本について

『新しい恋愛』（高瀬隼子著：講談社）

芥川賞作家・高瀬隼子さんの最新刊は、題名通りの今までに読んだ事の無い、全く『新しい恋愛』小説である。

五作の短編小説には、沢山の『恋愛』が詰まっている。
それもかなり個性的な。

ときめきやウキウキ、切なさやソワソワとは違った『恋愛』だってあるし、どストレートにその人の事ばかり考えてしまう『恋愛』に溺れることだってある。

きっと人は『恋愛』から逃れられないし、抗う術はないのだろう。
千差万別十人十色、だって人間だもの。

読後感は何と言い表せば良いのだろう。
空間が歪む様な少し目眩にも似た不思議な感覚、胸の奥底にフツフツと湧く得も知れぬ感情。
もしかしたら、この気持ちも『恋愛』なのかも知れない……