66 / 84
マロンとイリス編
出来損ないの王子
しおりを挟む
「イリス!待て!」
兄王子であるマロンは、イリスを追いかける。
「王子教育なんて、俺には難しいから嫌だよ!」
「イリス!」
期待されなくなった双子の弟。
母親似の美貌は色褪せ、太り気味の割に身軽に逃げる。
今日も逃げられ、マロンはため息をついた。
「お前が出来損ないだなんて、僕は思っていないよ………、イリス。」
マロンには分かっていた。
むしろ自分よりも、イリスの方が優秀だ。
自分に王位を渡したいが為、争いを起こさないように、わざとそう振る舞っている。
弟が悪し様に言われるのは嫌だ。
悪いことをしているわけではなし、父はどんな子でも愛してくれる。
けれど………。
「ふう、兄上はうるさいからなあ。」
やっと巻いて、イリスは城の屋根にいた。
「おい。」
低い声。
振り返れば、ホワイトブロンドのマルクがいた。
幼なじみで、かつての兄貴分。
辺境伯の長男で、次期辺境伯爵。
「マルク。放っておいてくれない、………かなあ!」
オーキッド叔母さまのところのセーラ仕込みの転移魔法を発動し、逃げようとして足首を捕まえられた。
「くっ!」
「お前さ、そんなに兄貴を立てないなら、こんなことするより、俺のとこへ来いよ。」
お前の気持ちも、立場も。
俺が救い出してやるよ。
イリス、俺の嫁にこい。
兄王子であるマロンは、イリスを追いかける。
「王子教育なんて、俺には難しいから嫌だよ!」
「イリス!」
期待されなくなった双子の弟。
母親似の美貌は色褪せ、太り気味の割に身軽に逃げる。
今日も逃げられ、マロンはため息をついた。
「お前が出来損ないだなんて、僕は思っていないよ………、イリス。」
マロンには分かっていた。
むしろ自分よりも、イリスの方が優秀だ。
自分に王位を渡したいが為、争いを起こさないように、わざとそう振る舞っている。
弟が悪し様に言われるのは嫌だ。
悪いことをしているわけではなし、父はどんな子でも愛してくれる。
けれど………。
「ふう、兄上はうるさいからなあ。」
やっと巻いて、イリスは城の屋根にいた。
「おい。」
低い声。
振り返れば、ホワイトブロンドのマルクがいた。
幼なじみで、かつての兄貴分。
辺境伯の長男で、次期辺境伯爵。
「マルク。放っておいてくれない、………かなあ!」
オーキッド叔母さまのところのセーラ仕込みの転移魔法を発動し、逃げようとして足首を捕まえられた。
「くっ!」
「お前さ、そんなに兄貴を立てないなら、こんなことするより、俺のとこへ来いよ。」
お前の気持ちも、立場も。
俺が救い出してやるよ。
イリス、俺の嫁にこい。
2
お気に入りに追加
1,393
あなたにおすすめの小説
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
僕はただの平民なのに、やたら敵視されています
カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。
平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。
真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる