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プロローグ2
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しかし、アメリアらが行ったのは虐殺だけではなかった。
礼拝堂の中央に祭られた神像の首を撥ね、撥ねた頭の代わりに修道院長の切り落としさた首が載せられていた。その他、神聖な神具、貴重な絵画や調度品まで破壊の限りを尽くされていた。
さらには、金庫が破られ、その中のあった貴重品、宝石、金貨などがすべて持ち去られていたのだ。
まさにそれは悪魔の所業だった。
そして、この残虐なる行為を行った後、アメリアらは何食わぬ顔で当初の目的であった要塞都市へと進軍し、数に勝る守備兵と騎士たちを物ともせずそこを見事に攻略した。
アメリアらは要塞都市を守っていた守備兵と騎士を一人残らず皆殺しにした。
しかしその殺戮は、守備兵と騎士だけでは収まらなかった。
そこに居た無抵抗の民間人たちまでも一人残らず虐殺したのだ。
要塞都市に居た民間人は全員、中央の広場に集められた。そしてその後、その周囲をアメリアらが取り巻き、無抵抗のまま一方的に虐殺した。
今まで難攻不落と言われた要塞都市を攻略し王都に帰還したアメリアらは国民から熱狂的な出迎えを受けた。王都の王宮へ続く中央大通りの両側は何重にも市民たちの厚い壁が出来た。そして、彼らは口々にその偉大な戦いを称賛し、アメリアを英雄と称えた。
しかし、その後、しばらくして、隣国からの使者がやって来て、事態は一変したのだ。
当初、この使者は、和睦交渉にやって来たものと誰もが思った。
確かに、その使者は和睦が目的ではあった。しかし、それはクレサレス側が予想した全面譲歩による事実上の降伏ではなかった。
要塞都市を落とされた事によって自国の守りが弱まり、このままでは本国が戦場と化すことを恐れた和睦交渉ではあった。しかし、それは全面譲歩ではなかった。
和睦を受け入れる代わりに、『ロンバルディアの大虐殺』を行ったアメリアとその配下の者たちの厳罰を求めて来たのだ。
当初は、交渉を有利に進めたいが故の作り話とクレサレス側は思ったが、彼らはクレサレス側も認めざるを得ない証人を複数用意していたのだ。そして、その誰もがアメリアたちが行った大虐殺の跡を克明に語った。
当時、重い病に倒れていた王に代わってクレサレスの政を行っていたのは、アメリアの妹姫である『マリア=ミシュト=クレサレス』姫だった。マリア姫は事態を重く見て、直ちに実の姉であるアメリアの身柄を拘束した。
当時、クレサレスは軍事面を『武』に長けたアメリアが、外交と政治などを『智』に長けたマリアがそれぞれ分担して国を治めていた。アメリアが軍事面では圧倒的な才能を持っていたのと同じく、マリアは歳こそまだ二十歳そこそこだったが政治、外交面での才能はどの国の老獪な王たちに勝るとも劣らぬものだった。
「何か弁明はありますか、姉上?」
「私は天地神明に誓って何一つ恥じる事などしていない」
実の妹であるマリアの問い掛けにアメリアは一言そう答えた後は固く口を閉ざし一言も語らなかったと言う。
三日三晩、マリアを中心とする審議は続いた。
そして、その長い審議の末に、アメリアは、王位継承権とすべての特権をはく奪され、しかる後に死罪とされる事が決定された。しかも王家や貴族の者が処されるような自ら毒杯をあおる名誉ある死刑ではなかった。アメリアには、一般の罪人と同じ広場で公開断頭と言う元王女としては異例かつ残虐なの処刑方法が行われる事が決定された。
最強の名を欲しいままにしていたクレサレス王国、しかも今までは英雄と称えられたアメリアの命を助ける事は決してできない事ではなった。いや、むしろ、普通なら期間限定付きの特権はく奪、自室軟禁で済まされてしまう事が普通だった。多くの民、それはクレサレスの民だけでなく、周りの国々の民も薄々そうなるであろうと思っていた。そして、審議会のメンバーさえ、そのほとんどがそうする方向で意見調整がなされていた。
しかし、なんとマリア自身が、実の姉アメリアに対し最も残酷な公開断頭処刑と行うと審議会の最後に宣言したのだ。これにはその場にいた誰もが驚いた。
この事が後の世に……
姉であるアメリア姫は、あの事件が起こるまでは、多くの華々しい武勲をたていた上に民衆に受けも非常に良く、誰もが次期女王になると疑わなかった。それに嫉妬していた妹のマリア姫は、この機会にアメリア姫を亡き者とし、自身がクレサレス女王になると言う野望を常々持ったのだ。
……と噂される様になった所以である。
実の妹の口から自身の処遇を聞かされたアメリアは……
「分かった。私は、お前が下したその決定に従おう。
だたし、罪はこの私が全て負う。
他の者には温情を……」
……とだけ語ったと言う。
実の姉が残した最後の言葉とあって、さしものマリアもその言葉を聞き入れた。
蛮行を行ったとされたアメリア以外の騎士たちはその身分、勲章の全てを剥奪され、一開拓民として辺境の荒れ地に屯田兵として散り散りに流されたが、その命だけはかろうじて救われた。
礼拝堂の中央に祭られた神像の首を撥ね、撥ねた頭の代わりに修道院長の切り落としさた首が載せられていた。その他、神聖な神具、貴重な絵画や調度品まで破壊の限りを尽くされていた。
さらには、金庫が破られ、その中のあった貴重品、宝石、金貨などがすべて持ち去られていたのだ。
まさにそれは悪魔の所業だった。
そして、この残虐なる行為を行った後、アメリアらは何食わぬ顔で当初の目的であった要塞都市へと進軍し、数に勝る守備兵と騎士たちを物ともせずそこを見事に攻略した。
アメリアらは要塞都市を守っていた守備兵と騎士を一人残らず皆殺しにした。
しかしその殺戮は、守備兵と騎士だけでは収まらなかった。
そこに居た無抵抗の民間人たちまでも一人残らず虐殺したのだ。
要塞都市に居た民間人は全員、中央の広場に集められた。そしてその後、その周囲をアメリアらが取り巻き、無抵抗のまま一方的に虐殺した。
今まで難攻不落と言われた要塞都市を攻略し王都に帰還したアメリアらは国民から熱狂的な出迎えを受けた。王都の王宮へ続く中央大通りの両側は何重にも市民たちの厚い壁が出来た。そして、彼らは口々にその偉大な戦いを称賛し、アメリアを英雄と称えた。
しかし、その後、しばらくして、隣国からの使者がやって来て、事態は一変したのだ。
当初、この使者は、和睦交渉にやって来たものと誰もが思った。
確かに、その使者は和睦が目的ではあった。しかし、それはクレサレス側が予想した全面譲歩による事実上の降伏ではなかった。
要塞都市を落とされた事によって自国の守りが弱まり、このままでは本国が戦場と化すことを恐れた和睦交渉ではあった。しかし、それは全面譲歩ではなかった。
和睦を受け入れる代わりに、『ロンバルディアの大虐殺』を行ったアメリアとその配下の者たちの厳罰を求めて来たのだ。
当初は、交渉を有利に進めたいが故の作り話とクレサレス側は思ったが、彼らはクレサレス側も認めざるを得ない証人を複数用意していたのだ。そして、その誰もがアメリアたちが行った大虐殺の跡を克明に語った。
当時、重い病に倒れていた王に代わってクレサレスの政を行っていたのは、アメリアの妹姫である『マリア=ミシュト=クレサレス』姫だった。マリア姫は事態を重く見て、直ちに実の姉であるアメリアの身柄を拘束した。
当時、クレサレスは軍事面を『武』に長けたアメリアが、外交と政治などを『智』に長けたマリアがそれぞれ分担して国を治めていた。アメリアが軍事面では圧倒的な才能を持っていたのと同じく、マリアは歳こそまだ二十歳そこそこだったが政治、外交面での才能はどの国の老獪な王たちに勝るとも劣らぬものだった。
「何か弁明はありますか、姉上?」
「私は天地神明に誓って何一つ恥じる事などしていない」
実の妹であるマリアの問い掛けにアメリアは一言そう答えた後は固く口を閉ざし一言も語らなかったと言う。
三日三晩、マリアを中心とする審議は続いた。
そして、その長い審議の末に、アメリアは、王位継承権とすべての特権をはく奪され、しかる後に死罪とされる事が決定された。しかも王家や貴族の者が処されるような自ら毒杯をあおる名誉ある死刑ではなかった。アメリアには、一般の罪人と同じ広場で公開断頭と言う元王女としては異例かつ残虐なの処刑方法が行われる事が決定された。
最強の名を欲しいままにしていたクレサレス王国、しかも今までは英雄と称えられたアメリアの命を助ける事は決してできない事ではなった。いや、むしろ、普通なら期間限定付きの特権はく奪、自室軟禁で済まされてしまう事が普通だった。多くの民、それはクレサレスの民だけでなく、周りの国々の民も薄々そうなるであろうと思っていた。そして、審議会のメンバーさえ、そのほとんどがそうする方向で意見調整がなされていた。
しかし、なんとマリア自身が、実の姉アメリアに対し最も残酷な公開断頭処刑と行うと審議会の最後に宣言したのだ。これにはその場にいた誰もが驚いた。
この事が後の世に……
姉であるアメリア姫は、あの事件が起こるまでは、多くの華々しい武勲をたていた上に民衆に受けも非常に良く、誰もが次期女王になると疑わなかった。それに嫉妬していた妹のマリア姫は、この機会にアメリア姫を亡き者とし、自身がクレサレス女王になると言う野望を常々持ったのだ。
……と噂される様になった所以である。
実の妹の口から自身の処遇を聞かされたアメリアは……
「分かった。私は、お前が下したその決定に従おう。
だたし、罪はこの私が全て負う。
他の者には温情を……」
……とだけ語ったと言う。
実の姉が残した最後の言葉とあって、さしものマリアもその言葉を聞き入れた。
蛮行を行ったとされたアメリア以外の騎士たちはその身分、勲章の全てを剥奪され、一開拓民として辺境の荒れ地に屯田兵として散り散りに流されたが、その命だけはかろうじて救われた。
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