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しおりを挟む基本的に安定は皆無である。
貪るものと名付けられたそれは、思考し、配慮し、停滞した。彼の止めた時間が意味するものは、満ちた総意か相違か。
「そこまで考えねぇよ。ただ、相手が武器を持ったのなら、こちらも武器を持つほうが礼儀だと思ったんでね」
「なんのことかさっぱりわかんねーよ。話を四つも飛ばしてますから。まず何から聞けばいいんだ俺は」
「そうだな。まずは何故俺がここにいるのかを考えた。田舎者として都会に憧れるのは自然な流れだ」
剣を構える。
「隣の庭が赤く見えたってか。ないものねだりだな。どっから仕入れたバラか知らんが、安い色では言葉もずれる」
「分かってもらおうなんてのは傲慢だ。世界中誰もがわからなくても大差ないさ。何のためにと考えるから行動が鈍る、感覚が荒む」
「バラの話はしないのか」
貪るものは首を振る。
「聞こえたかおい、とんだ老耄だな」
券をおさめる。
「異国の地の異国の血を持ち込むのは、さぞかし抵抗したろうよ。受け得れたのではなく、恐怖したんだからな。なら恐怖の根幹はどこにある、ムサボリよ。それは本能だったんだろう。覚醒する前のお前はあの時確かに震えていた。答え合わせは済んだのでは」
「答えを導き出したからと言って、それが正しいと判断するのは早計だ。かつ正しかったとして、正しい事をするのが自分の信念とは酷く異なる。自己を優先するなら、異なる事を選んでしまうから」
幕引きである。
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