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大雨

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「雨やまねーな。」

馬車の車輪や馬の蹄が雨で濡れた地面を弾く音が聞こえる。


「………この雨、辺境の方は私が対策を講じているからいいけれど、他のところは危険かもしれないね。私がいるときに造ったダムは、ただ水資源を蓄えることだけが目的じゃないんだけど、プロジェクトを掠め取った王太子殿はそこを理解していないから。」


「ダムが決壊するかもしれないってこと!?危ないじゃん!ツァイ兄、シトリン兄さん!」

「助けられる力を持っていて無視はできません。馬車を安全なところに移動させて様子を見に行きましょう。」



お義母様とお父様を馬車に残し、安全な高台へ魔法で移動させて、俺たちはダムの方へ向かった。





「あぁああ…危惧していた通りになった!どうしよう、どうしようっ。放水しようと思っていたのに、放水のハンドルがないなんて………!アンリ兄さまの設計ではあったはずなのにっ!」

フードを被った眼鏡の王子はおろおろ。

その頃呑気なドゥーブルは、側近たちとともに王都の娼館で遊んでいた。




ダムが決壊し、必死でトロンが水を食い止めようとするも、それは無慈悲に襲い掛かる。

トロンは覚悟し、そして悔やんだ。
もっと自分が強かったら…!

あちこちの川から水が大量に押し寄せ、王都中が水害に見舞われる。
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