107 / 201
北国ダンジョンのある一時
北国ダンジョンのある一時6
しおりを挟む
「主様は……本当にお優しい。わたくしのような者に、お気を使って……。」
赤くなっていた顔は、落胆の色へ変わっていった。
落ち込むような事を俺は言ったのだろうか?自分が言った言葉に落ち込ませる要素はあっただろうか?俺は思い返してみたが、分からなかった。
そして、もう一度、エリの顔を見る。
あれ?そう言えば、風呂を覗いた時も卑屈な事言っていたし……たまにこういう顔をするんだよな。エリって。普段は姉御肌っぽいのに、自分の容姿の事とかになると何時もこうなるんだ。弱々しくて悲しい顔。昔、何かあったのだろうか?みんなに言える事なんだけど、俺、みんなの過去ってあまり知らないんだよな。よし。
「なあ、エリ。何でそんなに悲しそうな顔をしているんだ?」
俺は、エリに直接聞いてみる事にした。嫌がられたり、嫌な思いをさせるかもされないけど……何も知らないままよりはいいだろう。話してくれるとは限らないけど……エリの事をもっと知りたい。と思っている事が伝われば、最低、それでオッケーだ。まあ、結局は俺の自己満足なんだろうけどな。
「も、申し訳ございません!主様。不快な思いを……。」
そう言い、エリは謝罪の言葉と表情を作り直した。
もうそうなると違和感しかなかった。表情を作り直す仕草もぎこちなく、完全に無理をしている。誰でも表情を作る事があるけど、エリのは下手すぎた。
「エリ?大丈夫か??体調悪いのか?早く乾かさなかったから、風邪でも引いたんじゃないか?」
俺は白々しく、エリに話し掛ける。何か無理をして表情を作らないといけない事があるのだろうか?
そして、体調も本当に気になるので、熱を計るため、おでこに手を置いた。
「あ、主様!?な、何を?!」
あ、熱!?めちゃくちゃ熱い!熱あるじゃないか?
「エリ!凄く熱いぞ?!熱あるじゃないか?大丈夫か??」
俺は、エリの方を向き体を寄せる。
「ひ!ひぇぇぇ?!あ、主様!?ち、近い!密着しすぎでござまっしゅ!ひゃふん!」
そう言い、エリはプシューと頭から湯気を出し、グッタリと気を失ってしまった。
数十分後。
「……んんん。」
お。どうやら、気がついたようだ。
「大丈夫か?エリ??」
俺の声にエリはゆっくりとまぶたを開く。
「ここは?」
「まだ、ダンジョンの中だよ。」
そう。あれから、何も変わっていない。相変わらず、閉じ込められたまま。鍵を探しにも行けず。そのままである。
「申し訳ございません。主様?!お顔が……な、なぜ、こんなにお近くに……。そして、この感触は??」
瞳を完全に開いたエリは慌てた。そう、今、エリは俺に膝枕をされている。
そして、今の状況を確認して慌てて横に転がり、飛び上がる。そのまま、飛び上がらなかったのは、流石なのかもしれない。飛び上がっていたら、俺と頭と頭がごっつんこだったからな。
でも、そんなに慌てると……。
俺の予想通り、エリにかけていたホクホクグマの毛皮はズレ落ち、エリの裸はさらされた。
エリは悲鳴を上げ、慌ててうずくまる。
いや~。ホクホクグマの毛皮をかけた時にチラッと見たけど……ラッキーだ。
(うひょひょひょひょ~。こん青年は、やりおりますなぁ~。ほんま、見所がありますわ~。)
また、声が聞こえたような気がするけど……。気のせいか?
ちなみに、俺は服が乾いたから、服を着ていた。
赤くなっていた顔は、落胆の色へ変わっていった。
落ち込むような事を俺は言ったのだろうか?自分が言った言葉に落ち込ませる要素はあっただろうか?俺は思い返してみたが、分からなかった。
そして、もう一度、エリの顔を見る。
あれ?そう言えば、風呂を覗いた時も卑屈な事言っていたし……たまにこういう顔をするんだよな。エリって。普段は姉御肌っぽいのに、自分の容姿の事とかになると何時もこうなるんだ。弱々しくて悲しい顔。昔、何かあったのだろうか?みんなに言える事なんだけど、俺、みんなの過去ってあまり知らないんだよな。よし。
「なあ、エリ。何でそんなに悲しそうな顔をしているんだ?」
俺は、エリに直接聞いてみる事にした。嫌がられたり、嫌な思いをさせるかもされないけど……何も知らないままよりはいいだろう。話してくれるとは限らないけど……エリの事をもっと知りたい。と思っている事が伝われば、最低、それでオッケーだ。まあ、結局は俺の自己満足なんだろうけどな。
「も、申し訳ございません!主様。不快な思いを……。」
そう言い、エリは謝罪の言葉と表情を作り直した。
もうそうなると違和感しかなかった。表情を作り直す仕草もぎこちなく、完全に無理をしている。誰でも表情を作る事があるけど、エリのは下手すぎた。
「エリ?大丈夫か??体調悪いのか?早く乾かさなかったから、風邪でも引いたんじゃないか?」
俺は白々しく、エリに話し掛ける。何か無理をして表情を作らないといけない事があるのだろうか?
そして、体調も本当に気になるので、熱を計るため、おでこに手を置いた。
「あ、主様!?な、何を?!」
あ、熱!?めちゃくちゃ熱い!熱あるじゃないか?
「エリ!凄く熱いぞ?!熱あるじゃないか?大丈夫か??」
俺は、エリの方を向き体を寄せる。
「ひ!ひぇぇぇ?!あ、主様!?ち、近い!密着しすぎでござまっしゅ!ひゃふん!」
そう言い、エリはプシューと頭から湯気を出し、グッタリと気を失ってしまった。
数十分後。
「……んんん。」
お。どうやら、気がついたようだ。
「大丈夫か?エリ??」
俺の声にエリはゆっくりとまぶたを開く。
「ここは?」
「まだ、ダンジョンの中だよ。」
そう。あれから、何も変わっていない。相変わらず、閉じ込められたまま。鍵を探しにも行けず。そのままである。
「申し訳ございません。主様?!お顔が……な、なぜ、こんなにお近くに……。そして、この感触は??」
瞳を完全に開いたエリは慌てた。そう、今、エリは俺に膝枕をされている。
そして、今の状況を確認して慌てて横に転がり、飛び上がる。そのまま、飛び上がらなかったのは、流石なのかもしれない。飛び上がっていたら、俺と頭と頭がごっつんこだったからな。
でも、そんなに慌てると……。
俺の予想通り、エリにかけていたホクホクグマの毛皮はズレ落ち、エリの裸はさらされた。
エリは悲鳴を上げ、慌ててうずくまる。
いや~。ホクホクグマの毛皮をかけた時にチラッと見たけど……ラッキーだ。
(うひょひょひょひょ~。こん青年は、やりおりますなぁ~。ほんま、見所がありますわ~。)
また、声が聞こえたような気がするけど……。気のせいか?
ちなみに、俺は服が乾いたから、服を着ていた。
0
お気に入りに追加
160
あなたにおすすめの小説
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
その最弱冒険者、実は査定不能の規格外~カースト最底辺のG級冒険者ですが、実力を知った周りの人たちが俺を放っておいてくれません~
詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
※おかげさまでコミカライズが決定致しました!
時は魔法適正を査定することによって冒険者ランクが決まっていた時代。
冒険者である少年ランスはたった一人の魔法適正Gの最弱冒険者としてギルドでは逆の意味で有名人だった。なのでランスはパーティーにも誘われず、常に一人でクエストをこなし、ひっそりと冒険者をやっていた。
実はあまりの魔力数値に測定不可能だったということを知らずに。
しかしある日のこと。ランスはある少女を偶然助けたことで、魔法を教えてほしいと頼まれる。自分の力に無自覚だったランスは困惑するが、この出来事こそ彼の伝説の始まりだった。
「是非とも我がパーティーに!」
「我が貴族家の護衛魔術師にならぬか!?」
彼の真の実力を知り、次第にランスの周りには色々な人たちが。
そしてどんどんと広がっている波紋。
もちろん、ランスにはそれを止められるわけもなく……。
彼はG級冒険者でありながらいつしかとんでもない地位になっていく。
平凡な主人公が異世界に転生してチート勇者な人生を送るかと思ったら
けろよん
ファンタジー
トラックに轢かれて死んだら神様が出てきて、それは自分のミスだったからお詫びに、チート能力をくれた上で異世界に転生させてくれて異世界の森に出現し、そこを抜けると魔物に襲われている馬車に遭遇し、早速魔物をチート能力で軽く退治すると、実はその魔物はその世界の騎士団総出でも倒せないほどの強さで、しかも馬車に乗っていたのはその国のお姫様で、お姫様をお城まで贈って父親の国王と対面し、国王に対してタメ口を聞いて大臣とかが怒るんだけど、国王はまあよいと大臣を嗜めてくれて、国王から国を滅ぼそうとする魔王退治を依頼され、そんな面倒なことやってられっかと断るんだが、なんだかんだ言って受ける事になり魔王退治の旅に出るのだった。
私のスキルが、クエストってどういうこと?
地蔵
ファンタジー
スキルが全ての世界。
十歳になると、成人の儀を受けて、神から『スキル』を授かる。
スキルによって、今後の人生が決まる。
当然、素晴らしい『当たりスキル』もあれば『外れスキル』と呼ばれるものもある。
聞いた事の無いスキル『クエスト』を授かったリゼは、親からも見捨てられて一人で生きていく事に……。
少し人間不信気味の女の子が、スキルに振り回されながら生きて行く物語。
一話辺りは約三千文字前後にしております。
更新は、毎週日曜日の十六時予定です。
『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しております。
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
しかたなく英雄的最後を迎えた魔法使いの受難
伊簑木サイ
ファンタジー
王国を守って死んだ守護魔法使いブラッドは、前世の記憶を持ったまま生まれ変わった。
今生ではひっそり普通に生きていきたいのに、強大な魔力のせいで、真面目にやってもなぜか大事に。
問題児扱いされて、おどろおどろしいあだ名と、愉快な手下、おかしな噂ばかりが増えていく。
生まれ変わっても、だいたいいつも不憫な目に遭ってばかりな彼の、愛にまみれた受難な日々のあれこれ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる