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8話
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「いやー!痛快だったよ!柿人君!!マスク・ザ・イヤーにあそこまで食らいつけるなんて!ね!宇佐美さん!」
「ええ。私も驚いたわ。彼女の耳かきにプロじゃない子があそこまで抵抗してるのは初めてみたかも。」
マスク・ザ・イヤー・・・いや、宇佐美と呼ばれた店員は、友梨奈先輩に同調する。
一方、宮古先輩は何か難しい顔だ。
「どうしたんですか?宮古先輩。」
「ん?いや、攻めも受けも行けるし、道具もなんでも使えるってなったら逆にどういうスタイルがいいかが難しいと思ってね。私も友梨奈も、どの道具も一通りの使い方はわかるけど、試合で通用するレベルってなるとね。自分のメインで使う耳かきの使い方ならしっかり教えられると思うけど。」
「そう考えると、マイ耳かきもどれにするかちょっと悩ましいよねー。私は竹耳かきがスタンダードで一番使いやすいとは思うけど。」
「ちなみに私はステンレス派。固くて冷たい素材だから、竹とはちがったリラックス効果があるよ。他にはコイル型とかが主流かな。後は後輩にはある意味一番近いタイプとしては綿棒オンリーって人もいるね。複数の綿棒を状況に応じて使い分けるスタイル。」
宮古先輩の耳かきはまだみたことがない。友梨奈先輩曰く、鉄壁の守りとステンレスによる城崩しの威力を併せ持つ耳かきプレイヤーなのだとか。耳かきで城崩しってなんだ。
思考がそれた。兎に角、最高の道具で最高のパフォーマンスを出すというプロ的な発想は理解できるものの、耳はそもそも個人個人によって形が異なり、1人の人の左右の耳ですら、同じ形ではないのだから、リラックスと速さを両立して行くならば、一つの道具で突き詰めるということ自体に疑問を抱かざるえない。
それを考慮にいれれば、自分はやはり、耳かきそのものよりも・・・
「なら、イヤーオイルとか、イヤーローションがあるといいですね。それで値段が余るなら、安いモデルの竹耳かきがあると助かります。」
「耳かきじゃなく、耳かきの下準備を整える道具に拘るスタイル!なるほど!そう言うのもあるね!流石柿人君!!」
「・・・まあ、確かにそういう選択もあるか。マッサージならどの耳かきでも準備の段階でするもんな。」
「ええ。道具はまだハウス耳かきの道具で慣れようかなと。幸いここの道具は種類が結構あるみたいですし。よく使う物からいいのに買い換えようかなと。」
「うん。じゃあ、用意ができたら、今度は私とやろう。後輩。」
「はい?」
急に何を言い出すのだ宮古先輩は。
「いやだって、私まだここに来てなにもしてないし。友梨奈も、プロも絶賛してるけど、私も先輩だから?ここらで揉んでやろっかなって。」
なんか、ちょっと圧を感じる。宮古先輩の気に触ることでもしただろうか。
「耳かきを選んでないことを怒ってます?」
「えぇ!?みゃーちゃん、そんな!私の耳かき使わないとダメとかいう束縛強め系女子だったの!?」
「違うわ!みゃーちゃん言うな!!まあ、なに?私も一応耳かき部の先輩だし?竹耳かきばかり使われてる現状には物申しておこうかな?みたいな?全然、友梨奈に気に入られてるのがちょっとムカつくとかないから。」
耳かき部の人っていうのは心の声がダダ漏れでないと出来ないのだろうか。というかそれは友梨奈先輩が聞いてもいいのだろうか。
「え?みゃーちゃんなんて?最後聞こえなかった!!」
「えぇ・・・」
そんな、ラノベかネット小説みたいな反応ある?
「とにかく!今度は私とやるぞ!後輩!!」
「それは構わないんですけど・・・」
「なんだよ。」
「僕、今耳かきされたばっかで耳綺麗ですよ。」
そう、マスク・ザ・イヤーに耳かきをされたばかりだ。
「反対の耳があるだろ反対の耳が。」
そういえばそうだった。耳は二つあるんだった。何かがおかしい。
僕は確実にこの世界に毒されている気がする。
「惚けたこと言ってないでさっさと道具をもらってこい。」
宮古先輩がそういうと宇佐美さんが手をかなり強い力で引っ張る。
「それじゃ、いい感じに見繕いましょうか。柿人君、ついてきて。」
「いや、それはいいですけど、何でそんな引っ張る・・・力強!?」
「プロの秘密を見抜ける子にあった道具をしっかり選んであげないとね!」
「え?あの下手くそな変装のことですか?」
「ホホホホ!」
「みゃーちゃんみゃーちゃん、あれは宇佐美さん、柿人君のこと気に入ったのかな?」
「いや、違うだろ・・・あと、みゃーちゃん言うな。」
力がさらに加わり僕の体は自分の意思に反して宇佐美さんに引き摺られていった。
「ええ。私も驚いたわ。彼女の耳かきにプロじゃない子があそこまで抵抗してるのは初めてみたかも。」
マスク・ザ・イヤー・・・いや、宇佐美と呼ばれた店員は、友梨奈先輩に同調する。
一方、宮古先輩は何か難しい顔だ。
「どうしたんですか?宮古先輩。」
「ん?いや、攻めも受けも行けるし、道具もなんでも使えるってなったら逆にどういうスタイルがいいかが難しいと思ってね。私も友梨奈も、どの道具も一通りの使い方はわかるけど、試合で通用するレベルってなるとね。自分のメインで使う耳かきの使い方ならしっかり教えられると思うけど。」
「そう考えると、マイ耳かきもどれにするかちょっと悩ましいよねー。私は竹耳かきがスタンダードで一番使いやすいとは思うけど。」
「ちなみに私はステンレス派。固くて冷たい素材だから、竹とはちがったリラックス効果があるよ。他にはコイル型とかが主流かな。後は後輩にはある意味一番近いタイプとしては綿棒オンリーって人もいるね。複数の綿棒を状況に応じて使い分けるスタイル。」
宮古先輩の耳かきはまだみたことがない。友梨奈先輩曰く、鉄壁の守りとステンレスによる城崩しの威力を併せ持つ耳かきプレイヤーなのだとか。耳かきで城崩しってなんだ。
思考がそれた。兎に角、最高の道具で最高のパフォーマンスを出すというプロ的な発想は理解できるものの、耳はそもそも個人個人によって形が異なり、1人の人の左右の耳ですら、同じ形ではないのだから、リラックスと速さを両立して行くならば、一つの道具で突き詰めるということ自体に疑問を抱かざるえない。
それを考慮にいれれば、自分はやはり、耳かきそのものよりも・・・
「なら、イヤーオイルとか、イヤーローションがあるといいですね。それで値段が余るなら、安いモデルの竹耳かきがあると助かります。」
「耳かきじゃなく、耳かきの下準備を整える道具に拘るスタイル!なるほど!そう言うのもあるね!流石柿人君!!」
「・・・まあ、確かにそういう選択もあるか。マッサージならどの耳かきでも準備の段階でするもんな。」
「ええ。道具はまだハウス耳かきの道具で慣れようかなと。幸いここの道具は種類が結構あるみたいですし。よく使う物からいいのに買い換えようかなと。」
「うん。じゃあ、用意ができたら、今度は私とやろう。後輩。」
「はい?」
急に何を言い出すのだ宮古先輩は。
「いやだって、私まだここに来てなにもしてないし。友梨奈も、プロも絶賛してるけど、私も先輩だから?ここらで揉んでやろっかなって。」
なんか、ちょっと圧を感じる。宮古先輩の気に触ることでもしただろうか。
「耳かきを選んでないことを怒ってます?」
「えぇ!?みゃーちゃん、そんな!私の耳かき使わないとダメとかいう束縛強め系女子だったの!?」
「違うわ!みゃーちゃん言うな!!まあ、なに?私も一応耳かき部の先輩だし?竹耳かきばかり使われてる現状には物申しておこうかな?みたいな?全然、友梨奈に気に入られてるのがちょっとムカつくとかないから。」
耳かき部の人っていうのは心の声がダダ漏れでないと出来ないのだろうか。というかそれは友梨奈先輩が聞いてもいいのだろうか。
「え?みゃーちゃんなんて?最後聞こえなかった!!」
「えぇ・・・」
そんな、ラノベかネット小説みたいな反応ある?
「とにかく!今度は私とやるぞ!後輩!!」
「それは構わないんですけど・・・」
「なんだよ。」
「僕、今耳かきされたばっかで耳綺麗ですよ。」
そう、マスク・ザ・イヤーに耳かきをされたばかりだ。
「反対の耳があるだろ反対の耳が。」
そういえばそうだった。耳は二つあるんだった。何かがおかしい。
僕は確実にこの世界に毒されている気がする。
「惚けたこと言ってないでさっさと道具をもらってこい。」
宮古先輩がそういうと宇佐美さんが手をかなり強い力で引っ張る。
「それじゃ、いい感じに見繕いましょうか。柿人君、ついてきて。」
「いや、それはいいですけど、何でそんな引っ張る・・・力強!?」
「プロの秘密を見抜ける子にあった道具をしっかり選んであげないとね!」
「え?あの下手くそな変装のことですか?」
「ホホホホ!」
「みゃーちゃんみゃーちゃん、あれは宇佐美さん、柿人君のこと気に入ったのかな?」
「いや、違うだろ・・・あと、みゃーちゃん言うな。」
力がさらに加わり僕の体は自分の意思に反して宇佐美さんに引き摺られていった。
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