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楽しい休日。だったはずなのに?!

楽しい休日。だったはずなのに?!3

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 「ほら!ヤマト様!!これなんてどうですか?」
 イリアは、ララに服を合わせて楽しそうに、こちらに何度も何度も声を掛ける。
 「いいんじゃないか?」
 俺はその度に、気の利かないセリフをさっきから吐き続けている。
 元の世界の、モテなかった弊害がここでまた露わになる。もっとララが喜びそうな言葉を俺は掛けてあげられない。
 はぁ……自分が情けない。
 その現実から目を逸らすように店内を見渡す。
 エルフの服にも色々な物があるんだな。と改めて思った。この店には、フリルやワンピース……清楚系な感じなのが多いのかな?街中にもこんな服を着ていた子も沢山居ただろうに……。食材ばかりが目について、心に余裕がなかったのかな?目につかなかった。
 ちなみに、イリアがララに今、合わせているのは淡いピンクのフリルワンピース。綺麗な花の刺繍なども施されていた。
 これで何着目?だと言うくらいにイリアはララに着せまくっていた。どれも、着るまでもなく似合っている。いや、容姿端麗、スタイル抜群のエルフだ。似合わない訳がない。
 「それじゃあ、試着させてみますね。」
 イリアはクスクスと笑いながらララを連れて試着室に入っていった。
 二人が居なくなると、途端に居づらくなる。女性服の売り場はやはり落ち着かないのは、元々の世界と同じか……。
 「お待たせしました。ヤマト様!!」
 数分後、そう言い二人は試着室から出てくる。
 やはり、何を着ても似合う。ララは剣を持つと凛々しいイメージに変わるのだけれど、剣を置いたララはのんびり屋のようで、少しおっとりとしていた。
 ……いや、それにしても、このワンピースは特に似合っているなぁ。
 俺はしばらく見とれてしまっていた。そして、思った。
 よ、よし!勇気を出して、今度こそ、少し気の利いたセリフを言ってやる。慣れているイリアには言えるんだ。ララに言えない訳がない。
 「……凄く似合っているな、ララ。……可愛いぞ。」
 ララは俺からそんな言葉を聞けると思っていなかったのか、頬を赤く染める。
 「……私。これにします。」
 ララは嬉しそうにそう言った。

 色々な服屋を巡り、結局、俺の両手には紙袋がいっぱいになっていた。ララの服はもちろん、イリアの服まである。
 給料だとお金を渡しても受け取らない二人。お小遣いだ。と言うと躊躇いながらでも、最後は喜んで受け取った。そして、それを全部服に変えてしまったようだ。
 「……マスター。ありがとう……ございます。」
 ララは、俺が最初に褒めたピンクのフリルワンピースが気に入ったのか、それを着ていた。
 「ヤマト様。ありがとうございます。」
 イリアは変わらず白いフリルのワンピース。
 「いいや。二人には頑張ってもらっているからな。喜んで貰えて良かったよ。そうだ。少し遅くなったけど、昼飯を食べに行こう。」
 二人は、にこやかに「はい。」と返事をし、俺達は目に留まった飲食店へ入った。
 
 「今更ながらに疑問に思った事が何個かあるんだけどさ、聞いていいか?」
 俺は食事をしながら、イリアとララにたずねた。
 「はい?何でしょう??」
 イリアはそう答え、ララは首を傾げる。
 「イリアとララって知り合いぽかったけど、王宮魔術師と勇者だからか?」
 二人はそれを聞いて頷き、イリアがまず口を開く。
 「そうですね。ララの名前は昔から知っていましたけど、実際に会った時は……勇名証の授与式ですね?」
 「勇名証?」
 何だ?勇名証って??
 「勇者だけに与えられる証明書みたいなものです。」
 え?勇者に証明書??
 「証明書って、ニセ勇者とか出て来るのか?」
 「……勇者は聖剣を持っているから勇者。聖剣は勇者にしか扱えないから……偽者は居ない。」
 ララはそう答え、イリアが付け加える。
 「簡単に言うとギルドカードみたいな物です。女王様から、勇者に与えられる特別なカード。ステータスの更新の手続き不要な特殊なギルドカードと言ったら分かりやすいと思います。これがあると、何かクエストを受けたり、魔石を換金する以外はギルドに来る必要はありません。ステータスの更新も自動に一瞬で更新され、どの国の、どの街のダンジョンであろうと、好きに挑戦出来ます。あと、勇者慰労金を貰う為に必要なカードですね。」 
 なるほど。ララがギルドにギルドカードを提出していなかったのは、この為だったのか。それにしても、予想外だったのは慰労金なんて制度もある事だ。
 「勇者慰労金なんてあるんだな。」
 「……はい。勇者は不器用な人が多い、勇者に選ばれたら、自分の人生の設計図なんて書けなく……なるから。小さい頃から戦う事だけの稽古ばかりで……、その役目を終えても戦うだけしかなくなる。怪我をして働けなる人もいるから……。」
 そう言い、ララは下を向いた。と思ったら、今度は顔を上げて俺を見つめ口を開く。
 「……私は幸運だった。マスターに出会え……て。私も戦う事しか出来ないと思っていた。でも、リヴァイアサンを討伐する以外の夢……が、初めて出来た。だから、私は……マスターに改めて、お礼を言いたい。マスター……ありが……。」
 ララがそう言い掛けたところで、俺達のテーブルは何者かに叩かれ、男の声が店内に響く。
 「ララノア~。やっと見つけたぞ~!!」
 
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