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スミス=スワン

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スミス=スワン。

スワン公爵家の次男。


黒髪黒瞳の眼鏡っ子。

華やかなタイプじゃないけど、よく見れば顔立ちは可愛いと思う。

騎士団に所属しているとはいえ事務官で、文官扱い。
文官としての就職先に騎士団を選んだだけで、本人は全く戦えない。
どうやら学園時代の友達が騎士団だったらしく、友達にあわせたようだ。

とはいえ、公爵家で魔力は高い。
聖女を輩出する家系のため、支援系や補助系が得意。



身長は160あるかどうか怪しいところで、アーサーと並ぶとちょうどいい身長差…。


そう、ちょうどいい…。


事務官としてもまじめで優秀。


そして、彼はオメガだ。




(本当はあんな風な子がアーサーには似合うのかな…。アーサーの本当の性格は陛下に近いんだもんね。弱気で俺がついてなきゃダメなアーサーは本当じゃなくて、アーサーは本当は自分からぐいぐいいくタイプなんだ。だってDV受けてた人妻の俺を、加害者の夫から救おうとしていたくらいなんだから…。守られるお姫様じゃなくて、お姫様を守りたい王子様なんだ…。)

どうしよう、胸が苦しい。


アーサーの俺に対する愛は揺るがないって思う。

だけど、アーサーなら側妃を持てる。


従弟で公爵家の令息のオメガなら、だれも反対しない。


フローラ王国の王女みたいに運命の番ってだけの悪女じゃない。

アーサーが惹かれても仕方ない。







「どうされましたか、王太子妃様。騎士団の視察ですか?」

物陰から騎士団を見ていたら、声を掛けられた。

茶色の髪と目でなかなか体格が良い若い騎士。

(たしかこいつは辺境伯のところの三男で次代の騎士団長候補。今は副団長で……スミス=スワンの友人、か。)


集中していたとはいえ、気配を察知させないなんて、こいつ出来る。


「……や。彼、事務だろ?事務でも現場に来るんだなって思って。」


「ああ!スミスですね。スミスは昔から豆というか。発注した備品に不具合がないか確認してるんですよ。俺たち一人ひとりの癖に合わせて、扱いやすいように剣の重心を変えさせたり…。本当に気がつくんです。」

頬を染めて目を細める。


「あんなに小柄なのにいつも一所懸命で。負けてられませんよね。」





俺は何をやってるんだろう。

アーサーを信じてるはずなのに。

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