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聖なるものと魔のもの

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「どういうこと!?なんなの??」


「アイビッシュ様、私は院長の元彼でこの国の騎士団長を務めているブルードゥです!」

「元…っ!こっ!!」

シルヴァが顔を真っ赤にして慌てる。


「殿下は呪われているのです!あなたに無体を働いたのは呪いのせい!かつてこの国の王族を狙ったものはまだどこかでのうのうとしております!その者の呪いのせいなのです!」


呪い?


呪いでああなるの???


蹲って、殺してくれ、殺してくれと懇願する男。



俺のこと、欲しいって。

愛してる、って言ったのは本当の気持ちだと思う。


今、あんなに苦しんでいるのは。




俺を、殺したくないから。


これ以上俺に、酷いことをしたくないから。





『アイビー。ご飯が出来たよ~。はい、あーん。はちみつたっぷりのパンケーキ、おいしい?』

『なんか手、赤く腫れてるんだけど…。』

『ああ~。ちょっとはちみつ獲るのに失敗しちゃって、刺されちゃった。』

『ばか!アナフィラキシーショックで死ぬ奴もいるんだぞ!』

『……だって。俺のせいで喉痛そうだから…。どうしても欲しかったんだよ。』




『アイビー。ごめんね。いつも酷いことして…。本当はこんなことしたくない。』

『だから、毎回俺のこと抱っこして一緒に風呂に入ってんの?』

『指動かすのもだるいでしょう?』

『お前が絶倫すぎるんだよ…。ていうか、抱きしめんな。あまえんぼだな、お前。』




『アイビー、この花も、空も、海も、仮初だけど。君のためだけに創ったんだ。もう二度と失いたくない。君がさらわれて………。殺されてるかも…って。光が消えたみたいだった。でも、生きてるって信じてたんだ。』



あんなに酷いこともされたのに。

一緒にいた2週間、とっても優しくて。俺を愛してくれたこともまた事実なんだ。



優しい笑顔が。

あたたかい声が。


「うう、こうなっては仕方ない。殿下……!申し訳ありませんっ!!!!」

ブルードゥ団長が剣を振り下ろそうとする。




「待って!!!!!!!!!!!!!!」



その前に、祈らせて。



生まれて初めて、真剣に祈った。

――――――せめて、苦しみから解放されますように――――――――




「これ、は…っ。」

シルヴァが驚愕する。





アイビーの体が白く発光し、クリストファを包む。




それは、まさに。魔と真逆の、聖なる者。

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