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怖くないわ
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「まさか。できるわけがないわ」
エリヴィラちゃんはバッサリと否定。
できないのかぁ。
ちょっと残念かも。
「忘れられたネクロマンシーだって、操れるのは死体よ。生きている人間を操れたら、ストルギィナ家はこんなにすたれていないわ」
まあそうだわな。
特に便利な魔法は、その使い手も盛り立てられるし。
転送魔法を使う一族なんかは、貴族でこそないが超おっ金持ちな豪商らしい!
その反面、微妙に使えない魔法の一族は、レティシアの家と同じく微妙にすたれていくのだ。
「私の一族に伝わっているのは、髪の毛を使ってのゴーレム術だけ。なのに一族の男性は早いうちに禿げるさだめの家系よ。呪われているのはこっちだわ」
ぶふっ!
苦悩した表情のエリヴィラちゃんの口から、突如としてできた『禿げる家系』って言葉につい噴出した。
不意打ちすぎる。
いや、男にとって禿げは切実な問題だよ。
直人のじぃちゃんもつるっつるだし、親父もちょっとおでこがキてるから、結構な将来への不安だったんだ。
遺伝の問題で、努力ではろくに立ち向かうことのできない……
まさに呪い。
笑えることじゃないんだけど、エリヴィラちゃんみたいなまじめでおとなしそうな、ちょっと影のある女の子に、真剣な顔で禿げについて語られたら……
「ご、ごめんなさい。確かに、切実な問題ね」
「ええ」
やめて。
また笑いの発作が出るから、まじめに頷かないでほしい。
見るとさっきまでビクビクしてた女の子たちも、どんな顔をしていいのかわからず、顔をムニムニさせている。
「ねぇ、それって髪を引き抜くからじゃないの? 見てて心配してたのよ? そんなことしてたら頭皮を痛めるから」
グローリアちゃん、まじめにアドバイスするのやめて。
笑うから!
「毛根がついていないと、その分髪の量がいるの。髪は有限だしどうしても」
「うーん。それは深刻ね」
毛根と禿げの関係について、深刻に議論するグローリアちゃんとエリヴィラちゃんに、俺も含めてみんな毒気を抜かれてしまったもよう。
「とにかく、呪いなんて怖くないわ。エリヴィラさんが呪いに詳しいなら、いろいろ教えてほしいぐらいよ。知っていれば防ぐ方法もわかるようになるもの」
「すいません。私が習ったのはゴーレム術だけなんです。呪いについては家にも、もう何も残ってなくて」
「あら、残念」
本当に残念だ。
敵を知り己を知ればなんとやらって言うのに。
……いや、まず己を知れてないんだけど。
俺の解呪って、どうなの?
発動条件すらよくわからん。
「みんな、私のために、怒ってくれてありがとう。少し誤解があったからこんなことになってしまったけれど、その気持ちはうれしいわ」
さて、今のうちに纏めてしまおう!
誤解でだっれも悪くないし~ってことなら、わだかまりも残りにくいだろうし。
「はい……」
「ごめんなさい。エリヴィラさん」
「ごめんね」
「すみませんでした」
うんうん、やっぱりお嬢様方。
擦れてなくて素直だなぁ。
……素直すぎてちょっと心配になるぐらいだ。
「それから、エリヴィラさん」
次は君の番だ。
「かかわらないでとほおっておいてとか、あんな風に言っちゃダメ」
「私は別に、いつものことだわ」
「今まではそうだったかもしれないけど、今は違うわ。誤解されたままでいいのはあなただけよ? 私はいやだし、みんなも困るの」
「どうしてみんなが……」
「今日ちゃんと話せなかったら、みんなはこれからも存在しない呪いにおびえ続けていたわ。あなたは何もしていない。けれどあきらめて何もしないことで知らずに加害者になっていたのよ」
「………」
エリヴィラちゃんが目を見開いて俺を見る。
「ごめんなさい」
エリヴィラちゃんはクラスのみんなの方を向いてぺこりと頭を下げる。
半分ほどかれた髪が、さらさらと流れた。
「みんなが怖がってるなんて思いもしなかった」
「そんな、こちらこそっ」
「知らなかったからって、ごめんなさいっ」
「ごめんなさい」
なんか誤り合戦になってしまったが……
これにて一件落着!
うん、これも、一生に一度は行ってみたい言葉ではあるけど、今言わないだけの分別は俺にもあります。
「もう誰も怖がらないんだから、髪下ろしてみたら?」
俺はエリヴィラちゃんの真っすぐに落ちた髪を、手ですくいあげた。
「こんなにきれいな髪なんだもの」
髪の毛食べさせたら操れるとかそんなのないって言ってたけど、万が一まだ疑ってる子がいるかもしれない。
怖くないってことは、俺が身をもって示すべき?
俺はそっと髪を唇に触れさせる。
ほーら、怖くない怖くない~。
「きっとその方が似合うわ」
「レティシ……」
「お義姉さま! 流石です!」
エリヴィラちゃんが
何か言う前に、弾丸のようにグローリアちゃんが飛びついてきた。
みぞおちに。
「ぐふっ」
「見事な仲裁でしたわ! 見惚れてしまいました!!」
「そ、そうかしら」
手放しに褒められるのは、くすぐったいけど気分いいなぁ。
「でも、無理はいけません! 頭を打っているんですから、安静に! さぁ、保健室に戻りましょう! さぁさぁさぁ!!」
もう平気なんだけど……今回の功労者であるグローリアちゃんに心配かけるのもな。
「そうね。保健室でおとなしくしましょ。それじゃあみなさん、また明日」
「いーきーまーすよー!」
「はいはい」
グローリアちゃんにぐいぐい手を引かれ、俺はすがすがしい気分で教室を後にした。
うん。エリヴィラちゃんたちはもう大丈夫だ。
みんな、きっと仲良くなれる。
だって、みんなあんなにいい子たちなんだから!
エリヴィラちゃんはバッサリと否定。
できないのかぁ。
ちょっと残念かも。
「忘れられたネクロマンシーだって、操れるのは死体よ。生きている人間を操れたら、ストルギィナ家はこんなにすたれていないわ」
まあそうだわな。
特に便利な魔法は、その使い手も盛り立てられるし。
転送魔法を使う一族なんかは、貴族でこそないが超おっ金持ちな豪商らしい!
その反面、微妙に使えない魔法の一族は、レティシアの家と同じく微妙にすたれていくのだ。
「私の一族に伝わっているのは、髪の毛を使ってのゴーレム術だけ。なのに一族の男性は早いうちに禿げるさだめの家系よ。呪われているのはこっちだわ」
ぶふっ!
苦悩した表情のエリヴィラちゃんの口から、突如としてできた『禿げる家系』って言葉につい噴出した。
不意打ちすぎる。
いや、男にとって禿げは切実な問題だよ。
直人のじぃちゃんもつるっつるだし、親父もちょっとおでこがキてるから、結構な将来への不安だったんだ。
遺伝の問題で、努力ではろくに立ち向かうことのできない……
まさに呪い。
笑えることじゃないんだけど、エリヴィラちゃんみたいなまじめでおとなしそうな、ちょっと影のある女の子に、真剣な顔で禿げについて語られたら……
「ご、ごめんなさい。確かに、切実な問題ね」
「ええ」
やめて。
また笑いの発作が出るから、まじめに頷かないでほしい。
見るとさっきまでビクビクしてた女の子たちも、どんな顔をしていいのかわからず、顔をムニムニさせている。
「ねぇ、それって髪を引き抜くからじゃないの? 見てて心配してたのよ? そんなことしてたら頭皮を痛めるから」
グローリアちゃん、まじめにアドバイスするのやめて。
笑うから!
「毛根がついていないと、その分髪の量がいるの。髪は有限だしどうしても」
「うーん。それは深刻ね」
毛根と禿げの関係について、深刻に議論するグローリアちゃんとエリヴィラちゃんに、俺も含めてみんな毒気を抜かれてしまったもよう。
「とにかく、呪いなんて怖くないわ。エリヴィラさんが呪いに詳しいなら、いろいろ教えてほしいぐらいよ。知っていれば防ぐ方法もわかるようになるもの」
「すいません。私が習ったのはゴーレム術だけなんです。呪いについては家にも、もう何も残ってなくて」
「あら、残念」
本当に残念だ。
敵を知り己を知ればなんとやらって言うのに。
……いや、まず己を知れてないんだけど。
俺の解呪って、どうなの?
発動条件すらよくわからん。
「みんな、私のために、怒ってくれてありがとう。少し誤解があったからこんなことになってしまったけれど、その気持ちはうれしいわ」
さて、今のうちに纏めてしまおう!
誤解でだっれも悪くないし~ってことなら、わだかまりも残りにくいだろうし。
「はい……」
「ごめんなさい。エリヴィラさん」
「ごめんね」
「すみませんでした」
うんうん、やっぱりお嬢様方。
擦れてなくて素直だなぁ。
……素直すぎてちょっと心配になるぐらいだ。
「それから、エリヴィラさん」
次は君の番だ。
「かかわらないでとほおっておいてとか、あんな風に言っちゃダメ」
「私は別に、いつものことだわ」
「今まではそうだったかもしれないけど、今は違うわ。誤解されたままでいいのはあなただけよ? 私はいやだし、みんなも困るの」
「どうしてみんなが……」
「今日ちゃんと話せなかったら、みんなはこれからも存在しない呪いにおびえ続けていたわ。あなたは何もしていない。けれどあきらめて何もしないことで知らずに加害者になっていたのよ」
「………」
エリヴィラちゃんが目を見開いて俺を見る。
「ごめんなさい」
エリヴィラちゃんはクラスのみんなの方を向いてぺこりと頭を下げる。
半分ほどかれた髪が、さらさらと流れた。
「みんなが怖がってるなんて思いもしなかった」
「そんな、こちらこそっ」
「知らなかったからって、ごめんなさいっ」
「ごめんなさい」
なんか誤り合戦になってしまったが……
これにて一件落着!
うん、これも、一生に一度は行ってみたい言葉ではあるけど、今言わないだけの分別は俺にもあります。
「もう誰も怖がらないんだから、髪下ろしてみたら?」
俺はエリヴィラちゃんの真っすぐに落ちた髪を、手ですくいあげた。
「こんなにきれいな髪なんだもの」
髪の毛食べさせたら操れるとかそんなのないって言ってたけど、万が一まだ疑ってる子がいるかもしれない。
怖くないってことは、俺が身をもって示すべき?
俺はそっと髪を唇に触れさせる。
ほーら、怖くない怖くない~。
「きっとその方が似合うわ」
「レティシ……」
「お義姉さま! 流石です!」
エリヴィラちゃんが
何か言う前に、弾丸のようにグローリアちゃんが飛びついてきた。
みぞおちに。
「ぐふっ」
「見事な仲裁でしたわ! 見惚れてしまいました!!」
「そ、そうかしら」
手放しに褒められるのは、くすぐったいけど気分いいなぁ。
「でも、無理はいけません! 頭を打っているんですから、安静に! さぁ、保健室に戻りましょう! さぁさぁさぁ!!」
もう平気なんだけど……今回の功労者であるグローリアちゃんに心配かけるのもな。
「そうね。保健室でおとなしくしましょ。それじゃあみなさん、また明日」
「いーきーまーすよー!」
「はいはい」
グローリアちゃんにぐいぐい手を引かれ、俺はすがすがしい気分で教室を後にした。
うん。エリヴィラちゃんたちはもう大丈夫だ。
みんな、きっと仲良くなれる。
だって、みんなあんなにいい子たちなんだから!
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