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バジル

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「もうすぐ学園卒業かあ。俺の自由はもう少しだな。」

一応婚約者とのデート。

ホワイトは、ポアブルを連れて遠がけを楽しんだ。


馬に乗って、草原を駆け、くさっぱらに寝転んで。
持ってきた弁当を摘む。

ポアブルの性格と今までの生活を考えると、男の子同士の遊びのほうが、彼には喜ばれると思った。

弁当は、公爵家が腕によりをかけた肉肉しい弁当。


「もうすぐで自由とかいうけど、どうするつもりなの。」

「まずお前と穏便に婚約解消。同時に就職したって言って、俺は独立する!」


甘いなあ。

今の今まで本当の性格や気持ち、嗜好を親にさえ言えなかった奴が、できるものかね。

あまり可愛く産まれたものだから、勝手にか弱いと思い込んだ親も悪いが、親の期待や思いを裏切れないと、そのまま猫をかぶり続けたポアブルも悪い。

地を見せていれば、親も受け入れただろうに。


「頑張ってくれたまえ。でも、君の卒業パーティーはエスコートさせてくれ。婚約者だからね。」


「いいぜ。お前はいい虫よけになるしな。何回断っても話が通じないゴミがいるんだよ。」

「ゴミ?」

「一応、ガキの頃から知ってるんだけどさあ、バジル=ドレッシングって言うの。俺がいくら婚約した、しあわせだ、だから付き合えないって言っても、脅されたとか本当は自分が好きとか俺を助けるとか言って聞かないんだよ。マジいやだ。」


ふうん、そんな虫がいたの………。




本当は今日の最後に渡すつもりだったけど。


ポケットから腕輪を出す。


「これ、肌身離さずつけて。」

「え、じゃま」

「邪魔言わない。私が守護の魔法かけたから、就職しても役立つし、バジルとかいう奴の虫よけにもなるから。」



「あ、ん。わかった。さんきゅ。」


全く我が婚約者は、危機感が薄くて困る。
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