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馬鹿の一つ覚えですか
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スライディング土下座なんかここでされても迷惑なんですけど。
「ごめっ、ごめんなさい。捨てないで。ジェニー。ジェニーのことを愛しているのは本当なんだ…。だからっ。」
「殿下。ちゃんと城にも帰りますし、『妃』としての務めもしますよ。どいてくれません?今、竜を収納しているところなんです。俺たちこれからギルドに報告と納品に行かなきゃ。」
「……ごめんなさい。私のこと、嫌いになった、よな…。」
後姿が寂しそう。
ずきん。
でも、ほだされてやるものか。
まだ、怒ってるんだからね!
「……でも、ジェニーが私を嫌いになっても、離してやるわけにはいかない。愛してるんだ。」
「俺が愛を返せなくても?」
「……うん。ごめんね。」
「ジェニー、早く行こうよ。」
リリーとミルキィは竜を見る。
俺も…。
でも、やっぱり。
「フォール殿…………。」
振り返ると、殿下が目を見開いていて。
「うわぁあ!」
ミルキィたちの声。
仕留め切れていなかった竜2体が、よろよろと覚醒し、ミルキィとリリーは竜に足で押さえつけられている。
油断していた――――――――――――
だけど、俺は何も痛いことがなくて。
気が付くと腕の中で。
鉄の匂いと何か生暖かいモノが頬を濡らす。
「大丈夫だったか、ジェニー!」
もう。
もう。
もう。
かっこいいんだから。
でも、やめて。
殿下が傷つくことないじゃないか…。
マックスやパープルがとどめをさしてくれて、リリーが殿下を癒す。
「冒険者でも研究者でもなんでもなったらいい。ごめんね…。でも、私のお嫁さんでもいて。」
全くもう、仕方ないんだから。
陛下もこんなふうなんだろうな。
ちょっと、オリーブ様の気持ちが分かる気がする。
「仲直り出来てよかったですね。」
「本当に。」
「クズ太子のくせに。」
帰り道はみんなで馬で大移動。
マックス・ブレイン・パープルの側近トリオにけなされている殿下。
俺が許してもみんなは許さないらしい。
何だか面白い。
「あっ。そういえば、私たちがギルドに行くときは殿下たちは目立たないよーにしててくださいよね!」
リリーが口を尖らせる。
そうだよね。目立つもの。
「ふふふっ。」
「えっ、どうしたの?ジェニー。」
「いいえ、なんでも?」
在学中は雲の上の人で、勉強も出来て、エレガントで………完璧な紳士だって思ってたけど。
可愛いところもダメなところもあって。
………俺がついていないとダメなんだから。
「あらあらあら。たいへんたいへん。そこの若い人たち!」
どこかとぼけた声が聞こえる。
こんな竜が出るようなところに?
キョロキョロすれば、旅人姿の上品なおばあさん。
「ごめんなさぁい。うちの人が急にぎっくり腰になっちゃって。街に行くなら連れてってくださらないかしら!」
「…………もう、疲れちゃってェ。一歩も動けなくってェ。」
どっかイラっとする男性の声がどこかから聞こえる。
「おばあ様!!!」
フォール殿下の声でびっくり。
「あら!どこのイケメンさんかと思ったら、フォールちゃんなのぉ!」
……ということは、この方が先代の王妃様!?
「ごめっ、ごめんなさい。捨てないで。ジェニー。ジェニーのことを愛しているのは本当なんだ…。だからっ。」
「殿下。ちゃんと城にも帰りますし、『妃』としての務めもしますよ。どいてくれません?今、竜を収納しているところなんです。俺たちこれからギルドに報告と納品に行かなきゃ。」
「……ごめんなさい。私のこと、嫌いになった、よな…。」
後姿が寂しそう。
ずきん。
でも、ほだされてやるものか。
まだ、怒ってるんだからね!
「……でも、ジェニーが私を嫌いになっても、離してやるわけにはいかない。愛してるんだ。」
「俺が愛を返せなくても?」
「……うん。ごめんね。」
「ジェニー、早く行こうよ。」
リリーとミルキィは竜を見る。
俺も…。
でも、やっぱり。
「フォール殿…………。」
振り返ると、殿下が目を見開いていて。
「うわぁあ!」
ミルキィたちの声。
仕留め切れていなかった竜2体が、よろよろと覚醒し、ミルキィとリリーは竜に足で押さえつけられている。
油断していた――――――――――――
だけど、俺は何も痛いことがなくて。
気が付くと腕の中で。
鉄の匂いと何か生暖かいモノが頬を濡らす。
「大丈夫だったか、ジェニー!」
もう。
もう。
もう。
かっこいいんだから。
でも、やめて。
殿下が傷つくことないじゃないか…。
マックスやパープルがとどめをさしてくれて、リリーが殿下を癒す。
「冒険者でも研究者でもなんでもなったらいい。ごめんね…。でも、私のお嫁さんでもいて。」
全くもう、仕方ないんだから。
陛下もこんなふうなんだろうな。
ちょっと、オリーブ様の気持ちが分かる気がする。
「仲直り出来てよかったですね。」
「本当に。」
「クズ太子のくせに。」
帰り道はみんなで馬で大移動。
マックス・ブレイン・パープルの側近トリオにけなされている殿下。
俺が許してもみんなは許さないらしい。
何だか面白い。
「あっ。そういえば、私たちがギルドに行くときは殿下たちは目立たないよーにしててくださいよね!」
リリーが口を尖らせる。
そうだよね。目立つもの。
「ふふふっ。」
「えっ、どうしたの?ジェニー。」
「いいえ、なんでも?」
在学中は雲の上の人で、勉強も出来て、エレガントで………完璧な紳士だって思ってたけど。
可愛いところもダメなところもあって。
………俺がついていないとダメなんだから。
「あらあらあら。たいへんたいへん。そこの若い人たち!」
どこかとぼけた声が聞こえる。
こんな竜が出るようなところに?
キョロキョロすれば、旅人姿の上品なおばあさん。
「ごめんなさぁい。うちの人が急にぎっくり腰になっちゃって。街に行くなら連れてってくださらないかしら!」
「…………もう、疲れちゃってェ。一歩も動けなくってェ。」
どっかイラっとする男性の声がどこかから聞こえる。
「おばあ様!!!」
フォール殿下の声でびっくり。
「あら!どこのイケメンさんかと思ったら、フォールちゃんなのぉ!」
……ということは、この方が先代の王妃様!?
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