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思っていたのと違う…。だけどキュンとする。
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「未成年の性風俗への労働は法律で禁止されている!」
真っ赤な髪の青年が、いきなりバンッ!と入って来た!
ど、どういうこと……??
僕は遠視で近くのものがぼやけて見えるけど、その距離ならそれが誰か分かる。
クンツァイト=ブリッジ伯爵令息。
辺境伯夫人であるジルコニアさま………同じクラスの一際目立つご令嬢のお兄様。
魔法の天才で、既に辺境伯の片腕として頭角を現しているという…。
ご実家はうちと同じで収入に恵まれた領地じゃないけど、僕のうちと比べたら、冒険者の稼ぎで補填してなんとか健全会計。
だけど、これからの未来は明るい、そんなおうち。
学園の生徒たちが色めき立っていた美貌のその人がどうしてここへ???
ジルコニア様のクラスメイトだけど、僕、接点もないよ??!
「なんだね、君はっ!この子は私が可愛がっているんだから、ちゃんと予約しなさいっ!」
ロマンスグレーのモノスキーさんがお怒りだ。たいへんだ。
「君はっ。迷子になってたし、気になってしばらく様子を見ていたら…!どうして君が犠牲にならなければならない!!こんな……っ。そんな幼子が着るようなふりふりのシャツと半ズボンを履いて!は、ハイソックスで生足が露だなんて!いやらしい!!」
迷子…??
………ええっ、さっきの親切な人、ブリッジ伯爵令息だったのっ!?
「あ、あの…、何かお店のことを誤解しているようですが。こちらのお店は、お子様に恵まれなかった方や、お子様が大きくなって手が離れてしまった方、お子様が反抗期に入ってしまった方が『理想の息子』を求めて癒しにこられるお店なので……。思われているようなお店ではないですよ…。」
「えっ。」
僕は小柄で童顔だから…合法ショタというらしく………。
こう見えても売れっ子なのだ…。
「僕は『パパ』に甘えているだけなので、待っていてください。」
「そうだそうだ!うーん、プリティーちゃんは可愛いねぇ。」
「パパー。僕、しょうらいパパみたいなりっぱなひとになりたいなぁ。パパのお仕事おしえてほしいなぁ~。」
「いいともぉ!」
幼くして父を亡くした僕には、領主をするための師がいない。
パパたちは僕にお金と知識を与えてくれる…。
毎日疲弊して、領地を回すのにいっぱいいっぱいで気づかなかったけど。
今、僕にとって一番大事な知識もくれた。
「あのっ、ブリッジ伯爵令息?僕には僕の事情とやり方があるんです!お客様が気難しい方なら僕は仕事を失ってたいへんなことになるところだったんですよ??!」
「すみませんでした…。だが、君は家であんな女たちにいいようにこき使われて。かと思ったら休む間もなく当主の仕事に夜のバイトまで…。見ていられなくて…。」
「僕はか弱く見えるかもしれないですけど、守ってもらうような存在じゃないです。僕の問題は僕で解決します。ここでいろんなパパたちに知識を貰いました。父が亡くなった当時は気づかなかったことが見えてきて、もう少しで断罪できるのです。うーんと、償ってもらうんですから!」
めっ、と叱ると、赤毛の美形はごめんなさいした。
~クンツァイト視点~
な、なんか思ってたのと違う!
でもなんだ、この気持ち…!!
儚く見えて可愛くて、それで強くてふてぶてしいなんて!
うちのジルが一番の天使だと思っていたが、一番は二人いたんだ…!
ロックは女たちにこき使われ、散財されながらも、一度は断る・窘める・という行為をあえて続けていたらしい。
そうして、当主の意向を無視して勝手に散財した形になった女たちの正体は、貴族崩れの詐欺師だった。
ロックの父親は妻を亡くし、その寂しさから領地に息子を残したまま王都で働きづめだった。
領地に帰ろうとしないのをいいことに、王都で再婚した後妻とその連れ子を装いストーン家に侵入し、長年にわたって我が物顔で暮らしていたらしい。
『そういう詐欺をする者もいるから念のため確認してみたらいい。』というパパのアドバイスは的確で、神父をしているパパから、血縁者であり、現在当主であるのであれば戸籍を確認することができるのを知ったロックは、父が女と再婚なんかしていないことを知った。
それからの断罪だ。
ある朝、憲兵が訪れて、拘束され連れていかれる母子を見下ろして、スッとスッキリしたようだ。
ああ、どうしよう。
我が妻にしようとなんて思える人はいなかったが、それは彼だったんだ!
「結婚してください!」
「跡取りを産まないといけないから無理です。」
「大丈夫です、辺境伯閣下が男同士で子どもができる魔法を使えます。」
「えっ、考えさせてください。そちらは次期当主ですよね?」
「当主同士でもいいじゃないですか。」
今は、ロックを口説いている最中。
………ジルやみんなには秘密だ。
真っ赤な髪の青年が、いきなりバンッ!と入って来た!
ど、どういうこと……??
僕は遠視で近くのものがぼやけて見えるけど、その距離ならそれが誰か分かる。
クンツァイト=ブリッジ伯爵令息。
辺境伯夫人であるジルコニアさま………同じクラスの一際目立つご令嬢のお兄様。
魔法の天才で、既に辺境伯の片腕として頭角を現しているという…。
ご実家はうちと同じで収入に恵まれた領地じゃないけど、僕のうちと比べたら、冒険者の稼ぎで補填してなんとか健全会計。
だけど、これからの未来は明るい、そんなおうち。
学園の生徒たちが色めき立っていた美貌のその人がどうしてここへ???
ジルコニア様のクラスメイトだけど、僕、接点もないよ??!
「なんだね、君はっ!この子は私が可愛がっているんだから、ちゃんと予約しなさいっ!」
ロマンスグレーのモノスキーさんがお怒りだ。たいへんだ。
「君はっ。迷子になってたし、気になってしばらく様子を見ていたら…!どうして君が犠牲にならなければならない!!こんな……っ。そんな幼子が着るようなふりふりのシャツと半ズボンを履いて!は、ハイソックスで生足が露だなんて!いやらしい!!」
迷子…??
………ええっ、さっきの親切な人、ブリッジ伯爵令息だったのっ!?
「あ、あの…、何かお店のことを誤解しているようですが。こちらのお店は、お子様に恵まれなかった方や、お子様が大きくなって手が離れてしまった方、お子様が反抗期に入ってしまった方が『理想の息子』を求めて癒しにこられるお店なので……。思われているようなお店ではないですよ…。」
「えっ。」
僕は小柄で童顔だから…合法ショタというらしく………。
こう見えても売れっ子なのだ…。
「僕は『パパ』に甘えているだけなので、待っていてください。」
「そうだそうだ!うーん、プリティーちゃんは可愛いねぇ。」
「パパー。僕、しょうらいパパみたいなりっぱなひとになりたいなぁ。パパのお仕事おしえてほしいなぁ~。」
「いいともぉ!」
幼くして父を亡くした僕には、領主をするための師がいない。
パパたちは僕にお金と知識を与えてくれる…。
毎日疲弊して、領地を回すのにいっぱいいっぱいで気づかなかったけど。
今、僕にとって一番大事な知識もくれた。
「あのっ、ブリッジ伯爵令息?僕には僕の事情とやり方があるんです!お客様が気難しい方なら僕は仕事を失ってたいへんなことになるところだったんですよ??!」
「すみませんでした…。だが、君は家であんな女たちにいいようにこき使われて。かと思ったら休む間もなく当主の仕事に夜のバイトまで…。見ていられなくて…。」
「僕はか弱く見えるかもしれないですけど、守ってもらうような存在じゃないです。僕の問題は僕で解決します。ここでいろんなパパたちに知識を貰いました。父が亡くなった当時は気づかなかったことが見えてきて、もう少しで断罪できるのです。うーんと、償ってもらうんですから!」
めっ、と叱ると、赤毛の美形はごめんなさいした。
~クンツァイト視点~
な、なんか思ってたのと違う!
でもなんだ、この気持ち…!!
儚く見えて可愛くて、それで強くてふてぶてしいなんて!
うちのジルが一番の天使だと思っていたが、一番は二人いたんだ…!
ロックは女たちにこき使われ、散財されながらも、一度は断る・窘める・という行為をあえて続けていたらしい。
そうして、当主の意向を無視して勝手に散財した形になった女たちの正体は、貴族崩れの詐欺師だった。
ロックの父親は妻を亡くし、その寂しさから領地に息子を残したまま王都で働きづめだった。
領地に帰ろうとしないのをいいことに、王都で再婚した後妻とその連れ子を装いストーン家に侵入し、長年にわたって我が物顔で暮らしていたらしい。
『そういう詐欺をする者もいるから念のため確認してみたらいい。』というパパのアドバイスは的確で、神父をしているパパから、血縁者であり、現在当主であるのであれば戸籍を確認することができるのを知ったロックは、父が女と再婚なんかしていないことを知った。
それからの断罪だ。
ある朝、憲兵が訪れて、拘束され連れていかれる母子を見下ろして、スッとスッキリしたようだ。
ああ、どうしよう。
我が妻にしようとなんて思える人はいなかったが、それは彼だったんだ!
「結婚してください!」
「跡取りを産まないといけないから無理です。」
「大丈夫です、辺境伯閣下が男同士で子どもができる魔法を使えます。」
「えっ、考えさせてください。そちらは次期当主ですよね?」
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今は、ロックを口説いている最中。
………ジルやみんなには秘密だ。
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