30 / 45
ユース戸惑う
しおりを挟む
学園を卒業し、神殿の中で暮らすカルディと大神官として職務をしている僕は、彼と会える時間が増えると思いきや、距離は近いはずなのに、なかなか会えない現実に、内心しょんぼりしていた。
グラディウスは、刑罰に服する代わりに、彼しかできない社会奉仕をしている。
それは各地の教会経由で報告が上がってくるが、さすがに心を入れ替えたのか、彼は悪魔憑きを見つけたり、モンスターを見つけては駆除を頑張っているようだ。
勇者であり、罪人。
報酬として、一切の生活費は神殿経由で国が負担している。
彼は確かに勇者であり、魔物を浄化する武器を与えれば、確かな仕事をする。
もっと早く…。自分を省みてくれたらよかったのに。
遅くに出来た子どもで伯爵は甘やかしすぎたのだろう。
伯爵自体も今思えば善人とは言い難かったが、そんな遺伝子に刻まれた素養に加えて甘やかしで膨張した性格は、資質はどうであれ、『悪』でしかなかった。
世の中は確実に平和な時代に向かっていて、忌避されていたデイユの民も今では国に増えた。
デイユ産の野菜は美味しいし、花々も美しい。
美しい泉のある楽園として、今では認識されている。
神殿の一室では、カルディが忙しそうにパタパタしている。
こちらへ来たい者の入国手続きやコーディネート、輸出の調整、向こうに行きたい者の手続きなど、彼の仕事は多彩で、いつか倒れないか心配になる。
そして僕もまた、各拠点からの報告を受けたり、訪れた人との謁見、書類仕事…と、大神官の仕事は山ほど。
学生時代の方が会えてたよ!
時間的には同じ建物の中にいる時間は長いはずなのに、顔を見たり会話ができる時間が少ない…!
なのに、たまに会うと…。
「カルディ。今日は午前の仕事が綺麗に終わったんだ、一緒にランチにしよう。」
「あっ。う、うん…。」
なんで可愛い顔を書類で隠しちゃうの?
「今日のランチはシチューにしようかなぁ。」
「うん。」
どうして、目をあわせてくれないの?
なんか、嫌われるようなことしただろうか。
「カルディ。僕たち、結婚するんだよね。僕のこと、嫌になった?」
「まっ、まさか!!」
びっくりした顔で目があった。
よかった。
「結婚式の衣装、一応縫いあがったから、試着してって言われているんだ。今度、一緒の日に休みをとりたいんだけど、カルディはいつなら大丈夫そう?こっちはそれに合わせるよ。」
カルディは緊張しているみたい。
世にいうマリッジブルーなんだろうか。
こんなとき、どうしてあげたらいいのかなぁ。
ミシュラン様は結婚していないから、分からないと言われてしまった。
グラディウスは、刑罰に服する代わりに、彼しかできない社会奉仕をしている。
それは各地の教会経由で報告が上がってくるが、さすがに心を入れ替えたのか、彼は悪魔憑きを見つけたり、モンスターを見つけては駆除を頑張っているようだ。
勇者であり、罪人。
報酬として、一切の生活費は神殿経由で国が負担している。
彼は確かに勇者であり、魔物を浄化する武器を与えれば、確かな仕事をする。
もっと早く…。自分を省みてくれたらよかったのに。
遅くに出来た子どもで伯爵は甘やかしすぎたのだろう。
伯爵自体も今思えば善人とは言い難かったが、そんな遺伝子に刻まれた素養に加えて甘やかしで膨張した性格は、資質はどうであれ、『悪』でしかなかった。
世の中は確実に平和な時代に向かっていて、忌避されていたデイユの民も今では国に増えた。
デイユ産の野菜は美味しいし、花々も美しい。
美しい泉のある楽園として、今では認識されている。
神殿の一室では、カルディが忙しそうにパタパタしている。
こちらへ来たい者の入国手続きやコーディネート、輸出の調整、向こうに行きたい者の手続きなど、彼の仕事は多彩で、いつか倒れないか心配になる。
そして僕もまた、各拠点からの報告を受けたり、訪れた人との謁見、書類仕事…と、大神官の仕事は山ほど。
学生時代の方が会えてたよ!
時間的には同じ建物の中にいる時間は長いはずなのに、顔を見たり会話ができる時間が少ない…!
なのに、たまに会うと…。
「カルディ。今日は午前の仕事が綺麗に終わったんだ、一緒にランチにしよう。」
「あっ。う、うん…。」
なんで可愛い顔を書類で隠しちゃうの?
「今日のランチはシチューにしようかなぁ。」
「うん。」
どうして、目をあわせてくれないの?
なんか、嫌われるようなことしただろうか。
「カルディ。僕たち、結婚するんだよね。僕のこと、嫌になった?」
「まっ、まさか!!」
びっくりした顔で目があった。
よかった。
「結婚式の衣装、一応縫いあがったから、試着してって言われているんだ。今度、一緒の日に休みをとりたいんだけど、カルディはいつなら大丈夫そう?こっちはそれに合わせるよ。」
カルディは緊張しているみたい。
世にいうマリッジブルーなんだろうか。
こんなとき、どうしてあげたらいいのかなぁ。
ミシュラン様は結婚していないから、分からないと言われてしまった。
13
お気に入りに追加
359
あなたにおすすめの小説
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
【完結】寝る前に自家発電して下半身丸出しのまま眠ってしまった俺が、朝起こしに来た幼なじみに美味しく頂かれてしまう話
ルコ
BL
「ん、んんっ?んあぁぁぁっ??!」
俺、須藤 芽生(すどう めい)16歳。
朝、目が覚めたらなにやら下半身(局部)が湿った温かい何かに包まれていて、しかも時折絡み付くように吸引されている?
ん~尋常じゃないほど気持ちいい・・・も、もしや、俺、フェラチオされちゃってる?!えっ、えっ??夢にまで見たフェラ初体験中??!
う~む、あり得ない。ならこれはやっぱり夢か?夢だよな??夢にまで見ちゃってるんだよ。て事は俺の欲望が反映されているはずで・・・なら、今俺のモノを咥えているのは、昨日寝る前に自家発電のおかずにしたエロ動画「せーえきごっくん♡まりあちゃん♡♡」のまりあちゃんだろ?!あぁ・・・まりあちゃんが俺のを・・・
そう思って目を開けると、俺のチンコを咥えていたのは幼なじみの瀬名 樹(せな いつき)だった。
ーーーーーーーーー
タイトルそのまんまです!
R18には*を付けます。て、ほぼ付いてますねw
三万字くらいの短編です(番外編を入れると四万字くらい?)。勢いだけで書きました。
失恋相手に優しく抱かれちゃいました & 無自覚で鈍感な後輩に煽られまくっています
波木真帆
BL
<受け視点>
僕、松坂瑛(まつざかあきら)は同じ営業部の岬(みさき)先輩に入社以来、5年間片思いしている。
スーツの似合う長身イケメンの先輩を見ているだけで幸せだったのに……どうやら先輩に婚約者ができたらしい。
失恋のショックで茫然としていた僕に何も知らない岬先輩が声をかけてくれて悩みがあるなら聞いてやると何故か二人で飲みに行くことに。
お酒の入った僕はとんでもないお願いをしてしまって……。
<攻め視点>
俺、岬響也は新入社員で入ってきた松坂瑛の教育係。表裏がなく笑顔の可愛い瑛にもうメロメロだ。
だが、古い体制の会社では同性同士付き合うことなど認められそうにない。俺は瑛を守りながら、起業することを決意した。それから5年、愚かな上層部たちに辞職願を叩きつけ、瑛に思いを伝えようと飲みに誘うと、瑛は泣きながら俺が好きだから思い出に抱いて欲しいと言ってきて……。
※こちらは
『失恋相手に優しく抱かれちゃいました』の 響也視点のお話です。
受けが攻めに恋しているお話が読んでみたいとリクエストをいただいたのでちょこっと書いてみました。
※システム改定のため、受け攻め視点を纏めてみました。
こちらもせっかくなのでその後の二人を書きたいなと思っています。
R18には※つけます。
王子様の愛が重たくて頭が痛い。
しろみ
BL
「家族が穏やかに暮らせて、平穏な日常が送れるのなら何でもいい」
前世の記憶が断片的に残ってる遼には“王子様”のような幼馴染がいる。花のような美少年である幼馴染は遼にとって悩みの種だった。幼馴染にべったりされ過ぎて恋人ができても長続きしないのだ。次こそは!と意気込んだ日のことだったーー
距離感がバグってる男の子たちのお話。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
召喚先は腕の中〜異世界の花嫁〜【完結】
クリム
BL
僕は毒を飲まされ死の淵にいた。思い出すのは優雅なのに野性味のある獣人の血を引くジーンとの出会い。
「私は君を召喚したことを後悔していない。君はどうだい、アキラ?」
実年齢二十歳、製薬会社勤務している僕は、特殊な体質を持つが故発育不全で、十歳程度の姿形のままだ。
ある日僕は、製薬会社に侵入した男ジーンに異世界へ連れて行かれてしまう。僕はジーンに魅了され、ジーンの為にそばにいることに決めた。
天然主人公視点一人称と、それ以外の神視点三人称が、部分的にあります。スパダリ要素です。全体に甘々ですが、主人公への気の毒な程の残酷シーンあります。
このお話は、拙著
『巨人族の花嫁』
『婚約破棄王子は魔獣の子を孕む』
の続作になります。
主人公の一人ジーンは『巨人族の花嫁』主人公タークの高齢出産の果ての子供になります。
重要な世界観として男女共に平等に子を成すため、宿り木に赤ん坊の実がなります。しかし、一部の王国のみ腹実として、男女平等に出産することも可能です。そんなこんなをご理解いただいた上、お楽しみください。
★なろう完結後、指摘を受けた部分を変更しました。変更に伴い、若干の内容変化が伴います。こちらではpc作品を削除し、新たにこちらで再構成したものをアップしていきます。
腐男子ですが、お気に入りのBL小説に転移してしまいました
くるむ
BL
芹沢真紀(せりざわまさき)は、大の読書好き(ただし読むのはBLのみ)。
特にお気に入りなのは、『男なのに彼氏が出来ました』だ。
毎日毎日それを舐めるように読み、そして必ず寝る前には自分もその小説の中に入り込み妄想を繰り広げるのが日課だった。
そんなある日、朝目覚めたら世界は一変していて……。
無自覚な腐男子が、小説内一番のイケてる男子に溺愛されるお話し♡
『ユキレラ』義妹に結婚寸前の彼氏を寝取られたど田舎者のオレが、泣きながら王都に出てきて運命を見つけたかもな話
真義あさひ
BL
尽くし男の永遠の片想い話。でも幸福。
ど田舎村出身の青年ユキレラは、結婚を翌月に控えた彼氏を義妹アデラに寝取られた。
確かにユキレラの物を何でも欲しがる妹だったが、まさかの婚約者まで奪われてはさすがに許せない。
絶縁状を叩きつけたその足でど田舎村を飛び出したユキレラは、王都を目指す。
そして夢いっぱいでやってきた王都に到着当日、酒場で安い酒を飲み過ぎて気づいたら翌朝、同じ寝台の中には裸の美少年が。
「えっ、嘘……これもしかして未成年じゃ……?」
冷や汗ダラダラでパニクっていたユキレラの前で、今まさに美少年が眠りから目覚めようとしていた。
※「王弟カズンの冒険前夜」の番外編、「家出少年ルシウスNEXT」の続編
「異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ」のメインキャラたちの子孫が主人公です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる