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新しい日々の始まり
新しい日々の始まり 10
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「それにしても、今日の主様、本当に、格好良かったよな。」
ん?何の事だ??トイレから帰った俺はエリ達の話に耳を傾ける。
「ですです。あのゴール右上角に豪快に決まった一撃も凄かったですが、決まった瞬間にゴールに背を向けて、右手人差し指を天に突き刺した姿は格好良かったですよね。」
「そうそう。天に自分の存在を知らしめるようで素敵だったよね。世界で俺がナンバーワンだ!みたいな?」
イリアとアリシアはエリの言葉にこたえながら頷いていた。
は?……え?!な、何で、ただのゴールパフォーマンスがそんな解釈に??全身で喜びを表現するまでもなく、昔見た、マンガのキャラがやったポーズを真似しただけなのに??
それに、俺が点決めた時は、凄く静かだったけど??
「だよね。俺もかっけーって思ったよ。男の俺でも、惚れちゃいそうだったもん。リーネにも見せてやりたかったよ。」
「だな。主様が点決めて、直ぐに交代して走って行っちまった後の歓声はヤバかったもんな。女だけじゃなくて、男の歓声がうるさくて、今も耳に残ってる気がするぜ。」
ローネとエリはイリアとアリシアに共感するように、こちらも頷き、満足そうな表情を浮かべている。
なっ!?俺が居なくなった後にそんな事が?!
俺、その場に居たら、恥ずかしさのあまり、死にそう……。
「それは、見たかったなぁ。でも、料理教室のヤマト兄さんも凄かったんだよ?ねえ?ターニャ姉さん。」
「ええ。そちらのヤマト様がどれだけ凄かったかは分かりませんが、こちらで活躍なされたヤマト様は、とても素敵でしたよ。」
リーネの問いにターニャさんは、これまた満足そうな表情を浮かべている。
「へぇ~。どんなんだったんだい?ターニャ、リーネ、聞かせろよ。主様の料理教室の様子をよ……。」
ああ……。何か恥ずかしくてこれ以上は聞けない。
俺は聞き耳を止め、ララ達と話す事にした。
「ララ、マーガレット、レイブンさん、今日もお疲れ様。」
「お疲れ様です。ヤマトさん。」
「ん……。マスター。お疲れ……様。」
「本日もお疲れ様でした。ヤマトさん。」
マーガレット、ララ、レイブンさんはビールジョッキを片手にこちらを振り向く。
俺のイメージだったのだが、美形のエルフはグラスで飲むと思ってたんだ。最初は。
でも、この世界のみんな、大体ジョッキで酒飲むんだよな。
取っ手があるから飲みやすいのか、ただ俺が、エルフは上品に酒を飲むものと思っていたのか……。まあ、イリアの日頃の行動を見ていると上品とは言えないか……。
「どうしたの?ヤマトさん??考え事??」
マーガレットは心配そうに顔を覗き込んでくる。
「いや。何でもないよ。それより、マーガレット。ウチで働いてくれてありがとな。もう一度、お礼を言っておこうと思って。」
「いやいや。お礼なんてやめてよ。逆にお礼を言わないといけないのは、私だし……。私を雇ってくれてありがとうございます。ヤマトさん。」
ジョッキをテーブルの上に置いて、マーガレットは深々と頭を下げた。
ちなみに今日は立食も出来るようなセッティングをしている。
「頭を上げてくれ、マーガレット。それより、挨拶の方どうだった?」
「ん~。これと言って何もないよ?」
頭を上げた、マーガレットは首を傾げた。
「どちらかと言うと、オーナー以外の職場の人は安心してたかな?前も言ったように私はオーナーとは仲が良かったですが、料理長とはうまがあわなかったので。私、ダメなんですよね。封建的な人って。」
確かに、そんな事言っていたな。そして、マーガレットは続ける。
「正直、職場の人より、近所に住んでいた人達との別れの挨拶の方が大変だったよ。同じ街に住んでいるとは言え、端と端。広い街なので毎日会えるわけではないですから……。職場も雇ってもらった恩があるから、不義理をしないために挨拶に行ったわけだし……狭い職場環境の中で実質ナンバーワンの人と揉めてる私が居なくなって清々する気持ちもわかりますしね。……料理は私が作った物の方がウケがいい。味も昔ながらの物しか作れない料理長のより良かったし、オーナーは私を気に入ってくれていたから、ほかの人は板挟みになってたんじゃないかな?料理長につくか、私につくか。私は正直、私は小さくても権力争いなんて興味もないし、美味しい料理を作ってお客さんに満足してもらえればそれで良かったんです。だから、ヤマトさんが人を募集してて、雇ってくれる。って言ってくれた時は本当に嬉しかったんです。ヤマトさんは人の意見もちゃんと考えてくれるし探究心もありありだから。一緒に働けたら楽しいだろうな?って。」
どうやら、酒の力も入って、マーガレットは饒舌になってるようだ。
「俺もマーガレットと仕事が一緒に出来て嬉しいよ。マーガレットみたいに、料理を探究するヤツってこの世界にはあんま居ないんだよな。お互いに頑張っていこうな。」
「うん!」
俺とマーガレットはがっちりと握手をした。
「皆が、酒を飲み過ぎる前にもう一度、明日の確認をしておいた方がいいかな?」
「……うん。その方がいい。もう、みんな分かっているとは思うけど、レイブンも……居るから。」
そうだな。レイブンさんは昨日、ウチに来たばかりだ。レイブンさんには急な事だけど打ち合わせは聞いてもらおう。
「それじゃあ、皆、少し集まってくれ。明日の最終確認をする。」
俺の声にイリア達は集まった。
ん?何の事だ??トイレから帰った俺はエリ達の話に耳を傾ける。
「ですです。あのゴール右上角に豪快に決まった一撃も凄かったですが、決まった瞬間にゴールに背を向けて、右手人差し指を天に突き刺した姿は格好良かったですよね。」
「そうそう。天に自分の存在を知らしめるようで素敵だったよね。世界で俺がナンバーワンだ!みたいな?」
イリアとアリシアはエリの言葉にこたえながら頷いていた。
は?……え?!な、何で、ただのゴールパフォーマンスがそんな解釈に??全身で喜びを表現するまでもなく、昔見た、マンガのキャラがやったポーズを真似しただけなのに??
それに、俺が点決めた時は、凄く静かだったけど??
「だよね。俺もかっけーって思ったよ。男の俺でも、惚れちゃいそうだったもん。リーネにも見せてやりたかったよ。」
「だな。主様が点決めて、直ぐに交代して走って行っちまった後の歓声はヤバかったもんな。女だけじゃなくて、男の歓声がうるさくて、今も耳に残ってる気がするぜ。」
ローネとエリはイリアとアリシアに共感するように、こちらも頷き、満足そうな表情を浮かべている。
なっ!?俺が居なくなった後にそんな事が?!
俺、その場に居たら、恥ずかしさのあまり、死にそう……。
「それは、見たかったなぁ。でも、料理教室のヤマト兄さんも凄かったんだよ?ねえ?ターニャ姉さん。」
「ええ。そちらのヤマト様がどれだけ凄かったかは分かりませんが、こちらで活躍なされたヤマト様は、とても素敵でしたよ。」
リーネの問いにターニャさんは、これまた満足そうな表情を浮かべている。
「へぇ~。どんなんだったんだい?ターニャ、リーネ、聞かせろよ。主様の料理教室の様子をよ……。」
ああ……。何か恥ずかしくてこれ以上は聞けない。
俺は聞き耳を止め、ララ達と話す事にした。
「ララ、マーガレット、レイブンさん、今日もお疲れ様。」
「お疲れ様です。ヤマトさん。」
「ん……。マスター。お疲れ……様。」
「本日もお疲れ様でした。ヤマトさん。」
マーガレット、ララ、レイブンさんはビールジョッキを片手にこちらを振り向く。
俺のイメージだったのだが、美形のエルフはグラスで飲むと思ってたんだ。最初は。
でも、この世界のみんな、大体ジョッキで酒飲むんだよな。
取っ手があるから飲みやすいのか、ただ俺が、エルフは上品に酒を飲むものと思っていたのか……。まあ、イリアの日頃の行動を見ていると上品とは言えないか……。
「どうしたの?ヤマトさん??考え事??」
マーガレットは心配そうに顔を覗き込んでくる。
「いや。何でもないよ。それより、マーガレット。ウチで働いてくれてありがとな。もう一度、お礼を言っておこうと思って。」
「いやいや。お礼なんてやめてよ。逆にお礼を言わないといけないのは、私だし……。私を雇ってくれてありがとうございます。ヤマトさん。」
ジョッキをテーブルの上に置いて、マーガレットは深々と頭を下げた。
ちなみに今日は立食も出来るようなセッティングをしている。
「頭を上げてくれ、マーガレット。それより、挨拶の方どうだった?」
「ん~。これと言って何もないよ?」
頭を上げた、マーガレットは首を傾げた。
「どちらかと言うと、オーナー以外の職場の人は安心してたかな?前も言ったように私はオーナーとは仲が良かったですが、料理長とはうまがあわなかったので。私、ダメなんですよね。封建的な人って。」
確かに、そんな事言っていたな。そして、マーガレットは続ける。
「正直、職場の人より、近所に住んでいた人達との別れの挨拶の方が大変だったよ。同じ街に住んでいるとは言え、端と端。広い街なので毎日会えるわけではないですから……。職場も雇ってもらった恩があるから、不義理をしないために挨拶に行ったわけだし……狭い職場環境の中で実質ナンバーワンの人と揉めてる私が居なくなって清々する気持ちもわかりますしね。……料理は私が作った物の方がウケがいい。味も昔ながらの物しか作れない料理長のより良かったし、オーナーは私を気に入ってくれていたから、ほかの人は板挟みになってたんじゃないかな?料理長につくか、私につくか。私は正直、私は小さくても権力争いなんて興味もないし、美味しい料理を作ってお客さんに満足してもらえればそれで良かったんです。だから、ヤマトさんが人を募集してて、雇ってくれる。って言ってくれた時は本当に嬉しかったんです。ヤマトさんは人の意見もちゃんと考えてくれるし探究心もありありだから。一緒に働けたら楽しいだろうな?って。」
どうやら、酒の力も入って、マーガレットは饒舌になってるようだ。
「俺もマーガレットと仕事が一緒に出来て嬉しいよ。マーガレットみたいに、料理を探究するヤツってこの世界にはあんま居ないんだよな。お互いに頑張っていこうな。」
「うん!」
俺とマーガレットはがっちりと握手をした。
「皆が、酒を飲み過ぎる前にもう一度、明日の確認をしておいた方がいいかな?」
「……うん。その方がいい。もう、みんな分かっているとは思うけど、レイブンも……居るから。」
そうだな。レイブンさんは昨日、ウチに来たばかりだ。レイブンさんには急な事だけど打ち合わせは聞いてもらおう。
「それじゃあ、皆、少し集まってくれ。明日の最終確認をする。」
俺の声にイリア達は集まった。
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