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再会した恋人
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「元気そうで良かった。あのときシルヴァは見つからなくて。だが、王族とともに捕まってはいなかったから………。薄い、希望を持っていた。」
「ブルードゥ。君こそ、私のことなど忘れて、妻子に恵まれているとばかり思っていたのに。」
「君でなければ、いらぬ。」
少し色素の抜けた髪。オレンジ色に近かった金髪は、黄色になった。
よく見れば、小じわも出来、手も荒れている。
その手を、愛おしそうにブルードゥは握りしめた。
艷やかな黒髪に白髪が混じる男の髪に、シルヴァが触れる。
「嬉しい、です。」
「今まで孤児院を?」
「はい。それがエメラルダ様の願いでした。革命で親を亡くした貴族の子や巻き込まれて家族を失った子を保護してほしいと。そのために私は生き延びたのです。殿下は市井で偶然見つけたのです。粗末な布に包まれてうち捨てられ、衰弱して死んでしまったようでした。私が見間違える筈はありません。幸いまだ生きており、なんとか元気に………。殿下が捨てられたタイミングは王政に戻った前後のいつか分かりませんでした。だから、私はそのまま、殿下を孤児として育てたのです。」
「クリストファ様が探していたのは知らなかったのか?」
「ええ。だから、クリストファ様が殿下を連れて行った時に初めて知りました。そういうことなら、もっと早くお城にお連れすればよかった。冒険者として苦労することもなく、迷いなくクリストファ様と結ばれていたでしょうに………。」
おかしい。
触れはかなり広く出していたはずなのに。
もしかして………シルヴァの周りに………。
彼の身に何かあったら!
私は!!
「シルヴァ。俺の妻になってくれないだろうか。」
「え………。私、もう、年です。シワもあるし、肉も見えないとこは垂れてるし、御子も産めないと思います……!」
悲しそうに目を伏せるかれを抱きしめる。
「君がいればそれでいい。後悔したくないのだ。」
「はい………。」
喜んで。
シルヴァの瞳から喜びの涙が溢れた。
「ブルードゥ。君こそ、私のことなど忘れて、妻子に恵まれているとばかり思っていたのに。」
「君でなければ、いらぬ。」
少し色素の抜けた髪。オレンジ色に近かった金髪は、黄色になった。
よく見れば、小じわも出来、手も荒れている。
その手を、愛おしそうにブルードゥは握りしめた。
艷やかな黒髪に白髪が混じる男の髪に、シルヴァが触れる。
「嬉しい、です。」
「今まで孤児院を?」
「はい。それがエメラルダ様の願いでした。革命で親を亡くした貴族の子や巻き込まれて家族を失った子を保護してほしいと。そのために私は生き延びたのです。殿下は市井で偶然見つけたのです。粗末な布に包まれてうち捨てられ、衰弱して死んでしまったようでした。私が見間違える筈はありません。幸いまだ生きており、なんとか元気に………。殿下が捨てられたタイミングは王政に戻った前後のいつか分かりませんでした。だから、私はそのまま、殿下を孤児として育てたのです。」
「クリストファ様が探していたのは知らなかったのか?」
「ええ。だから、クリストファ様が殿下を連れて行った時に初めて知りました。そういうことなら、もっと早くお城にお連れすればよかった。冒険者として苦労することもなく、迷いなくクリストファ様と結ばれていたでしょうに………。」
おかしい。
触れはかなり広く出していたはずなのに。
もしかして………シルヴァの周りに………。
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「え………。私、もう、年です。シワもあるし、肉も見えないとこは垂れてるし、御子も産めないと思います……!」
悲しそうに目を伏せるかれを抱きしめる。
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「はい………。」
喜んで。
シルヴァの瞳から喜びの涙が溢れた。
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