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おかしな旦那様(sideティア)
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平民出身。冒険者で名をあげ、爵位をもらい、騎士団の要職に就き。
英雄として名を馳せた彼は、若干25歳にして騎士団長にまで登り詰めた。
たたき上げの男。
正直、彼ならばひとところの国で重用されなくても、自由な冒険者で十分な財産は築いただろうし(この屋敷だってこの国の元国王夫妻の別荘だったって聞く。めちゃくちゃ高かったはず!)、貴族社会に組み込まれなければ、国王貴族に睨まれることもなく、あれだけのハンサム………女だってより取り見取りだったはずで。
子も産めない男の僕を唯一の妻として娶らされることもなかったのに。
なぜあえてこの国の騎士団長になんてなったのか、不思議な人だ。
それに、この家の使用人は侯爵家の使用人と比べてもレベルが高い。
元々旦那様の冒険者仲間だと聞くけれど、旦那様もそうだけど……とても平民とは思えない。
一流の冒険者は貴族とのかかわりも多いから、下手な貴族よりもよっぽどマナーができているというけれど、それにしたって…。
本当に彼は平民なのだろうか。
どこかの高位貴族のご落胤と言われた方がしっくりくる。
それとも敵に追いやられて没落または追放された貴族?
「まぁいいや、僕も人のことは言えないし…。」
向こうは不用品の僕を押し付けて、陛下に恩義も売れたし、せいせいしているだろう。
僕は僕で幸せになろう。
そして、復讐を。
「ね、リュージュお母様。」
弔うことも許されなかった亡き母に祈りを捧げ、僕は睡魔の波に攫われる。
天井では精霊の光たちが、僕を見守る。
あー。このベッド、ふっかふかで気持ちいい…。
英雄として名を馳せた彼は、若干25歳にして騎士団長にまで登り詰めた。
たたき上げの男。
正直、彼ならばひとところの国で重用されなくても、自由な冒険者で十分な財産は築いただろうし(この屋敷だってこの国の元国王夫妻の別荘だったって聞く。めちゃくちゃ高かったはず!)、貴族社会に組み込まれなければ、国王貴族に睨まれることもなく、あれだけのハンサム………女だってより取り見取りだったはずで。
子も産めない男の僕を唯一の妻として娶らされることもなかったのに。
なぜあえてこの国の騎士団長になんてなったのか、不思議な人だ。
それに、この家の使用人は侯爵家の使用人と比べてもレベルが高い。
元々旦那様の冒険者仲間だと聞くけれど、旦那様もそうだけど……とても平民とは思えない。
一流の冒険者は貴族とのかかわりも多いから、下手な貴族よりもよっぽどマナーができているというけれど、それにしたって…。
本当に彼は平民なのだろうか。
どこかの高位貴族のご落胤と言われた方がしっくりくる。
それとも敵に追いやられて没落または追放された貴族?
「まぁいいや、僕も人のことは言えないし…。」
向こうは不用品の僕を押し付けて、陛下に恩義も売れたし、せいせいしているだろう。
僕は僕で幸せになろう。
そして、復讐を。
「ね、リュージュお母様。」
弔うことも許されなかった亡き母に祈りを捧げ、僕は睡魔の波に攫われる。
天井では精霊の光たちが、僕を見守る。
あー。このベッド、ふっかふかで気持ちいい…。
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