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学園時代(兄サイド)
嫌われ者の公爵令息
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「フレイム様って南の領主ですよね、僕、昔、親と旅行で行ったことがあるんですよ!」
「ああ、そう。ありがとう」
「フレイム様と魔法実技の講習で同じグループなんて、感激です!」
転入そうそう、煩わしいヤツにまとわりつかれた。
実家が高位であるから、こういうヤツに纏わりつかれることは日常茶飯事だ。
別に俺に人気があるからではない、俺の家にすりよりたいだけだ。
ーーーーー今から始まる、魔法実技。
要は、魔力を使った模擬戦闘の教科とのことだった。
今日は、学園の裏にある山の方で、教師の作ったゴーレムとの戦闘を班ごとで行うらしい。
個の力だけではなく、判断力、連携が総合的にチェックされる。
山には、それなりに水量のある川が流れ、確か上流にはダムもあったはずだ。
地形も頭に入れておかなくては。
同じグループの同級生Aは、親が軍部にいてなんちゃら大佐というとかなんとか。
自慢げに家は伯爵位と聞くし、太鼓持ちのような取り巻きを2人従えていた。
戦闘には自信があるようで、鼻の穴が膨らんでいる。
嫌いなタイプだ。
窓辺の席の彼はというと、講習には参加しないようで、実技用のボディスーツに着替えることなく、離れた木陰でこちらを眺めていた。
「彼は、どこか悪いのか?」
「ああ、リュウ=シータ=ユプシロンですか。」
Aが、とりまきB,Cと思わせぶりに視線をあわせて、ニヤッとしながら肩をすくめた。
「彼はユプシロン家の公爵令息ですから、だれも何も言えませんけどね。彼が実技に参加したことは一度もないです。というか、魔力を使って何かをしたのを見たこともないですよ。」
ここだけの話ですけど、高位の貴族なのに魔力が使えないなんて恥もいいとこだから、体が弱いふりをして、使わないんじゃないかって噂なんですよ。
と耳打ちしてきた。
「そのくせ座学は学年1位だし。医師免許とかいろんな資格もとりまくってるし。飛び級でとっくに卒業できるのにしないし。綺麗な顔してお高く留まって、だれとも交流しようとしないし。こう言っては何ですけど、鑑賞品くらいに思ってかかわらないほうがいいですよ。」
胸糞悪い…。
ピーーーー!
教師の号令で集まる。班ごとに戦闘エリアに別れ、土くれで創造できたゴーレムが配置された。
さぁ、時間だ。
C(名前はカリム)は回復系、B(アクロス)は速度増加などと支援系、A(サンディ)は雷属性か。
持ち場は川の近くだった。
なるほど。
ゴーレムは俺たちの5倍くらいの体長があるが、持ち場の場所は木々が集中していないため、かろうじて動きには支障がないようで、こっちににじりよってくる。
意外と、動きは遅くない。
ガッ!
繰り出した右手が大地に突き刺さる。
さっとよけたが、
「ぐぇ!」
サンディにかすったようだ。
すぐにカリムに回復させている。
おいおい、そのくらいで回復させるなよ。
「フレイムさま、油断しましたが、こんなやつ、すぐ倒して見せますよ!」
そういうと、アクロスに速度強化をさせ、真正面から突っ込んでいく。
カリムはなぜかずっと回復魔法を繰り返している。
おい、まさか、いつもこうなのか?
「サンダー・ショット~!」
ゴーレムの攻撃に全部当たりながら、その胸をめがけて雷撃を打ち込んだ。
プシュ!
『グォオオオオオッ!』
ゴーレムは叫び声をあげて、胸元に煙をあげたが…
ガッ!
両こぶしを前で合わせ、怒ったように雄たけびをあげた。
「なんで?相当なダメージのはずだ!! こいつ、レベルが高いのか?」
違う、土属性のゴーレムに雷撃を受けても相性が悪いんだ。
雷撃をするなら、川に落としてやればいいのに。
そう思ってみていると、躍起になったサンディが雷撃を乱発している。
「くそっ、くそおっ!!」
「サンディ様!」
アクロスが速度増加を重ねがけ。
ゴーレムは雷撃を腕ではじいていたが、体制を若干崩し、はじいた雷撃が……
(まずい・・・!
『グアアァアアア
「え!? ああぁ!! 」
「ぎゃあああああああ!
「ひいい!!!
ダムの壁にぶちあたり、決壊した。
「ああ、そう。ありがとう」
「フレイム様と魔法実技の講習で同じグループなんて、感激です!」
転入そうそう、煩わしいヤツにまとわりつかれた。
実家が高位であるから、こういうヤツに纏わりつかれることは日常茶飯事だ。
別に俺に人気があるからではない、俺の家にすりよりたいだけだ。
ーーーーー今から始まる、魔法実技。
要は、魔力を使った模擬戦闘の教科とのことだった。
今日は、学園の裏にある山の方で、教師の作ったゴーレムとの戦闘を班ごとで行うらしい。
個の力だけではなく、判断力、連携が総合的にチェックされる。
山には、それなりに水量のある川が流れ、確か上流にはダムもあったはずだ。
地形も頭に入れておかなくては。
同じグループの同級生Aは、親が軍部にいてなんちゃら大佐というとかなんとか。
自慢げに家は伯爵位と聞くし、太鼓持ちのような取り巻きを2人従えていた。
戦闘には自信があるようで、鼻の穴が膨らんでいる。
嫌いなタイプだ。
窓辺の席の彼はというと、講習には参加しないようで、実技用のボディスーツに着替えることなく、離れた木陰でこちらを眺めていた。
「彼は、どこか悪いのか?」
「ああ、リュウ=シータ=ユプシロンですか。」
Aが、とりまきB,Cと思わせぶりに視線をあわせて、ニヤッとしながら肩をすくめた。
「彼はユプシロン家の公爵令息ですから、だれも何も言えませんけどね。彼が実技に参加したことは一度もないです。というか、魔力を使って何かをしたのを見たこともないですよ。」
ここだけの話ですけど、高位の貴族なのに魔力が使えないなんて恥もいいとこだから、体が弱いふりをして、使わないんじゃないかって噂なんですよ。
と耳打ちしてきた。
「そのくせ座学は学年1位だし。医師免許とかいろんな資格もとりまくってるし。飛び級でとっくに卒業できるのにしないし。綺麗な顔してお高く留まって、だれとも交流しようとしないし。こう言っては何ですけど、鑑賞品くらいに思ってかかわらないほうがいいですよ。」
胸糞悪い…。
ピーーーー!
教師の号令で集まる。班ごとに戦闘エリアに別れ、土くれで創造できたゴーレムが配置された。
さぁ、時間だ。
C(名前はカリム)は回復系、B(アクロス)は速度増加などと支援系、A(サンディ)は雷属性か。
持ち場は川の近くだった。
なるほど。
ゴーレムは俺たちの5倍くらいの体長があるが、持ち場の場所は木々が集中していないため、かろうじて動きには支障がないようで、こっちににじりよってくる。
意外と、動きは遅くない。
ガッ!
繰り出した右手が大地に突き刺さる。
さっとよけたが、
「ぐぇ!」
サンディにかすったようだ。
すぐにカリムに回復させている。
おいおい、そのくらいで回復させるなよ。
「フレイムさま、油断しましたが、こんなやつ、すぐ倒して見せますよ!」
そういうと、アクロスに速度強化をさせ、真正面から突っ込んでいく。
カリムはなぜかずっと回復魔法を繰り返している。
おい、まさか、いつもこうなのか?
「サンダー・ショット~!」
ゴーレムの攻撃に全部当たりながら、その胸をめがけて雷撃を打ち込んだ。
プシュ!
『グォオオオオオッ!』
ゴーレムは叫び声をあげて、胸元に煙をあげたが…
ガッ!
両こぶしを前で合わせ、怒ったように雄たけびをあげた。
「なんで?相当なダメージのはずだ!! こいつ、レベルが高いのか?」
違う、土属性のゴーレムに雷撃を受けても相性が悪いんだ。
雷撃をするなら、川に落としてやればいいのに。
そう思ってみていると、躍起になったサンディが雷撃を乱発している。
「くそっ、くそおっ!!」
「サンディ様!」
アクロスが速度増加を重ねがけ。
ゴーレムは雷撃を腕ではじいていたが、体制を若干崩し、はじいた雷撃が……
(まずい・・・!
『グアアァアアア
「え!? ああぁ!! 」
「ぎゃあああああああ!
「ひいい!!!
ダムの壁にぶちあたり、決壊した。
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