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あの日愛した君は隣の女とは別人だった

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ファンファーレが鳴り響き、会場に僕たちの仲間が入ってくる。



「まあ、この国は美男美女が多いのですね。」

諸外国の王族のレディが感嘆のため息を漏らした。



騎士の人、侍女たちも今日は本当の姿で出仕している。





「………??なんかおかしいぞ。」

ミラー王子は眉をひそめた。


「??」

エリザベートも会場を見渡す。




美男美女で溢れた空間で、お互いの美貌も魅力的に映らなくなった。


<あれ?この人こんなもんだったっけ?>

とお互いに感じる。

さっきまで互いにときめいていたというのに、すっかり色あせてしまった。




そんな中で、一番の美形カップルが目に映る。

黒のドレスシャツをつけているプラチナブロンドの天使が、エメラルドグリーンの正装の黒髪の美男子にエスコートされている。

装飾は上品で、どこかの王族だろうか。




プラチナブロンドの天使を見て、ミラー王子は、あっ!、と行儀悪く大きな声をあげた。





この国の陛下パパには反対勢力があるらしく、ミラー王子は子どもの頃からとにかく命を狙われた。

誘拐されたり、馬に跳ねられそうになったり、池に落とされそうになったり。

そのたびに誰かが助けてくれたのだが、ある日、ミラーはその誰かの顔を見た。

プラチナブロンドで瞳はエメラルドグリーンだった。


そして、なんともいえない美しさを持った子だった。


男の子か女の子かもわからない。

顔を赤らめてぼーっとしていると、その子は慌てて消えてしまった。



その後で、似たような色合いのエリザベートが現れて、てっきりエリザベートがその子だと思っていた。

昔私を助けてくれたよね?って聞いたら、そうだって言ってたのに。



本物を見ればすぐわかる。

アレはあの子だ!


こんな薄汚い嘘つき女じゃない!!



「エリザベート!!!お前、私を謀ったな!昔、私を助けたって嘘だったんだな!私を助けてくれたのは、あそこの黒のドレスシャツの子だ!お前なんか、婚約破棄だ!私の妃はあの子だ!」


「何よ!助けたなんて一言も言ってないし、肯定してないわよ!意味わからないことを言うから愛想笑いをしただけじゃないの!」


「それは肯定だと見えるんだ!とにかく、お前とは無しだ!」

エリザベートを突き飛ばして、ミラーがハイリたちの下へ駆け下りてきた。




その様子を見て、グレーとハイリはにやりと笑った。
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