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聖剣

聖剣 2

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 「それはな、ダンジョンのモンスターには感情はないが、野生のモンスターには感情があるという事なのじゃ。」
 「ダンジョンのモンスターにはないの?なんで??」
 「それは、わしにも分からんのじゃよ。あるとしたら、怒りの感情かの?考えないし突っ込んで来るからの。怒っておるとしか考えられん。で、じゃな。気をつけなければならない事があるのじゃよ。ララ。」
 「気をつけないといけないこと?」
 「うむ。野生のモンスターには、わしらと同じように感情がある。そして、知力も少なからずあると言う事じゃ。」
 「それが何で気をつけないといけないの?」
 「ふむ。感情の話は簡単じゃ。ララは、ばあちゃんが誰かに傷つけられたら、怒るじゃろ?」
 「うん!それはそうだよ!!私の大事なおばあちゃんだもん!!」
 「ふぉっふぉっふぉ。ありがとのう。それと、同じじゃよ。野生のモンスターは普段は大人しいものが多いが、子供や仲間を傷付けられると怒って襲ってくるのじゃ。じゃから、無闇に傷つけてはならないのじゃ。」
 「うん。分かった。」
 「うむ。それと、もう一つな。野生のモンスターは知力があると言ったじゃろ?」
 「うん。」
 「これがまた、厄介なのじゃ。ゴブリンやオークなど、単体が弱い者程、知恵が回る。徒党を組み我々を襲い、連携攻撃を仕掛けて、冒険者すら襲うのじゃ。ララよ。気をつけるのじゃ。ゴブリンやオークだからと言って侮るな。感情があるからと言って仲良くなろうとするな。もし、ララが大きくなって戦う事があるなら、容赦なく全滅させるのじゃ。生き残りを作れば、奴らは復讐にやって来る。容赦はするでないぞ。」
 「うん!分かったよ。おばあちゃん。」

 エレノアの話は終わり、ララ達は眠りについた。

 翌朝。

 「それじゃ、今日もピチョンパ、いっぱい穫って来るね。」
 「気をつけ行くのじゃぞ。ララ。」
 「は~い。」

 ララは汚れた桶と釣り竿とは呼ぶには大げさな、糸と針の付いた木を持って、村の中心にある井戸へ向かった。そして。

 「おはようございます。村長さん。」
 「おお~。ララか。今日もピチョンパ釣りかい?」
 「うん。今日もおばあちゃんに、食べてもらうの。」
 「ララは偉いね。」
 「えへへ。でね。今日も畑から、ミミズ貰ってもいいかな?」
 「ああ。好きなだけ掘って持っていくといい。」
 「ありがと~。村長さん。」
 
 ララは村長に礼を言い、畑で餌になるミミズを掘り、釣り場である、湖へ向かった。そして、その道中、一人の村人に会う。

 「おじちゃん。おはよ~。」
 「おお。ララ、おはよ~。今日もピチョンパ釣りかい?」
 「うん。おじちゃんは、もう、釣ったの。」
 「ああ。俺はもう釣り終わったよ。見てみるかい?」
 「うん!……わぁ~。凄い。赤くて大きいピチョンパがいっぱい。」
 
 村人が見せてくれた、ララの桶より大きなバケツには、昨日、ララが釣り上げた手長エビの横も縦も三倍はあろうか、赤く大きなエビが溢れかえらんばかりに入っていた。

 「ねえ!おじちゃん!!このピチョンパ、どこで釣ったの?」
 「これかい?これは、湖の少し先にある川だよ。でも、あそこはモンスターも出て危ないから、ララは行っちゃダメだよ。」

 (モンスターが出るのは怖いし……。おばあちゃんもモンスターに会ったら逃げろって言ってたから、私には無理かな?)
 
 「は~い。分かったよ。おじちゃん。」
 「うんうん。ララはいい子だね。気をつけて、行くんだよ。」

 村人はララの頭を撫でて、村へ戻っていった。

 ララはエレノアと村人の言うことを聞いて、何時もの湖へ向かった。しかし……。

 (全然、釣れない……。今日も、おばあちゃんに喜んで貰いたいのに。)

 ララは反応のない竿先を見ながら考える。

 (あのおじちゃん、少し先にある川で釣ったって言ってたな。あんなに大きなピチョンパがいっぱい釣れたら、おばあちゃん、喜んでくれるよね。よし!)

 やはりと言っていいのか……幼いララは、エレノアに喜んでもらいたいという思いと、釣れなくて飽きてしまったのも相まって、エレノアや村人の忠告を無視して、川へ釣りに行く事にした。

 
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