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新たな仲間
新たな仲間 1
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「え?ヤマトさん、馬、食べるんですか?」
クエンカ夫妻の妻、サレンサさんは少し驚い表情を浮かべ、夫であるクエンカさんとお互いに見合い、俺にたずねる。
「え?食べますよ?馬??食べないんですか?」
俺は逆に聞き返していた。
一瞬だけ訪れる静寂。
スズムシやコオロギ、秋虫のオーケストラがその時だけ主役をつとめた。
季節はほんの少し進み、天高く馬肥ゆる秋。
木々は赤や黄色に色づき、風は次に訪れる季節の匂いを運び初めていた。
新店舗はかなりの大盛況をおさめ、連日、多くのお客さんで賑わっている。
そのおかげで、大した冒険に行くことは出来ず、同じダンジョンで同じモンスターを狩る日々。俺自身、新しいモンスターには遭遇していない。店と行きなれたダンジョンを行き交うだけの日々だ。
まあ、ダンジョンだと食材の他に魔石、ドロップアイテムが落ちるから、家計の足しになるのはありがたいけど……。
そして、今日はプレオープン前日にララが提案した、クエンカ夫妻に任せてある前の店舗、テイクアウト専門店の新メニュー開発会議を閉店後、俺宅でおこなっていた。
本来ならクローズ作業に時間が掛かるのだが、ウチにはラファエルさんが居る。『パーフェクトルームウォッシュ』一発で店は綺麗になる。
普段なら、売り上げ伝票を持ち帰り、皆で分担し、計算して終わるのが、日々の日課。それも今日は翌日に回す事にしたのだ。
で、サレンサさんの発言。
ララから相談を受けた日から、予め使えそうな食材をピックアップしていた。
安価で手には入りやすい食材。もしくは、この世界ではあまり馴染みのない食材。
その中から、俺は馬肉を選んだのだ。
ちなみに、馬肉を食べた事のあるララ以外からはサレンサさんと同じ反応だったので、皆、サレンサさんと同じ返しをした。多分、これは俺が馬肉を好きだからなのだろう。
ララから予め聞いていたが、この世界では馬肉は食べないらしい。
馬は農業を助けたり、馬車などを引いてくれる、可愛い家畜なのだとか。数種類の馬型モンスターも同じ扱いらしい。
しかし、ダンジョンのドロップアイテムや剥ぎ取りで手には入る。食材として認められている。と言う事だ。
肉屋にも流通していないし、サレンサさん達の反応が、こちら側の住人には普通の反応なのだろう。元居た世界でも、可愛いから、好きだから。などと言う理由で馬肉は食べない。って人も居たしな。食べない理由は同じだろう。
それも食べてしまえば意見は変わる。
エルフは食に鈍感だったせいか、美味いと思う物は案外簡単に受け入れられるのである。現にウチのイリア達がそうだった。
「はい。おまち!ウマリオンの刺身と焼き肉です。」
俺の質問に固まったままのクエンカ夫妻の前に、馬刺し、馬肉を焼いた物が並ぶ。
ちなみに、今回の馬肉は、馬型モンスター、ウマリオンと言う少し小柄だが足が速い一般的な馬型モンスターを使用している。
これらを用意してくれたのはエリで、朝からララと共にダンジョンへ赴いて貰った。そして、エリは最近、料理を頑張っている。
「エリ、ありがとう。さあ、醤油に、好みでショウガかニンニクを入れて、つけて食べてみて下さい。」
『悪魔の血=醤油』があってよかったよ。
「ほ、本当に食べるのですか?食べられるのですか??」
クエンカさんはフォークを持って戸惑っている。
魚を生で食べる事も今までは無かったし、生肉なんて初めて、無理もないだろう。
それに食べない馬肉。ハードルは高い事は計算済みだ。
俺は至って何時も通り、小皿に醤油とすり下ろしたショウガをとり、溶いて、馬刺しをつけて食べた。
「うん。馬はうまい。馬だけに!」
俺は渾身のオヤジギャグを放つ。
少しの間の後。
「あはははは。何言ってるんですか?ヤマトさん??」
クエンカさんは口を開けて笑い。サレンサさんは口元を手で抑えて笑っている。
よし!流石、鉄板ギャグ!!
元の世界だったら、白い目で見られていたであろう。しかし、この世界では大いにウケる。
「ププププッ。流石、ヤマトですね。今日もユーモアがキレッキレです。」
イリアもたまらず笑っているようだ。
少し強張っていたクエンカ夫妻の表情もゆるみ、馬刺しへとフォークが進む。そして、俺と同じようにショウガ醤油につけて、馬刺しを口へ運んだ。
「……美味しい。」
サレンサさんは目を大きく見開いてクエンカさんの方を見る。
「だね。美味しい。馬の肉だって言う事も驚きだったけど、生の肉って固いのかと思ってた。」
「だよね。凄く柔らかいし、臭くもない。もっと血の味がするのかと思った。」
どうやら、口にあったようだ。
「それなら、焼き肉の方も食べてみてください。一応、塩コショウはしてありますから、そのままで大丈夫だと思います。味が足りなければ、さっきのショウガ醤油をつけていいですし、ニンニク醤油でもあいますよ。」
一度、馬肉を口に入れたから、もう抵抗がないのか、焼いた馬肉にフォークがのびる。
「わ~。牛と違って、サッパリとしてる。余計な脂がないわ。」
「そうだね。これだったら、いくらでも食べられそうだ。」
クエンカ夫妻は馬肉をパクパクと次から次へと口へ運んでいく。
やはり、思った通りだ。エルフはダメだと思った食材でも、一度食べて美味しいと思ったら、抵抗がなくなる。
そうなれば、イカやタコなどエルフが食べなかった物を出しても受け入れられるだろう。
「お気に召して良かったです。それでは、新メニューの話をしましょうか?」
「「はい。」」
こうして、馬肉の美味さが伝わり、新メニューの話へと移った。
クエンカ夫妻の妻、サレンサさんは少し驚い表情を浮かべ、夫であるクエンカさんとお互いに見合い、俺にたずねる。
「え?食べますよ?馬??食べないんですか?」
俺は逆に聞き返していた。
一瞬だけ訪れる静寂。
スズムシやコオロギ、秋虫のオーケストラがその時だけ主役をつとめた。
季節はほんの少し進み、天高く馬肥ゆる秋。
木々は赤や黄色に色づき、風は次に訪れる季節の匂いを運び初めていた。
新店舗はかなりの大盛況をおさめ、連日、多くのお客さんで賑わっている。
そのおかげで、大した冒険に行くことは出来ず、同じダンジョンで同じモンスターを狩る日々。俺自身、新しいモンスターには遭遇していない。店と行きなれたダンジョンを行き交うだけの日々だ。
まあ、ダンジョンだと食材の他に魔石、ドロップアイテムが落ちるから、家計の足しになるのはありがたいけど……。
そして、今日はプレオープン前日にララが提案した、クエンカ夫妻に任せてある前の店舗、テイクアウト専門店の新メニュー開発会議を閉店後、俺宅でおこなっていた。
本来ならクローズ作業に時間が掛かるのだが、ウチにはラファエルさんが居る。『パーフェクトルームウォッシュ』一発で店は綺麗になる。
普段なら、売り上げ伝票を持ち帰り、皆で分担し、計算して終わるのが、日々の日課。それも今日は翌日に回す事にしたのだ。
で、サレンサさんの発言。
ララから相談を受けた日から、予め使えそうな食材をピックアップしていた。
安価で手には入りやすい食材。もしくは、この世界ではあまり馴染みのない食材。
その中から、俺は馬肉を選んだのだ。
ちなみに、馬肉を食べた事のあるララ以外からはサレンサさんと同じ反応だったので、皆、サレンサさんと同じ返しをした。多分、これは俺が馬肉を好きだからなのだろう。
ララから予め聞いていたが、この世界では馬肉は食べないらしい。
馬は農業を助けたり、馬車などを引いてくれる、可愛い家畜なのだとか。数種類の馬型モンスターも同じ扱いらしい。
しかし、ダンジョンのドロップアイテムや剥ぎ取りで手には入る。食材として認められている。と言う事だ。
肉屋にも流通していないし、サレンサさん達の反応が、こちら側の住人には普通の反応なのだろう。元居た世界でも、可愛いから、好きだから。などと言う理由で馬肉は食べない。って人も居たしな。食べない理由は同じだろう。
それも食べてしまえば意見は変わる。
エルフは食に鈍感だったせいか、美味いと思う物は案外簡単に受け入れられるのである。現にウチのイリア達がそうだった。
「はい。おまち!ウマリオンの刺身と焼き肉です。」
俺の質問に固まったままのクエンカ夫妻の前に、馬刺し、馬肉を焼いた物が並ぶ。
ちなみに、今回の馬肉は、馬型モンスター、ウマリオンと言う少し小柄だが足が速い一般的な馬型モンスターを使用している。
これらを用意してくれたのはエリで、朝からララと共にダンジョンへ赴いて貰った。そして、エリは最近、料理を頑張っている。
「エリ、ありがとう。さあ、醤油に、好みでショウガかニンニクを入れて、つけて食べてみて下さい。」
『悪魔の血=醤油』があってよかったよ。
「ほ、本当に食べるのですか?食べられるのですか??」
クエンカさんはフォークを持って戸惑っている。
魚を生で食べる事も今までは無かったし、生肉なんて初めて、無理もないだろう。
それに食べない馬肉。ハードルは高い事は計算済みだ。
俺は至って何時も通り、小皿に醤油とすり下ろしたショウガをとり、溶いて、馬刺しをつけて食べた。
「うん。馬はうまい。馬だけに!」
俺は渾身のオヤジギャグを放つ。
少しの間の後。
「あはははは。何言ってるんですか?ヤマトさん??」
クエンカさんは口を開けて笑い。サレンサさんは口元を手で抑えて笑っている。
よし!流石、鉄板ギャグ!!
元の世界だったら、白い目で見られていたであろう。しかし、この世界では大いにウケる。
「ププププッ。流石、ヤマトですね。今日もユーモアがキレッキレです。」
イリアもたまらず笑っているようだ。
少し強張っていたクエンカ夫妻の表情もゆるみ、馬刺しへとフォークが進む。そして、俺と同じようにショウガ醤油につけて、馬刺しを口へ運んだ。
「……美味しい。」
サレンサさんは目を大きく見開いてクエンカさんの方を見る。
「だね。美味しい。馬の肉だって言う事も驚きだったけど、生の肉って固いのかと思ってた。」
「だよね。凄く柔らかいし、臭くもない。もっと血の味がするのかと思った。」
どうやら、口にあったようだ。
「それなら、焼き肉の方も食べてみてください。一応、塩コショウはしてありますから、そのままで大丈夫だと思います。味が足りなければ、さっきのショウガ醤油をつけていいですし、ニンニク醤油でもあいますよ。」
一度、馬肉を口に入れたから、もう抵抗がないのか、焼いた馬肉にフォークがのびる。
「わ~。牛と違って、サッパリとしてる。余計な脂がないわ。」
「そうだね。これだったら、いくらでも食べられそうだ。」
クエンカ夫妻は馬肉をパクパクと次から次へと口へ運んでいく。
やはり、思った通りだ。エルフはダメだと思った食材でも、一度食べて美味しいと思ったら、抵抗がなくなる。
そうなれば、イカやタコなどエルフが食べなかった物を出しても受け入れられるだろう。
「お気に召して良かったです。それでは、新メニューの話をしましょうか?」
「「はい。」」
こうして、馬肉の美味さが伝わり、新メニューの話へと移った。
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