王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

ウインター王国

精霊の焦り

ルカが生まれて、レナードもいいお父さんだし。
アレックスは毎日幸せそう。

よかった！


精霊スカイと精霊アークは幸せいっぱいで、昼寝をしているアレックスの周りに漂う。

〈ふふ、赤ちゃんかわいい。〉


そこにふんわりとレナードの香りが来た。

レナードは愛しげにアレックスを抱き上げると、突然彼らを籠に入れて封じてしまう。

〈きゃ！何するの〉

〈スカイ、この中力が使えない。魔法が封じられてる！〉

〈こんなことレナードはしない！誰なの〉


レナードは嗤った。

「姉さん、あとは任せたよ？レナードを慰めてね。」

「任せて！貴方はいい弟だわ！」




精霊は籠で見ているしかできなくて、歯がゆい。

母親が連れていかれることに気づいて泣くルカを慰めることができない。


大丈夫。

レナードはこんな女を相手にしない。




レナード！早く来て！






「ああ、やっとひと段落………」

背伸びをして、レナードは愛するアレックスとルカのいる部屋に向かう。

「レナード様またですか？愛されてアレックス様とルカ様は幸せですね。」

すれ違いざまに侍従に言われ、首を傾げる。


また？




「わあん！ああん！」

「ああもう！どうすれば泣き止むのよ！」

ルカの泣き声にあの女の声。

嫌な予感がして部屋を開けると、アレックスがいない。

代わりにいるのは吹雪。


泣くルカを抱いて、こちらを見ていた。


獲物を見つけたような顔で。