3 / 87
悪い狼
しおりを挟む
「夕飯食べた?」
首を横に振る。
「そっか。じゃあ、3人分でいいかな?」
えっ。
お母様は今精霊に戻っているし、見えないはずなのに。
「ごめんね。俺は精霊が見えるんだよ。会話はできないけどね。」
キールは首をすくめた。
「精霊が見える人自体は、割といるのよね。」
お母様がポンッと人間の姿になる。
「だいたい、副産物で何か特殊な力を持つのだけど。」
「……そうですね。俺の場合は、その人の本性が視えることがあります。あなたたちは、いい人ですね。」
それって辛いことじゃないのかなと思うけど、キールはあっけらかんとしたもので、こんな話はもういいでしょうと、食事の手配を始めた。
食事が終わって。
風呂が終わって。
お母様は精霊の姿になって、ソファのクッションの上で爆睡している。
俺も寝ようっと。
キールがベッドにおいでおいでしていて、潜り込む。
ふふっ、仲のいい兄上がいたなら、こんな感じだったのかな。
ふいに、キールの腕が腰に回った。
「?」
「アリア王女。」
耳元で囁かれて、驚く。
「俺はキール=クリスタル。君の夫になる男だよ。」
えっ。ちょっと待て。考えが追いつかない。
手首を押さえられて、仰向けにされる。
「明日が婚約式だというのに、にげようなんて許せないな。絶対に逃がさないよ。」
なんで、クリスタル陛下が単独行動をしていたのかとは思うけど、そのことを知ってるということは本物。
キールが。
この男が俺の輿入れ先。
残酷王。
さっきまでのキールからは考えられないけど、確かに今のキールは。
…怖い。
「なんだよ、分かるだろ!? アリアは今の王に殺されないよう姫のふりをしていたけど、男なんだよ!男じゃ――――」
「別に男でもいいんだよ。」
「男が妃になれるわけないだろ!そろそろ女装も無理があるし、第一子が産めないっ!!」
「クリスタルの王族の魔法に、男でも産める体にする魔法があるから、大丈夫だ。」
帝国の魔法は変わっているんだよ、と笑いながら、俺の首すじを舐め。
「束縛の鎖。」
鎖に縛られているように、体が動かない。
声も出せない。
思考も制限されて、魔法も使えない。
俺から服を取り、キールも脱ぐ。
がっしりした大きな体。
筋肉もついていて。
彼のそこは、凶悪にそそりたつ。
いやだ。
いや。
「順番が変わったけど仕方ないね。君は今夜、俺の妃になるんだ。」
キールは俺の後ろの口を丁寧に開くと、凶器をあてがう。
い やっ
メキメキ音がするように、ズブズブと入っていく。
あぁっ。
「破瓜だよ。処女喪失おめでとう?」
何がめでたいもんか。
いたい。あつい。苦しい。
圧迫感。
「じゃあ、孕める体に変えてあげようね。」
キールが俺の下腹部に繋がったまま手をあて、何かぶつぶつ言っていうと、一瞬光り、体の内がうねるような違和感が走った。
「孕める体になったよ。これで安心して嫁げるだろう?」
体の上で腰を打ち付ける男。
「あ、うぅっ。あぁっ!」
勝手に揺さぶって、勝手に愉しんで。
俺の中に出し切って、満足したように俺の入口を撫でた。
俺は今度はこの男に囚われるのかと、涙が出て、意識が落ちた。
悪い狼に食べられてしまった。
「うちのかわいい息子に酷いことするわね。」
彼の母親がムクリと起き上がる。
「そう仰る割には、止めませんでしたね。」
「そうね、あなたは幸せにしてくれる人だから。」
精霊は、人間とはやはりどこか違うらしい。
「この国。精霊の加護で守られてきたのは本当でしょう?王が変わっても変化がなかったのは、国にあなた方がいたからですよね。」
「そうね。」
「あなた方が国を出て行けば、とたんに枯渇する。アルフォンスは気づいてませんが。」
「そうね。私はどうでもいいのよ。」
「あなた方を苦しめた王らに意趣返し、手伝いますよ。」
「あら嬉しいわ。」
明日が楽しみだ。
首を横に振る。
「そっか。じゃあ、3人分でいいかな?」
えっ。
お母様は今精霊に戻っているし、見えないはずなのに。
「ごめんね。俺は精霊が見えるんだよ。会話はできないけどね。」
キールは首をすくめた。
「精霊が見える人自体は、割といるのよね。」
お母様がポンッと人間の姿になる。
「だいたい、副産物で何か特殊な力を持つのだけど。」
「……そうですね。俺の場合は、その人の本性が視えることがあります。あなたたちは、いい人ですね。」
それって辛いことじゃないのかなと思うけど、キールはあっけらかんとしたもので、こんな話はもういいでしょうと、食事の手配を始めた。
食事が終わって。
風呂が終わって。
お母様は精霊の姿になって、ソファのクッションの上で爆睡している。
俺も寝ようっと。
キールがベッドにおいでおいでしていて、潜り込む。
ふふっ、仲のいい兄上がいたなら、こんな感じだったのかな。
ふいに、キールの腕が腰に回った。
「?」
「アリア王女。」
耳元で囁かれて、驚く。
「俺はキール=クリスタル。君の夫になる男だよ。」
えっ。ちょっと待て。考えが追いつかない。
手首を押さえられて、仰向けにされる。
「明日が婚約式だというのに、にげようなんて許せないな。絶対に逃がさないよ。」
なんで、クリスタル陛下が単独行動をしていたのかとは思うけど、そのことを知ってるということは本物。
キールが。
この男が俺の輿入れ先。
残酷王。
さっきまでのキールからは考えられないけど、確かに今のキールは。
…怖い。
「なんだよ、分かるだろ!? アリアは今の王に殺されないよう姫のふりをしていたけど、男なんだよ!男じゃ――――」
「別に男でもいいんだよ。」
「男が妃になれるわけないだろ!そろそろ女装も無理があるし、第一子が産めないっ!!」
「クリスタルの王族の魔法に、男でも産める体にする魔法があるから、大丈夫だ。」
帝国の魔法は変わっているんだよ、と笑いながら、俺の首すじを舐め。
「束縛の鎖。」
鎖に縛られているように、体が動かない。
声も出せない。
思考も制限されて、魔法も使えない。
俺から服を取り、キールも脱ぐ。
がっしりした大きな体。
筋肉もついていて。
彼のそこは、凶悪にそそりたつ。
いやだ。
いや。
「順番が変わったけど仕方ないね。君は今夜、俺の妃になるんだ。」
キールは俺の後ろの口を丁寧に開くと、凶器をあてがう。
い やっ
メキメキ音がするように、ズブズブと入っていく。
あぁっ。
「破瓜だよ。処女喪失おめでとう?」
何がめでたいもんか。
いたい。あつい。苦しい。
圧迫感。
「じゃあ、孕める体に変えてあげようね。」
キールが俺の下腹部に繋がったまま手をあて、何かぶつぶつ言っていうと、一瞬光り、体の内がうねるような違和感が走った。
「孕める体になったよ。これで安心して嫁げるだろう?」
体の上で腰を打ち付ける男。
「あ、うぅっ。あぁっ!」
勝手に揺さぶって、勝手に愉しんで。
俺の中に出し切って、満足したように俺の入口を撫でた。
俺は今度はこの男に囚われるのかと、涙が出て、意識が落ちた。
悪い狼に食べられてしまった。
「うちのかわいい息子に酷いことするわね。」
彼の母親がムクリと起き上がる。
「そう仰る割には、止めませんでしたね。」
「そうね、あなたは幸せにしてくれる人だから。」
精霊は、人間とはやはりどこか違うらしい。
「この国。精霊の加護で守られてきたのは本当でしょう?王が変わっても変化がなかったのは、国にあなた方がいたからですよね。」
「そうね。」
「あなた方が国を出て行けば、とたんに枯渇する。アルフォンスは気づいてませんが。」
「そうね。私はどうでもいいのよ。」
「あなた方を苦しめた王らに意趣返し、手伝いますよ。」
「あら嬉しいわ。」
明日が楽しみだ。
12
お気に入りに追加
1,571
あなたにおすすめの小説
攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました
白兪
BL
前世で妹がプレイしていた乙女ゲーム「君とユニバース」に転生してしまったアース。
攻略対象者ってことはイケメンだし将来も安泰じゃん!と喜ぶが、アースは人気最下位キャラ。あんまりパッとするところがないアースだが、気がついたら王太子の婚約者になっていた…。
なんとか友達に戻ろうとする主人公と離そうとしない激甘王太子の攻防はいかに!?
ゆっくり書き進めていこうと思います。拙い文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。
悪役王子の取り巻きに転生したようですが、破滅は嫌なので全力で足掻いていたら、王子は思いのほか優秀だったようです
魚谷
BL
ジェレミーは自分が転生者であることを思い出す。
ここは、BLマンガ『誓いは星の如くきらめく』の中。
そしてジェレミーは物語の主人公カップルに手を出そうとして破滅する、悪役王子の取り巻き。
このままいけば、王子ともども断罪の未来が待っている。
前世の知識を活かし、破滅確定の未来を回避するため、奮闘する。
※微BL(手を握ったりするくらいで、キス描写はありません)
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
甥っ子と異世界に召喚された俺、元の世界へ戻るために奮闘してたら何故か王子に捕らわれました?
秋野 なずな
BL
ある日突然、甥っ子の蒼葉と異世界に召喚されてしまった冬斗。
蒼葉は精霊の愛し子であり、精霊を回復できる力があると告げられその力でこの国を助けて欲しいと頼まれる。しかし同時に役目を終えても元の世界には帰すことが出来ないと言われてしまう。
絶対に帰れる方法はあるはずだと協力を断り、せめて蒼葉だけでも元の世界に帰すための方法を探して孤軍奮闘するも、誰が敵で誰が味方かも分からない見知らぬ地で、1人の限界を感じていたときその手は差し出された
「僕と手を組まない?」
その手をとったことがすべての始まり。
気づいた頃にはもう、その手を離すことが出来なくなっていた。
王子×大学生
―――――――――
※男性も妊娠できる世界となっています
【完結】欠陥品と呼ばれていた伯爵令息だけど、なぜか年下の公爵様に溺愛される
ゆう
BL
アーデン伯爵家に双子として生まれてきたカインとテイト。
瓜二つの2人だが、テイトはアーデン伯爵家の欠陥品と呼ばれていた。その訳は、テイトには生まれつき右腕がなかったから。
国教で体の障害は前世の行いが悪かった罰だと信じられているため、テイトに対する人々の風当たりは強く、次第にやさぐれていき・・・
もう全てがどうでもいい、そう思って生きていた頃、年下の公爵が現れなぜか溺愛されて・・・?
※設定はふわふわです
※差別的なシーンがあります
ヘタレな師団長様は麗しの花をひっそり愛でる
野犬 猫兄
BL
本編完結しました。
お読みくださりありがとうございます!
番外編は本編よりも文字数が多くなっていたため、取り下げ中です。
番外編へ戻すか別の話でたてるか検討中。こちらで、また改めてご連絡いたします。
第9回BL小説大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございました_(._.)_
【本編】
ある男を麗しの花と呼び、ひっそりと想いを育てていた。ある時は愛しいあまり心の中で悶え、ある時は不甲斐なさに葛藤したり、愛しい男の姿を見ては明日も頑張ろうと思う、ヘタレ男の牛のような歩み寄りと天然を炸裂させる男に相手も満更でもない様子で進むほのぼの?コメディ話。
ヘタレ真面目タイプの師団長×ツンデレタイプの師団長
2022.10.28ご連絡:2022.10.30に番外編を修正するため下げさせていただきますm(_ _;)m
2022.10.30ご連絡:番外編を引き下げました。
【取り下げ中】
【番外編】は、視点が基本ルーゼウスになります。ジーク×ルーゼ
ルーゼウス・バロル7歳。剣と魔法のある世界、アンシェント王国という小さな国に住んでいた。しかし、ある時召喚という形で、日本の大学生をしていた頃の記憶を思い出してしまう。精霊の愛し子というチートな恩恵も隠していたのに『精霊司令局』という機械音声や、残念なイケメンたちに囲まれながら、アンシェント王国や、隣国のゼネラ帝国も巻き込んで一大騒動に発展していくコメディ?なお話。
※誤字脱字は気づいたらちょこちょこ修正してます。“(. .*)
マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜
明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。
その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。
ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。
しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。
そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。
婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと?
シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。
※小説家になろうにも掲載しております。
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる