬は!!
「……分かっているわ。だから、許してもらおうなんて思ってもない。でも、私にも譲れないものがあったの。」
「はぁ?何よ譲れないものって?ワタシの幸せを壊してまで、手に入れたいものだったの?!」
そんなの、許せない。
「そうよ。手に入れたかった。それに、アナタの幸せは壊れていないもの。私はアナタより先に逝くって分かってたし、アナタのご主人さまならずっとアナタの事を気にかけてくれる人だって分かってたから、少しの時間だけ借りたの。言い方は悪いけど借りたのよ。」
借りた?奪ったの間違いでしょ?
「……借りたってどういう事よ?奪ったでしょ?!」
そう。ご主人さまは、ワタシの毎日から姿を消した。奪われたんだ。
「奪ったと言われれば否定は出来ないけれど
、返ってくるわよ。アナタのご主人さま。私も居なくなったし、まだ少し時間は掛かるだろうけど、アナタのご主人さまはアナタの元へ戻っててくるわ。これは断言出来る。」
え?ご主人さまが……戻ってくる?なんでそんな事が分かるの?
「そ、そんなの、何でアンタが分かるのよ?!ずっと、そのまま奈々ご主人さまと暮らすかも知れし、新しい仲間を二人で飼うかもしれないじゃない?ワタシの事なんて、ほっといて。」
「ハア………。アナタ、自分のご主人さまの事、よく見てる?アナタ、自分の事ばかりじゃない?」
マロンさんは、呆れたようにため息を一つついて言う。
え?ワタシが自分の事ばかり……??
ワタシがマロンさんに対して、怒っていること、まさにその事である。出会ったその日から、馴れ馴れしく、媚びの大安売り。わざとワタシに見せびらかすように、ご主人さまと仲が良いのだとアピールしているようだった。
「な、何よ!今更!!」
そう。まさに、今更なのだ。
マロンさんとケンカする事で、ご主人さまに怒られるのは、ワタシ。マロンさんはかばわれ、被害者。ワタシは加害者。ワタシに言わせれば、こちらが被害者だ。もちろん、怒りに任せて噛んだりした事は、ワタシが悪い事だとは分かっているけれど、雌ならば嫉妬しない訳がない。
「それでも、ごめんなさい。許してもらえるとは、思っていないわ。でも、どうしても……最後にアナタに謝りたかったの。成仏する前に。」
な、何が、ごめんなさい。だ!!だいたい、何で死んでから謝る?死んでから謝るくらいなら、最初からワタシのご主人さまに手なんて出すんじゃないわよ!!
「死んで、謝りに来るくらいなら、最初からご主人さまにちょっかいなんて出すんじゃないわよ!ワタシがどれだけ辛かったか分かる?!」
約2年。ワタシがどれだけ辛かったか……。当たり前だった毎日。ご主人さまの居る毎日。幸せだった。怒られる事もあったけど、毎日、毎日、ご主人さまはワタシを気にかけてくれて、優しく撫でてくれた。そんな幸せだった毎日を奪ったんだ。この糞雌犬は!!
「……分かっているわ。だから、許してもらおうなんて思ってもない。でも、私にも譲れないものがあったの。」
「はぁ?何よ譲れないものって?ワタシの幸せを壊してまで、手に入れたいものだったの?!」
そんなの、許せない。
「そうよ。手に入れたかった。それに、アナタの幸せは壊れていないもの。私はアナタより先に逝くって分かってたし、アナタのご主人さまならずっとアナタの事を気にかけてくれる人だって分かってたから、少しの時間だけ借りたの。言い方は悪いけど借りたのよ。」
借りた?奪ったの間違いでしょ?
「……借りたってどういう事よ?奪ったでしょ?!」
そう。ご主人さまは、ワタシの毎日から姿を消した。奪われたんだ。
「奪ったと言われれば否定は出来ないけれど
、返ってくるわよ。アナタのご主人さま。私も居なくなったし、まだ少し時間は掛かるだろうけど、アナタのご主人さまはアナタの元へ戻っててくるわ。これは断言出来る。」
え?ご主人さまが……戻ってくる?なんでそんな事が分かるの?
「そ、そんなの、何でアンタが分かるのよ?!ずっと、そのまま奈々ご主人さまと暮らすかも知れし、新しい仲間を二人で飼うかもしれないじゃない?ワタシの事なんて、ほっといて。」
「ハア………。アナタ、自分のご主人さまの事、よく見てる?アナタ、自分の事ばかりじゃない?」
マロンさんは、呆れたようにため息を一つついて言う。
え?ワタシが自分の事ばかり……??
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