19 / 61
魔王は魔王
しおりを挟む
勝手知ったる城の中。
やろうと思えばいつでもここに侵入することはできた。
「陛下。お久しぶりです。」
「……ッ!ルシフル……っ!」
夜着を着て就寝前の陛下が寝室に来る。
「大声を出しても構いませんけど、防音の結界を張っていますので、しばらくお話にお付き合いいただけませんか?それに、私をよく見てください。」
「色が…白くない…。」
「ええ、瞳も青いでしょう?魔王の浄化に成功しました。(本当は片目はまだだけど魔法で幻影…♪)」
「ほっ、本当かっ!」
「今更いいのです。王位継承権も何もかも。辺境伯のルシフル=サターンのままでもね。私は弟を信じすぎていて、人を疑うことを知らなかったあの時の私は、確かに王になるには不適格だったでしょう。ですが、私以上にドゥーブルはどうでしょうね。そして、王妃として彼の人は?共寝をせずにこちらにお戻りになるくらいだ、そろそろ化けの皮に気付いて辟易してるんでしょう?」
「ではなぜ、私の前に…。」
「私、結婚しました。相手は勇者です。もう危険人物ではないのですし、勇者も一緒ですし?社交への参加をお許しください。これからは一辺境伯として普通に社交をしていきたいです。陛下に私の領地のことも、ずっと報告できていませんしね。そうそう、ドゥーブルの弟のトロン。私は彼を推しますよ。私にしてきたことを今ドゥーブルは彼にやっている。見る目がない陛下、一度影でも呼んで調べさせたら……と言いたいところですが?王家の影も騎士もみーんな城の人たちはドゥーブルの仲間ですからね。少しは魔法が使えるのですから自分で調べてみてください。もしよかったら、昔の…私がいたときの、ドゥーブルのサインが書かれた私の仕事の書類もね。時間魔法か鑑定魔法がおすすめです。それでは…。」
久しぶりの親子の体面とは言えない。
一方的な圧力。
「はぁ、はぁっ…。」
汗が出て、息が苦しい。
魔王でなくても、魔王のような凄みが、今のアンリにはある。
まるで王の中の王、覇王のような。
逃がした魚は限りなく大きい…。
やろうと思えばいつでもここに侵入することはできた。
「陛下。お久しぶりです。」
「……ッ!ルシフル……っ!」
夜着を着て就寝前の陛下が寝室に来る。
「大声を出しても構いませんけど、防音の結界を張っていますので、しばらくお話にお付き合いいただけませんか?それに、私をよく見てください。」
「色が…白くない…。」
「ええ、瞳も青いでしょう?魔王の浄化に成功しました。(本当は片目はまだだけど魔法で幻影…♪)」
「ほっ、本当かっ!」
「今更いいのです。王位継承権も何もかも。辺境伯のルシフル=サターンのままでもね。私は弟を信じすぎていて、人を疑うことを知らなかったあの時の私は、確かに王になるには不適格だったでしょう。ですが、私以上にドゥーブルはどうでしょうね。そして、王妃として彼の人は?共寝をせずにこちらにお戻りになるくらいだ、そろそろ化けの皮に気付いて辟易してるんでしょう?」
「ではなぜ、私の前に…。」
「私、結婚しました。相手は勇者です。もう危険人物ではないのですし、勇者も一緒ですし?社交への参加をお許しください。これからは一辺境伯として普通に社交をしていきたいです。陛下に私の領地のことも、ずっと報告できていませんしね。そうそう、ドゥーブルの弟のトロン。私は彼を推しますよ。私にしてきたことを今ドゥーブルは彼にやっている。見る目がない陛下、一度影でも呼んで調べさせたら……と言いたいところですが?王家の影も騎士もみーんな城の人たちはドゥーブルの仲間ですからね。少しは魔法が使えるのですから自分で調べてみてください。もしよかったら、昔の…私がいたときの、ドゥーブルのサインが書かれた私の仕事の書類もね。時間魔法か鑑定魔法がおすすめです。それでは…。」
久しぶりの親子の体面とは言えない。
一方的な圧力。
「はぁ、はぁっ…。」
汗が出て、息が苦しい。
魔王でなくても、魔王のような凄みが、今のアンリにはある。
まるで王の中の王、覇王のような。
逃がした魚は限りなく大きい…。
332
お気に入りに追加
476
あなたにおすすめの小説
婚約破棄したら隊長(♂)に愛をささやかれました
ヒンメル
BL
フロナディア王国デルヴィーニュ公爵家嫡男ライオネル・デルヴィーニュ。
愛しの恋人(♀)と婚約するため、親に決められた婚約を破棄しようとしたら、荒くれ者の集まる北の砦へ一年間行かされることに……。そこで人生を変える出会いが訪れる。
*****************
「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく(https://www.alphapolis.co.jp/novel/221439569/703283996)」の番外編です。ライオネルと北の砦の隊長の後日談ですが、BL色が強くなる予定のため独立させてます。単体でも分かるように書いたつもりですが、本編を読んでいただいた方がわかりやすいと思います。
※「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく」の他の番外編よりBL色が強い話になりました(特に第八話)ので、苦手な方は回避してください。
※完結済にした後も読んでいただいてありがとうございます。
評価やブックマーク登録をして頂けて嬉しいです。
※小説家になろう様でも公開中です。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
【BL】【完結】序盤で殺される悪役王子だと気づいたので、全力でフラグを壊します!
まほりろ
BL
【完結】自分がゲームの序盤で殺される悪役王子だと気づいた主人公が破滅フラグを壊そうと奮闘するお話。
破滅フラグを折ろうと頑張っていたら未来の勇者に惚れられてショタ同士でキスすることになったり。
主人公の愛人になりたいといういとこのフリード公子に素またされたり。エッチな目に会いながらも国を救おうと奮闘する正義感の強い悪役王子様の物語。
ショタエロ有り、Rシーンはぬるいです。
*→キス程度の描写有り
***→性的な描写有り
他サイトにもアップしています。
過去作を転載しました。
全34話、全84000文字。ハッピーエンド。
「Copyright(C)2020-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
貧乏大学生がエリート商社マンに叶わぬ恋をしていたら、玉砕どころか溺愛された話
タタミ
BL
貧乏苦学生の巡は、同じシェアハウスに住むエリート商社マンの千明に片想いをしている。
叶わぬ恋だと思っていたが、千明にデートに誘われたことで、関係性が一変して……?
エリート商社マンに溺愛される初心な大学生の物語。
俺のこと、冷遇してるんだから離婚してくれますよね?〜王妃は国王の隠れた溺愛に気付いてない〜
明太子
BL
伯爵令息のエスメラルダは幼い頃から恋心を抱いていたレオンスタリア王国の国王であるキースと結婚し、王妃となった。
しかし、当のキースからは冷遇され、1人寂しく別居生活を送っている。
それでもキースへの想いを捨てきれないエスメラルダ。
だが、その思いも虚しく、エスメラルダはキースが別の令嬢を新しい妃を迎えようとしている場面に遭遇してしまう。
流石に心が折れてしまったエスメラルダは離婚を決意するが…?
エスメラルダの一途な初恋はキースに届くのか?
そして、キースの本当の気持ちは?
分かりづらい伏線とそこそこのどんでん返しありな喜怒哀楽激しめ王妃のシリアス?コメディ?こじらせ初恋BLです!
※R指定は保険です。
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。
噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。
春色悠
BL
多くの実力者を輩出したと云われる名門校【カナド学園】。
新入生としてその門を潜ったダンツ辺境伯家次男、ユーリスは転生者だった。
___まあ、残っている記憶など塵にも等しい程だったが。
ユーリスは兄と姉がいる為後継者として期待されていなかったが、二度目の人生の本人は冒険者にでもなろうかと気軽に考えていた。
しかし、ユーリスの運命は『冷血公爵』と名高いデンベル・フランネルとの出会いで全く思ってもいなかった方へと進みだす。
常に冷静沈着、実の父すら自身が公爵になる為に追い出したという冷酷非道、常に無表情で何を考えているのやらわからないデンベル___
「いやいやいやいや、全部顔に出てるんですけど…!!?」
ユーリスは思い出す。この世界は表情から全く感情を読み取ってくれないことを。いくら苦々しい表情をしていても誰も気づかなかったことを。
寡黙なだけで表情に全て感情の出ているデンベルは怖がられる度にこちらが悲しくなるほど落ち込み、ユーリスはついつい話しかけに行くことになる。
髪の毛の美しさで美醜が決まるというちょっと不思議な美醜観が加わる感情表現の複雑な世界で少し勘違いされながらの二人の行く末は!?
【完結】侯爵家令息のハーレムなのに男しかいないのはおかしい
みやこ嬢
BL
【2020年12月20日完結、全69話、小話9話】
アデルは王国を裏で牛耳るヴィクランド侯爵家の跡取り息子。次世代の人脈作りを目標に掲げて貴族学院に入学するが、どうもおかしい。
寄ってくるのは男だけ!
女の子は何故か近付いてこない!!
それでも将来のためと信じて地道に周囲との親交を深めて籠絡していく。
憧れの騎士団長との閨のレッスン。
女性が苦手な気弱同級生からの依存。
家族愛を欲する同級生からの偏愛。
承認欲求に飢えた同級生からの執着。
謎多き同級生との秘密の逢瀬。
これは、侯爵家令息アデルの成長と苦難の物語。
あやしい話にはタイトルの横に*を付けてます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる