暗殺者は王子に溺愛される

子どもたち

ニースついてくる

こっそり荷造りして、家を出たら、辺境伯のとこのニースとバッタリ会った。

ニースは穏やかで優しいし、ミリア様にしっかり教育されて、学でも剣でも優秀な跡取りだ。

俺にガツガツしてこないから、幼なじみの中では、安心できる存在だった。

口も堅いし。


「シャル。その荷物どうしたの？」

「家出して冒険者になるんだ。」

「え、お家の人心配するよ？お父様もお祖父様も、過保護の権化じゃない。」

「心配しないでって手紙書いてきたよ。」


ニースはそっと天を仰ぎ見た。


「分かった。僕も冒険者になるよ。一緒にパーティ組もう。僕は回復魔法も使えるから、便利だよ。それに、辺境伯の拠点があちこちにあるから、住むところの心配もないし。」


「え、ニースは辺境伯の跡取りとして修業中でしょ？」

「辺境の見張りと掃除が仕事だから、両立可能だよ。大体、シャルが今更市井で一人で生活できる気がしない。侍女はいないんだよ？」


「やってみなきゃわからない。俺だって、この２年。冒険者になる準備をしてきたんだ。料理も洗濯も掃除も覚えた！」

「金銭感覚も心配だし、一人でやるのとはまたわけが違うからね。」

とほほ。

御尤もである。


こうして俺は、ニースとパーティを組んで、冒険者になったのだった。