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ふわふわの宝物
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「オニキス、俺たちの子を頼むよ。」
「任せて、クロウお兄様。」
「オニキスなら安心だわ。幸せにしてね…。」
「アリステラお姉さま。時々、転移で連れてきます。兄弟とも遊ばせてあげたいから。」
「ありがとう。」
アリステラお姉さまとクロウお兄様の子は長男 シルヴァ 次男 ヴォルフ 三男 フワ という名前がついた。
残念ながら、フワは弱すぎて、兄弟と一緒にいると咬み殺されてしまうかもしれないと言われ、生まれたばかりだけど、柔らかなお包みに入れて、大事に抱いて連れて帰った。
お姉さまは泣いていたけど、赤ちゃんは本能しかない。
悪気なく、弟を咬み殺してしまうほうが、きっとお兄ちゃんたちも後で辛いはずだから。
ある程度大きくなって、分別がつくようになれば、大丈夫らしいから。
お姉さまやお兄さまの代わりに、いっぱい愛情をかけてあげる。
だって、君は俺のお嫁さんにするんだもの。
ふわふわの君を、大切に抱っこして。
お母さんのおっぱいの代わりに、手をきれいに洗って、小指に子犬用のミルクをつけてしゃぶらせた。
抱きしめて、一緒に走って。
一緒に勉強して。
俺には、アレキサンドラの他にも兄弟ができて、お母さまは3男2女の母親になった。
いつもお父様と仲良しで、年齢はお父様の方が上だけど、お母さまの方が年上みたい。
幼い頃には脱走癖があって、親に迷惑をかけた俺だけど、お父様とお母さま、ユンスのいうことをよく聞いて、勉強して、今では立派な王太子になった。
と、思う。
----------オニキス22歳 フワ18歳。
フワ=ダイヤモンド公爵は、魔物の王の父親と、王女になった元公爵令嬢の母親の三男で、幼くして王太子の婚約者として王室で育てられた令息。
父親譲りの白銀の耳と尾は美しく、母親譲りの美貌を持っている。
花嫁として育てられ、王太子であるオニキスの愛を一身に受けて育ったけれど。
18歳。
人間の貴族の学校に通わせてもらい、友達も出来て、過ごしているうちに。
本当にそれでいいのだろうか。
自分はオニキスを愛しているのだろうか。
と、疑問に思うようになっていた。
「おーいフワー!ランチ一緒にしよう!」
「シルヴァ兄さま! ヴォルフ兄さま!」
人間の学校に留学している二人の実のお兄様たちは、二人ともカッコよくて、学園の人気者。
お妃になりたいと社交界では売り込みがすごい。
学園でも、女の子たちのアピールがすごかった。
2人ともがっしりしてて、背が高い。 いいなあ。
馬術も剣術もしっかりこなす彼らは、本当にカッコいいのだ。
シルヴァ兄さまは風と雷の魔法も使えるし、ヴォルフ兄さまは炎の魔法が得意だ。
それでいて、勉強の方も出来る。完ぺきな王子様。
「ん?どうした?フワ。元気ないな?オニキスとうまくいってないのか?」
「誰かが苛めているのか?お兄ちゃんに言え、やっつけてやるから!」
ううん、と首を横に振る。
「ぼく、生まれたときからオニキスの側でオニキスのお嫁さんとして育ったでしょ?…僕の人生って、それでいいのかなあって。僕は、オニキスのお嫁さんになりたいのかなあって最近思って…。」
「フワ、そういう気持ちを持つのは当たり前だ。フワが何もわからない赤ちゃんの時に、勝手に決められたことだからな。」
「大体、そんなふうに髪を長くする必要もないし、可愛い格好をする必要もない。フワはオニキスの都合のいいお人形じゃないんだから。もっと不満を言ってもいい!婚約解消したいなら、俺たちがお父様たちにお願いするから!!」
「……うん。」
オニキスは王太子の仕事で、領土の視察に行っていて、今日帰ってくる。
「ただいま。フワ!寂しかったよ。」
帰ってくるなり、真っ先に僕を抱きしめる。
抱きしめられると、僕の頭は彼の胸のあたり。腕の中にすっぽり。
陛下に似ていて、カッコイイ彼。
妃殿下に似て、すごくきれいな目。
「……どうしたの。そんなに見つめられると、恥ずかしいけどうれしいな。」
なんで、僕だったんだろう。
オフィリアおばあさまは、オニキスは僕が生まれる前からお父様とお母さまの子をお嫁さんにするって決めてたって聞いたけど。
それって、獣耳の子をお嫁さんにしたかっただけで、僕じゃなくてもよかったんじゃないの?
「任せて、クロウお兄様。」
「オニキスなら安心だわ。幸せにしてね…。」
「アリステラお姉さま。時々、転移で連れてきます。兄弟とも遊ばせてあげたいから。」
「ありがとう。」
アリステラお姉さまとクロウお兄様の子は長男 シルヴァ 次男 ヴォルフ 三男 フワ という名前がついた。
残念ながら、フワは弱すぎて、兄弟と一緒にいると咬み殺されてしまうかもしれないと言われ、生まれたばかりだけど、柔らかなお包みに入れて、大事に抱いて連れて帰った。
お姉さまは泣いていたけど、赤ちゃんは本能しかない。
悪気なく、弟を咬み殺してしまうほうが、きっとお兄ちゃんたちも後で辛いはずだから。
ある程度大きくなって、分別がつくようになれば、大丈夫らしいから。
お姉さまやお兄さまの代わりに、いっぱい愛情をかけてあげる。
だって、君は俺のお嫁さんにするんだもの。
ふわふわの君を、大切に抱っこして。
お母さんのおっぱいの代わりに、手をきれいに洗って、小指に子犬用のミルクをつけてしゃぶらせた。
抱きしめて、一緒に走って。
一緒に勉強して。
俺には、アレキサンドラの他にも兄弟ができて、お母さまは3男2女の母親になった。
いつもお父様と仲良しで、年齢はお父様の方が上だけど、お母さまの方が年上みたい。
幼い頃には脱走癖があって、親に迷惑をかけた俺だけど、お父様とお母さま、ユンスのいうことをよく聞いて、勉強して、今では立派な王太子になった。
と、思う。
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フワ=ダイヤモンド公爵は、魔物の王の父親と、王女になった元公爵令嬢の母親の三男で、幼くして王太子の婚約者として王室で育てられた令息。
父親譲りの白銀の耳と尾は美しく、母親譲りの美貌を持っている。
花嫁として育てられ、王太子であるオニキスの愛を一身に受けて育ったけれど。
18歳。
人間の貴族の学校に通わせてもらい、友達も出来て、過ごしているうちに。
本当にそれでいいのだろうか。
自分はオニキスを愛しているのだろうか。
と、疑問に思うようになっていた。
「おーいフワー!ランチ一緒にしよう!」
「シルヴァ兄さま! ヴォルフ兄さま!」
人間の学校に留学している二人の実のお兄様たちは、二人ともカッコよくて、学園の人気者。
お妃になりたいと社交界では売り込みがすごい。
学園でも、女の子たちのアピールがすごかった。
2人ともがっしりしてて、背が高い。 いいなあ。
馬術も剣術もしっかりこなす彼らは、本当にカッコいいのだ。
シルヴァ兄さまは風と雷の魔法も使えるし、ヴォルフ兄さまは炎の魔法が得意だ。
それでいて、勉強の方も出来る。完ぺきな王子様。
「ん?どうした?フワ。元気ないな?オニキスとうまくいってないのか?」
「誰かが苛めているのか?お兄ちゃんに言え、やっつけてやるから!」
ううん、と首を横に振る。
「ぼく、生まれたときからオニキスの側でオニキスのお嫁さんとして育ったでしょ?…僕の人生って、それでいいのかなあって。僕は、オニキスのお嫁さんになりたいのかなあって最近思って…。」
「フワ、そういう気持ちを持つのは当たり前だ。フワが何もわからない赤ちゃんの時に、勝手に決められたことだからな。」
「大体、そんなふうに髪を長くする必要もないし、可愛い格好をする必要もない。フワはオニキスの都合のいいお人形じゃないんだから。もっと不満を言ってもいい!婚約解消したいなら、俺たちがお父様たちにお願いするから!!」
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なんで、僕だったんだろう。
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それって、獣耳の子をお嫁さんにしたかっただけで、僕じゃなくてもよかったんじゃないの?
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