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ユース戸惑う

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学園を卒業し、神殿の中で暮らすカルディと大神官として職務をしている僕は、彼と会える時間が増えると思いきや、距離は近いはずなのに、なかなか会えない現実に、内心しょんぼりしていた。

グラディウスは、刑罰に服する代わりに、彼しかできない社会奉仕をしている。
それは各地の教会経由で報告が上がってくるが、さすがに心を入れ替えたのか、彼は悪魔憑きを見つけたり、モンスターを見つけては駆除を頑張っているようだ。


勇者であり、罪人。
報酬として、一切の生活費は神殿経由で国が負担している。


彼は確かに勇者であり、魔物を浄化する武器を与えれば、確かな仕事をする。
もっと早く…。自分を省みてくれたらよかったのに。


遅くに出来た子どもで伯爵は甘やかしすぎたのだろう。
伯爵自体も今思えば善人とは言い難かったが、そんな遺伝子に刻まれた素養に加えて甘やかしで膨張した性格は、資質はどうであれ、『悪』でしかなかった。




世の中は確実に平和な時代に向かっていて、忌避されていたデイユの民も今では国に増えた。
デイユ産の野菜は美味しいし、花々も美しい。
美しい泉のある楽園として、今では認識されている。

神殿の一室では、カルディが忙しそうにパタパタしている。
こちらへ来たい者の入国手続きやコーディネート、輸出の調整、向こうに行きたい者の手続きなど、彼の仕事は多彩で、いつか倒れないか心配になる。

そして僕もまた、各拠点からの報告を受けたり、訪れた人との謁見、書類仕事…と、大神官の仕事は山ほど。



学生時代の方が会えてたよ!


時間的には同じ建物の中にいる時間は長いはずなのに、顔を見たり会話ができる時間が少ない…!




なのに、たまに会うと…。




「カルディ。今日は午前の仕事が綺麗に終わったんだ、一緒にランチにしよう。」


「あっ。う、うん…。」


なんで可愛い顔を書類で隠しちゃうの?


「今日のランチはシチューにしようかなぁ。」

「うん。」


どうして、目をあわせてくれないの?



なんか、嫌われるようなことしただろうか。




「カルディ。僕たち、結婚するんだよね。僕のこと、嫌になった?」

「まっ、まさか!!」


びっくりした顔で目があった。

よかった。


「結婚式の衣装、一応縫いあがったから、試着してって言われているんだ。今度、一緒の日に休みをとりたいんだけど、カルディはいつなら大丈夫そう?こっちはそれに合わせるよ。」



カルディは緊張しているみたい。


世にいうマリッジブルーなんだろうか。

こんなとき、どうしてあげたらいいのかなぁ。

ミシュラン様は結婚していないから、分からないと言われてしまった。
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