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苛烈な乙女たちと聖女?と総力戦
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「南の辺境は、私たちサンダルフォン姉弟にお任せを!」
さっさと終わらせて、トロワのところへ行くのよ!
私の可愛い『妹』をひどい目にあわせて絶対に許さない!
断罪の場に必ず立ち会ってやる!
処罰が甘ければ私が異論を唱えてくれる!
「あの役立たずの騎士も根性入れ直してやる…っ!行くわよ、アン!デューク!」
目の前には、アンデッドモンスターの群れ。
カタカタと骨をきしませて、腐臭とともに襲ってくる。
近寄ると毒ガスでやられるだろう。
商会の者を使って、付近の領民は避難させている。
「ほほほほほ!!!!!!今の私は虫の居所が悪いのよ!」
姉弟は最新の銃火器を両手に構える。
リリーナのマシンガンが火を噴き、デュークの火炎放射器がアンデッドを焼く。
両手に一つずつハンドガンを持って動き回り、燃え広がらないエリアにおびき寄せるのはアンだ。
「あんな使えない男選んだ殿下も後でおしおきしてやる~~~~~~~~!!!」
数が多い。しとめきれないと、いくらでも復活する。
それでも、私たちは負けない!
「東の海岸には私たちだ、キティ!」
海からは、海龍の群れが現れる。
こいつらが暴れれば、津波が起きて、国民が危ない。
「孵化して間もない今のうちに叩くぞ!」
ケヴィンの号令で、連れてきた騎士たちも動く。
騎士たちが海龍の足元で気をひきつけ、サンとケヴィンは海龍の背に乗った。
脳天に剣を突き刺し、傷口にスタンガンを突き刺す。
振り回され、落とされるが、やはり電気は効くようだ。
一匹が泡を吹いて倒れた。
その隙に、騎士がチェンソーで肉を斬り落とす。
「繰り返すぞ!」
必ず、しとめる!
トロワ!トロワも俺と同じ躰だったなんて……!
今頃どんなに心細いだろう。
苦しいだろう。
早く、トロワのところへ行ってあげたい。
抱きしめてあげたい。
「西の郊外は…獣型か。」
西には騎士団長のクラウドが行っていた。
婚約者であるリリーナも戦う。みんなが戦っているのに自分だけのうのうとできない、とデュランは苦しんだが、王太子である自分が戦地へ行くと、かえってみんなの足手まといになる。
その思いを汲んで、引き受けた。
中央で、デュランは戦況の報告を受け、陛下とともに指揮をとっている。
戦いだけがすべてではない。
国民が無事にいられるように、迅速な対応も重要なこと。
そのデュランの護衛は辺境伯と宰相が行っている。
目の前には、大型の猛獣の群れ。
だが、相手にとって不足なし!
部下たちを引き連れ、騎士団長は大型の剣をふるった。
「皆さまは私がお守りします!宰相も、必ず、私が……っ。だからモンスターのことは気にせず、指揮に集中ください!」
辺境伯は、宰相を見つめて、この不測の事態にようやく自分の本当の気持ちを自覚していた。
「辺境伯が守ってくれるなら安心だ。」
にやりと笑う宰相はニヒルで、カッコイイ。
この人の大切な子どもが傷つけられてしまった。
彼のためにも、一刻も早く、片づけてしまおう。
そして、北の。
リッシュ辺境伯領の付近の山間には、植物系モンスターのスタンピードが発生していた。
「みんなはこっち!早く逃げて!」
辺境伯が作ったシェルターに、ケイが領民を誘導する。
そして、モンスターには、ニールと、ボヌールと、リッシュ。辺境伯直属の騎士、それにミリアが立ち向かっていた。
「大丈夫、私たちならやれます!行きますよ!」
勇敢なミリアは小ぶりの細身の剣を構える。
「お兄さま、僕も一緒に戦います。必ず倒しましょう。」
「あ、ああ…!」
迫りくる植物の蔦を、ミリアとボヌールで切り裂いていく。
ニールも皆の後ろから、一生懸命切り刻んだ。
だが、遠距離中距離の蔦が藪から無尽蔵に飛び出すので、なかなか本丸に辿り着けない。
蔦の隙をついて、中に潜り込み、やっとモンスターの核を突くように袈裟斬りにすると、兵士たちは他のモンスターによって、腕を縊りたおされて、変な方向へ曲げられてしまった。
「ぐ……!!ぐああああああああああああああ!」
まずいわ。
本当は植物モンスターは火が弱点だけど、この山では火は使えない。
なのに、この数は。
「どうしよう、みんな……っ。」
ミリアは泣きそうになっているニールを見た。
「ニール様!!」
肩を揺さぶって、語り掛ける。
「ニール様には、聖女様の力があります!癒しの力です!もしかしたら、浄化さえできるかもしれません。傷ついている皆のために、心をこめて、願ってください!!!」
「えっ!お兄様が!?」
キョトンとなったニールは、目の前のこの女性が嘘を言っている気はしなかった。
どうせ、自分は戦いで役には立たない。
もし、本当に、母のような力があるのなら。
腕が曲がって戦えなくなった兵士たちを見る。
<みなが癒されますように……! モンスターが倒されますように………!!!!!>
そうしたら、予想外のことが起き。
ニールの願いによって体から発せられた光は、国中に広がり。
国民や戦っている者たちの傷を癒し。
モンスターを弱体化させたのだ。
「えっ、これ?この光なに??」
「キティ、今のうちだ!」
「なんなの、この光。アンデッドたちが消滅したわ。」
「聖女の光?」
「うおおおお!獣が怯んだ!今だあああ!」
「………この光……。ルナ……。」
そして、魔物はせん滅した。
国に被害はなし。
さっさと終わらせて、トロワのところへ行くのよ!
私の可愛い『妹』をひどい目にあわせて絶対に許さない!
断罪の場に必ず立ち会ってやる!
処罰が甘ければ私が異論を唱えてくれる!
「あの役立たずの騎士も根性入れ直してやる…っ!行くわよ、アン!デューク!」
目の前には、アンデッドモンスターの群れ。
カタカタと骨をきしませて、腐臭とともに襲ってくる。
近寄ると毒ガスでやられるだろう。
商会の者を使って、付近の領民は避難させている。
「ほほほほほ!!!!!!今の私は虫の居所が悪いのよ!」
姉弟は最新の銃火器を両手に構える。
リリーナのマシンガンが火を噴き、デュークの火炎放射器がアンデッドを焼く。
両手に一つずつハンドガンを持って動き回り、燃え広がらないエリアにおびき寄せるのはアンだ。
「あんな使えない男選んだ殿下も後でおしおきしてやる~~~~~~~~!!!」
数が多い。しとめきれないと、いくらでも復活する。
それでも、私たちは負けない!
「東の海岸には私たちだ、キティ!」
海からは、海龍の群れが現れる。
こいつらが暴れれば、津波が起きて、国民が危ない。
「孵化して間もない今のうちに叩くぞ!」
ケヴィンの号令で、連れてきた騎士たちも動く。
騎士たちが海龍の足元で気をひきつけ、サンとケヴィンは海龍の背に乗った。
脳天に剣を突き刺し、傷口にスタンガンを突き刺す。
振り回され、落とされるが、やはり電気は効くようだ。
一匹が泡を吹いて倒れた。
その隙に、騎士がチェンソーで肉を斬り落とす。
「繰り返すぞ!」
必ず、しとめる!
トロワ!トロワも俺と同じ躰だったなんて……!
今頃どんなに心細いだろう。
苦しいだろう。
早く、トロワのところへ行ってあげたい。
抱きしめてあげたい。
「西の郊外は…獣型か。」
西には騎士団長のクラウドが行っていた。
婚約者であるリリーナも戦う。みんなが戦っているのに自分だけのうのうとできない、とデュランは苦しんだが、王太子である自分が戦地へ行くと、かえってみんなの足手まといになる。
その思いを汲んで、引き受けた。
中央で、デュランは戦況の報告を受け、陛下とともに指揮をとっている。
戦いだけがすべてではない。
国民が無事にいられるように、迅速な対応も重要なこと。
そのデュランの護衛は辺境伯と宰相が行っている。
目の前には、大型の猛獣の群れ。
だが、相手にとって不足なし!
部下たちを引き連れ、騎士団長は大型の剣をふるった。
「皆さまは私がお守りします!宰相も、必ず、私が……っ。だからモンスターのことは気にせず、指揮に集中ください!」
辺境伯は、宰相を見つめて、この不測の事態にようやく自分の本当の気持ちを自覚していた。
「辺境伯が守ってくれるなら安心だ。」
にやりと笑う宰相はニヒルで、カッコイイ。
この人の大切な子どもが傷つけられてしまった。
彼のためにも、一刻も早く、片づけてしまおう。
そして、北の。
リッシュ辺境伯領の付近の山間には、植物系モンスターのスタンピードが発生していた。
「みんなはこっち!早く逃げて!」
辺境伯が作ったシェルターに、ケイが領民を誘導する。
そして、モンスターには、ニールと、ボヌールと、リッシュ。辺境伯直属の騎士、それにミリアが立ち向かっていた。
「大丈夫、私たちならやれます!行きますよ!」
勇敢なミリアは小ぶりの細身の剣を構える。
「お兄さま、僕も一緒に戦います。必ず倒しましょう。」
「あ、ああ…!」
迫りくる植物の蔦を、ミリアとボヌールで切り裂いていく。
ニールも皆の後ろから、一生懸命切り刻んだ。
だが、遠距離中距離の蔦が藪から無尽蔵に飛び出すので、なかなか本丸に辿り着けない。
蔦の隙をついて、中に潜り込み、やっとモンスターの核を突くように袈裟斬りにすると、兵士たちは他のモンスターによって、腕を縊りたおされて、変な方向へ曲げられてしまった。
「ぐ……!!ぐああああああああああああああ!」
まずいわ。
本当は植物モンスターは火が弱点だけど、この山では火は使えない。
なのに、この数は。
「どうしよう、みんな……っ。」
ミリアは泣きそうになっているニールを見た。
「ニール様!!」
肩を揺さぶって、語り掛ける。
「ニール様には、聖女様の力があります!癒しの力です!もしかしたら、浄化さえできるかもしれません。傷ついている皆のために、心をこめて、願ってください!!!」
「えっ!お兄様が!?」
キョトンとなったニールは、目の前のこの女性が嘘を言っている気はしなかった。
どうせ、自分は戦いで役には立たない。
もし、本当に、母のような力があるのなら。
腕が曲がって戦えなくなった兵士たちを見る。
<みなが癒されますように……! モンスターが倒されますように………!!!!!>
そうしたら、予想外のことが起き。
ニールの願いによって体から発せられた光は、国中に広がり。
国民や戦っている者たちの傷を癒し。
モンスターを弱体化させたのだ。
「えっ、これ?この光なに??」
「キティ、今のうちだ!」
「なんなの、この光。アンデッドたちが消滅したわ。」
「聖女の光?」
「うおおおお!獣が怯んだ!今だあああ!」
「………この光……。ルナ……。」
そして、魔物はせん滅した。
国に被害はなし。
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