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第二十四話
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ところがである。思いもしない事が起こった。
唇を触れさせたまま、板額の両手が僕の背中に回された。そして、ぐっと僕の体が板額の体に引き寄せられた。先ほどまでと違い、板額の柔らかな膨らみがちょうど僕の胸辺りに当たった。しかも今度は二つ同時に。そこは柔らかではあったが、やっぱり思った程大きくは感じなかった。もう、勘の良い人には分かってるかもしれないが、どっちかって言うと僕はちっパイ好みなのだ。
「大好き、与一。
僕はもう君だけのモノだからね。
だから与一は僕にしたい事は何だってして良いんだよ」
板額は一瞬、唇を離してそう甘く囁くと、今度は首を少し深く傾けて再び唇を押し付けて来た。
そして次の瞬間、するりと僕の歯の間をすり抜けて暖かくて柔らかいものが口の中に入って来た。
二人だけしかいない窓のないエレベーターの中とは言え、途中で誰かが乗って来る可能性は常にある。それでも僕は思春期の男の子だ。美人の彼女にここまで言われて、その上ここまでされたら理性なんて一瞬で月軌道の外、いや外宇宙の彼方まで吹っ飛んで行く。特にこの様に女の子の方が積極的ならなおさらだ。
『据え膳食わぬは男の恥』
などと言う都合の良い言葉までもが僕の頭の中にぽっと浮かび上がった。そして僕は恥ずかしげもなくその言葉を免罪符にしてしまうのだ。
僕は大人のキスをしながら、恐る恐る片手を板額の腰から下へと滑らせた。この辺りはまったく経験はないが、それなりにえっちなマンガやエロゲなどで情報は仕入れている。自然と僕の手はそう動いた。一瞬、びくんと板額の体が震えた様な気がした。それでも板額は特に抵抗する素振りを見せなかった。僕は板額のお尻のラインを確かめる様にそのまま手を下げて行った。板額のお尻は思ったより固くひきしまって、少し筋肉質の様な気がした。そして、長めのスカートの裾を引き上げその中に手を差し入れた。そして今度はカモシカの様に綺麗な足のラインを確かめる様に上へ上へを滑らせて行った。黒いストッキングの手触りが妙にエッチな感じがしてあそこかむずむずし始めた。だって、ストッキングの手触りなんてこの時僕は初めて知ったのだ。板額の脚はお尻と同じで、ラインが綺麗で柔らかだけど、やはり筋肉質でぴんっと引き締まっていた。
「チンッ!」
あと少しで板額の下着に手が届きそうだったその時、エレベーターが到着階を知らせるチャイムを鳴らした。僕と板額はその音でいきなり現実に引き戻された。二人とも慌てて飛び退く様に離れた。その瞬間、僕は心の中で小さく舌打ちをしていた。
これは秘密だが、それから数日、僕は何度もあの続きを妄想して『夜のおかず』にした。彼女とは言え同じクラスメイトの女の子を何度も『夜のおかず』にするなんて、僕はすごくいけない男の子になってしまった様な気がした。
まもなくエレベーターの扉がするすると開いた。二人とも何事もなかった様に並んで正面を向いている。するとエレベーターを待ったいたご婦人と目が合った。それは僕の隣の部屋に住む顔見知りで人の良いおばさんだった。当然、今僕らがエレベーターの中で何をしてたかなんて、このおばさんは知る由もない。でも、僕は何だんだか最初から全部見られていた様な感じがしてとても気恥ずかしかった。
「こんにちは、与一君。今帰り?」
目が合ったおばさんはそう言って親し気に微笑んだ。
「はい、そうです」
僕はエレベーターの扉が閉まらない様に、『開』ボタンを後ろ手で押しながらぎこちない笑顔でそう言いながらエレベーターから出た。板額も笑みを浮かべて小さく会釈しながら僕の直ぐ後を付いて来た。出て行く僕らとすれ違う様におばさんがエレベーターに入って行った。
エレベーターの扉が閉まる瞬間、おばさんはまたにっこり笑って僕を見た。僕も何とか笑みを浮かべつつ軽く会釈した。
エレベーターがまた下がってゆくのを表示で確認すると僕と板額は無言で廊下を歩き出した。しかも先ほど違って腕も組まず少しだけ間を置いて並んで歩いていた。このマンション、真ん中が吹き抜けになっていてそれを廊下がぐるりと囲む様にあるのだ。その開放的空間が、またなんだか気まずい空気を増長さている様な気がした。いやそう感じたのは僕だけだったかもしれない。
唇を触れさせたまま、板額の両手が僕の背中に回された。そして、ぐっと僕の体が板額の体に引き寄せられた。先ほどまでと違い、板額の柔らかな膨らみがちょうど僕の胸辺りに当たった。しかも今度は二つ同時に。そこは柔らかではあったが、やっぱり思った程大きくは感じなかった。もう、勘の良い人には分かってるかもしれないが、どっちかって言うと僕はちっパイ好みなのだ。
「大好き、与一。
僕はもう君だけのモノだからね。
だから与一は僕にしたい事は何だってして良いんだよ」
板額は一瞬、唇を離してそう甘く囁くと、今度は首を少し深く傾けて再び唇を押し付けて来た。
そして次の瞬間、するりと僕の歯の間をすり抜けて暖かくて柔らかいものが口の中に入って来た。
二人だけしかいない窓のないエレベーターの中とは言え、途中で誰かが乗って来る可能性は常にある。それでも僕は思春期の男の子だ。美人の彼女にここまで言われて、その上ここまでされたら理性なんて一瞬で月軌道の外、いや外宇宙の彼方まで吹っ飛んで行く。特にこの様に女の子の方が積極的ならなおさらだ。
『据え膳食わぬは男の恥』
などと言う都合の良い言葉までもが僕の頭の中にぽっと浮かび上がった。そして僕は恥ずかしげもなくその言葉を免罪符にしてしまうのだ。
僕は大人のキスをしながら、恐る恐る片手を板額の腰から下へと滑らせた。この辺りはまったく経験はないが、それなりにえっちなマンガやエロゲなどで情報は仕入れている。自然と僕の手はそう動いた。一瞬、びくんと板額の体が震えた様な気がした。それでも板額は特に抵抗する素振りを見せなかった。僕は板額のお尻のラインを確かめる様にそのまま手を下げて行った。板額のお尻は思ったより固くひきしまって、少し筋肉質の様な気がした。そして、長めのスカートの裾を引き上げその中に手を差し入れた。そして今度はカモシカの様に綺麗な足のラインを確かめる様に上へ上へを滑らせて行った。黒いストッキングの手触りが妙にエッチな感じがしてあそこかむずむずし始めた。だって、ストッキングの手触りなんてこの時僕は初めて知ったのだ。板額の脚はお尻と同じで、ラインが綺麗で柔らかだけど、やはり筋肉質でぴんっと引き締まっていた。
「チンッ!」
あと少しで板額の下着に手が届きそうだったその時、エレベーターが到着階を知らせるチャイムを鳴らした。僕と板額はその音でいきなり現実に引き戻された。二人とも慌てて飛び退く様に離れた。その瞬間、僕は心の中で小さく舌打ちをしていた。
これは秘密だが、それから数日、僕は何度もあの続きを妄想して『夜のおかず』にした。彼女とは言え同じクラスメイトの女の子を何度も『夜のおかず』にするなんて、僕はすごくいけない男の子になってしまった様な気がした。
まもなくエレベーターの扉がするすると開いた。二人とも何事もなかった様に並んで正面を向いている。するとエレベーターを待ったいたご婦人と目が合った。それは僕の隣の部屋に住む顔見知りで人の良いおばさんだった。当然、今僕らがエレベーターの中で何をしてたかなんて、このおばさんは知る由もない。でも、僕は何だんだか最初から全部見られていた様な感じがしてとても気恥ずかしかった。
「こんにちは、与一君。今帰り?」
目が合ったおばさんはそう言って親し気に微笑んだ。
「はい、そうです」
僕はエレベーターの扉が閉まらない様に、『開』ボタンを後ろ手で押しながらぎこちない笑顔でそう言いながらエレベーターから出た。板額も笑みを浮かべて小さく会釈しながら僕の直ぐ後を付いて来た。出て行く僕らとすれ違う様におばさんがエレベーターに入って行った。
エレベーターの扉が閉まる瞬間、おばさんはまたにっこり笑って僕を見た。僕も何とか笑みを浮かべつつ軽く会釈した。
エレベーターがまた下がってゆくのを表示で確認すると僕と板額は無言で廊下を歩き出した。しかも先ほど違って腕も組まず少しだけ間を置いて並んで歩いていた。このマンション、真ん中が吹き抜けになっていてそれを廊下がぐるりと囲む様にあるのだ。その開放的空間が、またなんだか気まずい空気を増長さている様な気がした。いやそう感じたのは僕だけだったかもしれない。
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