真面目な近衛騎士は借金返済のために雄っぱぶ嬢になりました。

番外編

前侯爵の顛末

「ですから、父上は丘の上の別荘で安心してご隠居ください。」

私から立場を奪った息子は、息子だった男の肩を抱いて、私にニッコリと微笑む。

丘の上の別荘って！


あそこは自然が豊かなだけで何にもないんだぞ！

長年誰も使っていなかったじゃないか！

いつか売るんだろうとしか思っていなかったのに。


「ガーデニングは楽しいらしいですよ？何にも考えずに暮らせます。釣りもできるし、料理を極めるのもいいのでは？早寝早起き、田舎暮らし。健康になりますね。」

「ちょっと待て。お前まさか私に使用人をつけないつもりか?!」

「必要最小限はつけますよ、近くの村人から雇います。２人いれば充分かな。父上が一人で外出したら危ないですからね。腕の立つ者で身のまわりの世話が出来る人材を選びましょう。」

「お前、それは見張りのつもりか！」


「父上のためです。公式には王家が出した美談風になりましたが、社交会では父上は、婚約を解消したがっている婚約者を無理矢理嫁がせた挙句、産まれた子どもを虐げた男ですからね？」

「リヴァ！元はといえばお前がっ！」


第一夫人にしてやった恩も忘れて！
田舎貴族風情が！

嫁入りのときは処女だったのに、いつの間に浮気を……。



リヴァのわたしを見る目は冷たい。

いや、リヴァだけではない。

なんで………。